常識破りの功罪Ⅳ(おしまい)
そして、私にとって意外だったのは、圧倒的に前者の「良い子」の方が多かった、ということです。
もちろん、小さな軋轢やトラブルがない訳ではありませんが、みなさんおおむね親父さんの言うとおりにおとなしく仕事をやっているのです。
私は父と何年間も事務所経営を巡って、なんだかんだとぶつかりあいました。
でも、こんなことは当たり前だろう、と思っていたのです。
そんな私からは、これは信じられない現象でもあったのです。
もちろん、なんにしてもトラブルは起こらないに越したことはありません。
しかし、若い経営者が何か新しいことにチャレンジしようとすれば、十中八九先代とぶつかることになるはずです。
理由は簡単です。
時代の変遷があまりも激しく速いために、ほとんどの場合、先代は後継者がやろうとする新しいことがにわかには理解できません。
なので「とりあえずやってみろ。」とは決して言わないのです。
理解していないにもかかわらず、
まだまだお前は甘い。」「商売のことが何もわかっていない。」「お前に責任が取れるのか。」・・・等々
こういった、あらゆるセリフを浴びせながら、やや筋違いとも思えるような理屈で否定にかかります。
よく分かっていないにもかかわらずです。
残念ながら
「責任は全部俺が取ってやるからとりあえずやってみろ。」
といった、カッコイイセリフを私は聞いたことがありません。
つづく