7割の黒字企業が持つ企業理念の重要性
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相次ぐ企業の不祥事。防ぐ術は「全員で目指すゴールを作る」
企業が信用を積み重ねるには、たくさんの労力と資金、そして時間と不断の努力が必要です。企業の不祥事は信用失墜のみならず、その存続さえ危うくさせます。最近の食材偽装表示では、対応を誤った企業のトップが辞任する事態に発展しました。それほど企業経営に大きな影響を与えるものなのです。過去の企業不祥事の傾向を見てみると、その原因のほとんどが利益至上主義と手抜き、保身によるものです。企業の存在意義を忘れ、企業内の自己中心的思考がもたらした結果ともいえるのです。
最近の事例をみてみると、原発事故とその後の対応、ホテル、百貨店、有名レストランなどの食材偽装表示、鉄道会社による保線作業の手抜きによる事故と書類の改ざんなど、枚挙に暇がありません。
それでは、続出する不祥事の防止策は無いものなのでしょうか?コンプライアンス研修を実施すれば無くなるのでしょうか?それとも監視する人員を増員すれば不祥事は無くなるのでしょうか?残念ながら、いずれもそれ単独では不祥事が無くなることはありません。必要なのは「企業の存在意義の共有」です。さらに言えば「企業理念の浸透」ということになり、もう少し噛み砕くと「会社に関わる人が全員で目指すゴールを作る」ということになります。
事業を発展させ、不祥事を防ぐ企業理念。持つ中小は半数ほど
ただ、企業理念を作り、浸透させる目的は不祥事を防止するためではありません。あくまでも副次的効果として不祥事の防止につながるのであって、企業理念そのものは自社のゴールを明確にすることに意義があります。法人税を納税している企業が27%強の日本国内において、黒字企業の実に70%が企業理念を持っている状況です。となれば、企業理念を持つべきか否かは火を見るより明らかです。
企業理念を作成するには最低限の約束事があります。それは、(1)企業は社会的存在であるということ、(2)儲け至上主義に偏らないこと、(3)経営者自身のなりたい自分(我が社の行く末)を表すこと。これらを意識して作り、社内で共有できていれば、例えば、原発事故後の企業側の対応としても、もっと迅速に情報開示をし、住民に安心感を与えることができたはずです。また、食品偽装問題にしても、使っている食材の本来の名称を表示していたはずです。経営陣と従業員、経営陣同士、従業員同士の意思統一と無意識の相互チェックが働き、結果として、不祥事防止に一役買うことになります。
ある統計によると中小企業が企業理念を持つ割合は半分弱だといいます。事業を発展させ、さらには不祥事を防ぐ企業理念。本腰を入れて作り、全員で共有し合ってください。
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