決算書、会計人の事情―コンサルティングをどう考えるか―
以前、私が出版した「小さな会社のマーケティング活用術」という著書の中で、「企業は『売り』を持とう」という趣旨の1章を設けました。
『売り』というのは言うまでもなく、その企業の得意とするところです。
「激しい競争社会の中では何か自社独自の『売り』になる特徴を持たないと生き残れませんよ。」
というメッセージでした。
第4章の6で「売り」について書きました。
この点を私がコンサルティングの師匠と尊敬する五藤さんが、ご自身のコラムでさらに強調しておられました。
五藤万晶氏:(株)ドラゴンコンサルティング代表取締役。コンサルタント。「コンサルタントのためのキラーコンテンツで稼ぐ法」「売れるコンサルタントになるための営業術」他、著書多数。
五藤さんは
「決算書が読めないのですがコンサルタントとして大丈夫でしょうか?」
と相談してきたコンサルタント候補の方に、次のように回答されたのです。
― 結論から申し上げれば、
「決算書なんて、別に読めなくたってまったく構わない」
というのが現実です。(中略)
決算書や分析を必要としているコンサルティングであれば、決算書や分析は必要でしょう。
しかし、そうでないコンサルティングであれば、要らないものは要らないのです。
理由は単純です。
「自分にしかできないことで、企業のお手伝いができればいい」
からです。(中略)
決算書から分かることは「結果」です。
究極のところ、現在の状態と結果は分かりますが、未来の打ち手はそこには何一つかかれていません。
誰が何と言おうと、新商品の売上も、新たな事業展開の利益も、もっと言えば「経営者の夢や野望」は、一切読むことができないのです。―
つづく