顧客と向き合う、ということⅢ(おしまい)
「ほかの店を見て歩くなんてしない」―セブン&アイ・ホールディングス元会長鈴木敏文氏に学ぶマーケティングの極意―
(1)世の中の変化を見る
以前、ある雑誌で鈴木敏文氏は以下のように述べておられました。
― 僕は他の店を見て歩いたりしません。
今は人気商品もパッと消える。
昔は売れている店を参考にしてもよかったけど今は見ても仕方がない。
それだけ変化が激しい。―
また、革新を生み続ける秘密として
― 難しいことじゃない。
世の中の変化を見続けてきたということ。
変化の時はやり方さえ変えればチャンスですよ。―
と、述べておられました。
80歳を超えても「変化」に対応するという以前からの姿勢には全くブレがありませんでした。
「ほかの店を見て歩くなんてしない」・・・考えさせられる言葉です。
(2)「事務所見学会」を考える
我々会計人はよく「事務所見学会」を実施します。
事務所見学会を受け入れるほどの事務所というのは、どこか独自のオリジナリティーを持っているかかなり先端的な事務所です。
先端的な事務所というのはその事務所が懸命に獲得してきた「先端」です。
その「先端」をものにするために、準備段階を踏まえてそれまで営々と努力を積み重ねてきています。
したがって、後発でその「先端」を真似しても、ようやく自分のものにした頃にはすでに「先端」ではなくなっている可能性が高いといえます。
世の中は既に次の「先端」に進んでいると思った方がいいでしょう。
そう考えると「先端」というのは自ら獲得する以外にありません。
他の事務所が獲得した「先端」は既にワンクッション入ってしまっています。
他者のバイアスのかかった「先端」など、先述したようにその本質を考えれば参考になるはずがありません。
つづく