ユニクロが積極採用「限定正社員」
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ユニクロが「限定正社員」の雇用を発表
安倍晋三内閣が雇用の規制緩和として「正社員」と「非正規」の中間である「限定正社員」という、新しい働き方を広めようと閣議決定しました。それを受け、大手衣料品メーカーのユニクロから、国内の店舗で働く約3万人のパート・アルバイトのうち約1万6000人を、2~3年以内にこの「限定正社員」にしていくとの発表がありました。
正社員も限定正社員も非正規とは異なり、期間の定めがない雇用契約という点で共通していますが、正社員は転居を伴う転勤があるのに対し、限定正社員にはそれがありません。また、企業によっては職務の変更がない、残業をしなくて良いという条件が加わったりします。さらに、非正規から正社員へのステップアップはハードルが高い一方、中間の限定正社員であれば転換が容易になり、そこから正社員へと進めば、雇用が安定します。
労働者・企業側から見る「限定正社員」のメリット
労働者側からのメリットは、介護や子育てなどで転勤ができない、ジョブローテーションなどせずに一つの職務でプロとして極めたい、などの希望を叶えることができます。何より期間の定めがある非正規よりも、雇用が安定するということです。一方、経営者側のメリットは、職務変更、転勤ができないことで、その分、正社員よりは低い賃金で多様な人材を採用しやすくなります。
また、異なる視点では、業績が低迷した場合、一般の正社員では解雇の前に職務の変更、勤務地の変更を行うことで雇用を守る必要があります。しかし、限定正社員であれば職務や勤務地が限定されているため、事業所を閉鎖して勤務地がなくなってしまう場合、解雇が容易になります。
今後、「限定正社員」は増えていくのか?
今回、政府が下した閣議決定には、雇用の規制緩和という思惑があります。特区で正社員の解雇規制を緩和しようとしましたが、見送りになりました。正社員の整理解雇は抵抗が強く、なかなか進みません。しかし、経済の活性化を考慮すれば、いつまでも非成長分野に雇用が滞留するよりも、成長分野に労働者が移動しやすくした方が良いのではないかという考えもあります。
ユニクロは成長分野で、限定正社員導入については非正規を格上げするわけですし、人件費も増えることから、決して「解雇しやすいから」「安く使えるから」との意図はありません。一方、非成長分野の企業では、限定正社員の解雇などが今後問題になってくることも考えられます。しかし、解雇された人が、成長分野の限定正社員としてすぐに異動ができるようであれば、労使双方にとってWINWINの関係になるでしょう。限定正社員がこのような理想的な形になり、経済の活性化にも貢献することが期待されます。
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