社員食堂が導く企業の発展
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社食ブーム到来。見直される「社員食堂」
少し前までは「安いけど不味い」「暗い」といったマイナスイメージが先行していた「社員食堂」ですが、近ごろは随分と変わってきているようです。
本が出版されるほど有名になった、計量機器メーカー「タニタ」に代表されるように、最近の社員食堂では食事の提供だけでなく、社員の健康管理にも気を配ったり、メニューや量を好みで選択できるようにしたり、カフェのように社員がくつろげるスペースを作ったりと、様々な付加価値が備わるようになりました。企業が社員食堂を見直すようになった理由は、どういうところにあるのでしょうか?
社食が機能する企業の業績は上昇傾向に
IT機器の発達や、コミュニケーションが苦手な若者が増えたことなどにより、社員同士のコミュニケーション不足が指摘されるようになって久しいですが、社員食堂はそれを補う場としての機能が期待されています。
企業が社員食堂のメニューを工夫したり、スペースの雰囲気を良くしたりするのは、社員が自然と集いやすい場を作り、コミュニケーションを増やしたいという思惑があります。一つの場で食事を共にすることで会話をするきっかけが生まれ、それにより社員同士の連帯感が高まるといった効果が見込めます。「仕事終わりに飲みに行けば良いじゃないか」といった意見もあるかもしれませんが、飲み会よりランチの方がハードルが低く、若手社員を含め、より多くの社員が参加できるメリットがあるのです。
実際、社員食堂がうまく機能している企業の業績は上昇傾向にあるようです。それは、企業のイメージアップによって良い社員が集まり定着するためか、社員食堂のお蔭で社員のモチベーションが上がったためか。いずれにせよ「同じ釜の飯を食う」効果は侮れません。
従来の社員教育になかった社会人としての素養を補う効果も
企業には、利益を追求するだけではなく「CSR=企業の社会的責任」があると言われています。社員食堂を充実させることで、社員への食育、会話能力の向上、会食でのマナーアップなど、従来の社員教育では行えなかった社会人としての素養を補う効果も期待されています。
ただ、このような現代型の社員食堂を備えている企業は、比較的事業規模の大きい企業に多いのが現状です。しかし、社員同士のコミュニケーションが重要なのは中小企業も同じです。むしろ少人数ゆえに、より切実かもしれません。
社員食堂を維持管理するためには、多大なコストがかかります。産業医を他の企業と共同して契約する動きがあるように、一社ではなく数社が集まって社員食堂を持つといった方法も考えられます。社員食堂で社員のコミュニケーションを増やし、より楽しく仕事ができるような動きがどんどん広まっていってほしいと思います。
人事労務コンサルティングの専門家
大竹光明さん(社会保険労務士法人大竹事務所)
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