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「標準時2時間前倒し」はビジネスマンにとってメリットがあるのか?

カテゴリ:
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日本で一度だけ実施されたサマータイム制

東日本大震災後、計画停電が実施されたこともあり、節電の目的から「サマータイム制」を導入する企業がありました。サマータイム制は、主にアメリカや欧州各国で行われているもので、「夏時間」にあたる時期の時間を「1時間早くする」というものです。導入日の午前0時に時計を1時間早めますので、その日の正午は1時間早まり11時になるというものです。

「サマータイム」という名前がついていますが、夏に限るものではなく、概ね4月から10月までの一定期間を対象とします(実際の実施期間は週単位で区切られ、各国で導入ルールは異なります)。このサマータイム制、日本ではこれまで一度だけ実施されました。サマータイム制を推進する理由として挙げられるのが「省エネにつながる」というものです。また、朝早く起きて行動するため、明るい時間帯を有効に使うことができ、夏場は冷房費が削減できるとされます。また、仕事が終わった後も明るい時間が長いので、家族と過ごす時間が増えたり、余暇に使えたりして、消費行動を促すともいわれます。

?「標準時2時間前倒し」が過重労働や未払い賃金問題の原因に?

では、実際に標準時を2時間前倒しにすることが、ビジネスマンにとってメリットがあるのでしょうか。正直なところ、あまりメリットがあるとは考えにくいです。

1日8時間勤務の会社で始業時間が9時の場合、標準時を2時間前倒しにすると7時から16時までが就業時間となりますが、多くの場合、その後に残業がありますので、終業時刻は18時以降になるでしょう。「仕事が終わった後に軽く一杯」や「仕事帰りにスポーツジムで汗を流したり、ショッピングを楽しむ」というのは増えるかもしれませんが、飛躍的に消費行動につながるとも思えません。

世界の金融マーケットにおいて、東京の金融市場を「世界で最も早い時間帯から取引の始まる市場」にできるとされています。しかし、金融市場に関連する仕事に携わっている労働者数は限られています。今の日本の労働市場全体からみれば、ワークライフバランスを考え効率的に働いて労働時間を積極的に短くし、余暇を充実させる、というよりは、結果的には朝早くから夜遅くまで長時間労働を促進させてしまい、過重労働や未払い賃金の問題につながってしまうのではないかと懸念されます。

IT業界を元気にするSE出身社労士

成澤紀美さん(社会保険労務士法人スマイング)

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