制度見直しで進む?女性の社会進出
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就業意欲の高い女性の本格的な社会進出が期待される
配偶者控除の見直し論議が始まり、「女性の社会進出を後押しするのでは」と話題になっています。現在、配偶者の年収が103万円以下の場合、世帯主の課税所得を一律に38万円控除する仕組みがあり、また、130万円未満であれば保険料の負担なしで社会保険に加入できるため、時間や給与を調整しながら働くパート主婦が数多く存在しています。制度の見直しにより、就業意欲の高い女性が本格的に社会進出していくのではないかと期待されています。
また、子ども・子育て支援新制度が来年度からスタートし、今秋から「保育の利用申し込み」が全国で始まります。これは、保育の必要性があるかどうかを市町村が認定するというものです。「保育の利用申し込み」を市町村が受け付け、認定されれば原則全員が保育施設を利用できる仕組みに変わります。フルタイム勤務の人に比べて優先順位が低く、市町村によっては入園が難しかったパート勤務の人の申し込み状況の改善も期待できます。
しかし、保育施設の準備が整っていない市町村では早急な対応が求められ、「フルタイム勤務でないと保育園は利用できない」と考える人が依然として多いため、広報にも工夫が必要でしょう。
企業側も労働者側も受け入れの準備が必要
「一日4時間、週3日勤務」「子育てと両立できます」といったキャッチフレーズでパート勤務者を集める企業は数多く存在します。それは、雇用保険や社会保険の負担を軽減したいという企業の思惑と、社会保険には加入せずに配偶者控除の特典を生かして働きたいという主婦の思惑が合致する、互いにメリットのある働き方という理由からです。パート勤務でも、週20時間以上の勤務等であれば雇用保険加入が義務づけられますが、「週20時間にならない」勤務時間に設定している企業もあります。また、社会保険も所定の労働時間が通常労働者の3/4以上であれば適用されますが、「3/4以上にならない」ように設定している企業も少なくないのが現状です。
そのため、就業意欲の高い女性にとっては、いくら働いても短時間勤務で給与も増えないという状況となり、職場を変えるケースも珍しくありませんでした。制度改定に合わせ、短時間しか働けない女性には短時間勤務、就業意欲が高く実績もある女性にはフルタイム勤務へ移行できるような体制を整えておくことが今まで以上に求められます。
一方、働く側の女性にも意識面での準備が必要です。「子どもが何歳になったら働けますか?」「家事と両立できますか?」などは、就業相談でよく聞かれるフレーズですが、それはすべて本人次第。子どもが生後2か月後から仕事に復帰する女性もいれば、中高生になっても働くことに躊躇している人もいます。家事も育児も仕事も全てを「自分」がこなすのは至難の技ですが、周囲を巻き込み、家電やサービスを上手に利用し、子育ての時間も確保しながら働き続ける女性もいるのです。
預け先候補の見学、家族との話し合い、自分のキャリアプランと合わせて就業先を選ぶことなど、働く側の「本気の準備」が大切になってきます。
元総合職ママの就職、家庭との両立を実現するキャリアカウンセラー
島谷美奈子さん(パーソナルライフデザイナー島谷美奈子)
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