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産後の体調を良くする方法は?産婦の日常生活開始時期が大きく関与する!?

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「産後の肥立ち(ひだち)」に「床上げ(とこあげ)」が重要な訳は?

出産後、体調が元に戻る事を「産後の肥立ち(ひだち)」と言います。戦争の時期は、食べ物がなく、産後の肥立ちが悪いために命を落とした人は、たくさんいました。いわば、出産は命がけです。食生活が良くなり、暖かい環境で生活することが可能になった昨今は、「産後の肥立ち」という言葉を知らない人もいるようです。産後の肥立ちを良くするためには、床上げ(とこあげ)の時期が関与します。床上げとは、「出産後のお母さんが、日常生活を始めても良い時期」の事を言います。妊婦さんは、出産に際してものすごい体力を使います。そのため、出産後は、体力が回復するまで、授乳をする時以外は寝ている必要があります。とはいっても、授乳は3時間おきにする必要がありますので、継続した睡眠は困難です。そのため、回復に約3週間を要します。一日の睡眠時間は、7時間半から8時間必要です。その理由の一つは、造血の必要性です。毎日、活動していると、一定量の血液が、役割を終え、血液は肝臓や脾臓などによって壊されます。そのため、新しい血液を補充する必要があります。体内で血液を作る(造血する)作業が睡眠です。健康な人でも、寝不足の人は貧血気味になります。出産後、横になる時間を長くする必要性の理由はいくつもありますが、大きな意味としては、造血するためと言えます。血液は骨髄で作られています。骨髄は骨の中にあります。骨は、主に身体を支えることが役割です。活動している時は骨格として働き、骨髄としてはあまり働きません。寝ている時は骨格としての負担が少なくなりますので、骨髄の機能が十分に発揮され、血液を作ります。出産時には、大量に出血します。そのため、出産後、毎日眠らなくても横になっている時間を長くしている必要があります。出産後から床上げまでの時期は、命がけで出産したお母さんに必要な休息の時間です。

「床上げ」はいつくらいの時期が良いのか?

出産後、横になっていないと、出産時に流出した血液を十分に補充することが出来ません。産婦人科を退院後すぐ動き出すことは、貧血状態で活動していることを意味します。一般的に、床上げは3週間が良いとされています。でも、誰でも3週間とはいかないようです。出産後に来院される患者さんの症状と床上げの時期を関連付けて考えると、臨床的に次のことが考えられます。

1. 出産が30歳未満で通常分娩の人は床上げの時期が3週間
2. 出産が30歳以上40歳未満で通常分娩の人は床上げの時期が4週間
3. 出産が40歳以上で通常分娩の人は床上げの時期が5週間
4. 異常分娩(帝王切開)で出産しかつ出血量が500ml~1ℓの人は、1~3の上記期間にプラス1週間
5. 異常分娩(帝王切開)で出産しかつ出血量が1ℓ以上の人は、1~3の上記期間にプラス2週間

出産後に不調を感じて来院される場合は、床上げの適正な時期をご存じない人が多い印象です。同時に、ご家族が近くにおられず、産婦人科を退院後動かざるを得なかったという人も少なくありません。これから、出産を予定している人は、出産後ご協力いただける人を探し、なるべく3週間はゆっくり出来る環境の検討を勧めます。

出産後の産婦さんが、いつを床上げの時期としたら良いのかは、上記の通り、通常分娩か異常分娩だったかによります。年齢も関与すると考えています。3週間以上の安静を必要とする出産だった場合、産婦さんが床上げの時期を3週間以上取りたいと望んでいても、周囲の協力がなければ、床上げの時期を伸ばすことは出来ないでしょう。産婦さんのご主人やご家族をはじめ、周囲の協力が必要です。働いている産婦さんも多いため、職場の理解も必要です。妊娠、出産や子育ては、社会全体の問題でもあります。働かざるを得ないお母さんを支える社会のしくみを構築することは言うまでもありませんが、まずは、ご主人の協力が一番です。授乳以外の行為を手伝うことが出来るのは、一番近くにいるご主人です。最近は、男性も育児休暇の取得が可能です。実家に帰り母親の協力を得ることが出来ないご家庭は、男性の「育児休業制度」を活用してほしいと思います。2020年度に「育児休業制度」を利用した人は、女性81%に対して、男性は12.7%です。まだまだ、男性が育児に関与する環境になっていませんが、女性の社会進出比率が高くなっている昨今、男性の手を借りることは必定です。取得率が50%以上になるような周囲の理解が求められます。

「床上げ」が1週間以内の場合ぎっくり腰になりやすい!?

出産後は貧血状態にありますので、疲れやすく、頭痛、めまい、手足のしびれを感じやすい状態ですが、退院直後は、気が張っていますので、何とか頑張れるようです。体力が十分ではない状態で出産した人や35歳以上の人は、3週間を過ぎた頃、ぎっくり腰になる人が多い様に感じています。動けなくなり、出張治療を依頼される人が、たびたびいらっしゃいます。体力がある産婦さんは、退院後十分な休養をしていないにもかかわらず、体調の不調を感じていながらも何とか乗り切れるようですが、授乳が終わる頃の10か月から14か月頃ぎっくり腰を発症します。そのような患者さんの中には、床上げの時期が10日から2週間だったという人が少なくありません。床上げの時期は、少なくとも3週間必要だという事を実感しています。

子宮復古(しきゅうふっこ)に必要な産褥期は、6週間から8週間とされています。子宮復古とは、妊娠して大きくなった子宮が元の大きさに戻る事を言います。機能が回復したことを示す兆候が、生理の再開です。産婦さんの話を伺うと、経産婦さんは約3か月、初産の人は約10か月で生理が再開しているようです。しかしながら、体力が回復しないと1年以上生理が再開しない人もおります。労働基準法に基づく産後休暇は出産翌日から8週間とされているため、産後2か月で職場に復帰する人も少なくありません。生理が再開せず、子宮復古後間もなく子育てをしながら仕事をすることは、お母さんにとって過酷と言えます。養生しようと思っても、出来ない環境にありますので、周囲の協力を得ながら、少なくとも生理が再開するまで、8時間近い睡眠、1時間に10分程度の休養や適度な運動を心がけていただきたく思います。

「床上げ」の時期次第で体の不調が出やすくなる?

床上げの時期が2週間以内の産婦さんは、1~2年後に強い不調を感じる傾向にありますが、体力がある人は、子育ての時期が終わり、自分に自由な時間が出来ると、徐々に症状が潜行して、不調を認識しなくなります。その後、規則正しい生活を行えば、出産前の体調を取り戻します。

しかしながら、2人、3人と出産し、床上げの時期が短いと、再び不調を認識しやすくなります。また、出産後、1か月から1年程度で仕事に復帰した人は、体力が十分回復しないまま日常生活を再開しますので、体調の不調が消失しないまま、休息が難しい生活を継続することになります。40年に及ぶ臨床経験上、身体に負担がかかる生活を17年~23年継続すると、日常生活に支障となる不調を感じ始めると認識しています。例えば、睡眠不足(6時間未満)、長風呂(30分以上)、冷房(25度以下)生活や毎日の飲酒などです。2つ重なると13年、3つ重なると7年に発症時期が短縮されます。25歳で出産すると、42歳から48歳の頃に不調を感じる計算です。早いと38歳以降には感じ始め、40歳過ぎには強い不調を感じて日常生活に支障が出ます。人によっては、生理が不順になり始め閉経へと向かう時期です。この時期を、更年期と称します。更年期は、出産回数により時期は大きく異なりますが、更年期に体調不良を感じる大きな要因は、床上げの期間や日常生活の過ごし方と関係があるのではないかと考えています。清野が呼称する養正(ようせい)治療は、日常の適正な生活です。詳しくお知りになりたい人は、清野鍼灸整骨院ホームページ「くらしと養生」をご参照願います。
  
また、床上げや東洋医学に基づく子育てにご興味がある人は、お母さんのための子育て学 をご覧戴きたく思います。

「床上げ」の時期が短く体調不良を感じる人に鍼灸治療は最適です

産後の肥立ちが順調にすすむことや出産後の体調不良解消に、鍼灸治療は最適です。退院後、ゆっくり休むことが出来ない人は、鍼灸治療をすることで、体力の回復や症状の消失が可能です。また、母乳の出が悪い人は鍼灸治療をすると、スムースな授乳が可能になりますので、お子様のイライラ解消に役立ちます。お子様の蕁麻疹、便秘や夜泣きなどの症状改善にも効果がありますので、育児のお手伝いが出来ます。週1回治療を受けることが出来れば、体調管理が可能となります。お子さんの面倒を見る人がいないので、通院することが困難だという産婦さんも少なくないと思います。当院は、保育士がおりますので、治療中お子様をお預かりしていますが、どこの医療機関でも対応しているわけではありません。ご主人やご家族のご協力を得ることが困難な人は、区市町村やお近くの社会福祉協議会にご相談して戴き、お子様の一時預かり等を利用しながら、体力の回復に努めて戴きたく思います。順調な産後の肥立ちをご希望の人は、お近くの鍼灸院か鍼灸師が勤務している医療機関にお問い合わせをお願い致します。

産後の肥立ちや鍼灸治療について詳しく知りたい人は、清野鍼灸整骨院ホームページ内の院長ブログ当院の治療(鍼灸院)をご参照戴きたく思います。

清野充典

東洋医学と西洋医学の融合を目指す鍼灸師・柔道整復師

鍼灸師

清野充典さん(清野鍼灸整骨院)

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