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妊娠中の歯の治療はどこまでOK?

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妊娠中でも「歯の治療を行ってはいけない」という時期はない

妊娠中の歯の治療はどこまでOK?

妊娠中は歯周病や虫歯が進行しやすく、「出産を重ねた女性ほど歯を失う」とする研究報告があります。胎児への悪影響を恐れて、歯科受診をためらう妊婦さんもいるかと思いますが、今回は妊娠中の歯科治療の安全性や注意点について解説します。

原則的には、妊娠中でも「歯の治療を行ってはいけない」という時期はありません。安定期(16~30週ぐらい)であれば、ほとんどの人が問題なく治療できます。妊娠初期(16週まで)は、過度な緊張や長時間にわたる処置は心身の負担になるため、なるべく避けた方が良いでしょう。この時期では応急処置をして、安定期を待って治療を行います。また、おなかが大きくなってくると、水平位での歯科治療では腹部の血管を胎児が圧迫するため、姿勢を保つのが辛くなります。妊娠8か月あたりからは応急処置にとどめましょう。

妊娠中のレントゲン写真の胎児への影響

妊娠中でも、診査、診断にレントゲン写真の撮影が必要な場合があります。胎児へのリスクを避けるのは当然ですが、的確な治療を行うためには最小限のレントゲン撮影は行います。

歯の治療で撮影するレントゲン写真の撮影法は、通常2種類。一つは、あご全体を撮影する「パノラマX線写真」。もう一つは「デンタルX線写真」と呼ばれる、1~3歯の範囲で撮影を行う小さなレントゲン写真です。「デンタルX線写真」であれば、直接おなかにX線があたることはありません。また、撮影部位が子宮から離れているため、防護エプロンを着用しておなか周りを保護すれば、胎児への影響はないとされています(不安な人は、撮影を断ってもかまいません)。

局所麻酔薬は使用可能

妊娠中の局所麻酔や外科処置は、緊張やストレスを与えるため、最小限にとどめたいものです。ただし、急性の強い痛みがある場合、痛みを伴う処置を行う上では、麻酔が必要な場合があります。

歯科で頻用される局所麻酔薬(キシロカイン)は、通常の使用量であれば催奇形性などは認められず、安全に使用できます(無痛分娩にも用いられています)。むしろ、痛みを我慢してストレスになることを考えると、適切に使用した方がよいと思われます。

抗生剤や痛み止めやの内服は大丈夫?

また、なるべくなら投薬はしません。ただし、痛みがひどい場合、化膿して腫れているときなどは、放置した場合の母体のリスクも考慮して、産科の担当医師と協議した上で投薬します。当然のことながら、適切なタイミング、用量、期間を十分に考慮し、妊娠中でも比較的安全に使用できるとされている抗生剤(化膿止め)、消炎鎮痛剤(痛み止め)を選択します。

一般的に歯科で頻用されるセフェム系抗生剤は「臍帯(さいたい)を介して胎児への移行が少ない」とされ、鎮痛薬で最も安全性が高い薬剤はアセトアミノフェンとされています。アセトアミノフェンは鎮痛効果が大きくはありませんが、危険が少なく体外排泄時間が早いことから、小児の鎮痛解熱剤としても使用されています。

妊娠したら早めに「お口の健康診断」を

出産後は「自分のことよりも育児で忙しい」「子どもを預けられない」などの理由から、すぐには受診できない場合もあります。また、妊娠中の歯科治療の影響を気にするあまり、ひどくなるまで我慢してしまう人もいます。

妊婦さんが何度も通院するのは大変ですので、早期に治療を開始し、処置自体を簡単に済ませるためにも、妊娠したらすぐに「お口の健康診断」を受けることをオススメします。

飯田裕

歯科インプラント治療のエキスパート

歯科医

飯田裕さん(つくばオーラルケアクリニック)

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