消費増税で連鎖倒産も?中小企業が留意すべきリスクと対応策
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二段階目の消費増税まで続く「駆け込み需要」で貯金をつくれるか
10月1日に、消費増税が正式に表明されました。既定路線だったこともあって、わりと冷静に受け止められている印象がありますが、消費増税は企業の業績に大きな影響を与えることが想定されます。来年4月の増税を控え、中小企業経営者が留意しておくべきことを考えてみました。
まず、今回の消費増税で特徴的なのは、二段階にわたって税率アップが予定されている点です。通常、消費増税前は「駆け込み需要」が起こり、その後は「買い控え」になる傾向があります。ところが今回は、一段階目のアップ後も駆け込み需要が続くことが予想される一方で、二段階目の後には相当な消費の落ち込みが懸念されています。買い控えの対策としては、駆け込み需要期にどれだけの貯金をつくれるかがポイントとなりそうです。
連鎖倒産に巻き込まれないように「倒産防止共済」の利用を視野に
消費税は売上で預かった消費税額から、仕入で支払った消費税額の差額を計算して税務署に支払います(本則課税の場合)。事業者が税務署に支払う消費税は、預かった消費税の範囲内での支払いのため、本来であれば消費税の増税で企業に損得が生じるわけではありません。
しかしながら、実際には預かった消費税分を資金繰りに使ってしまう事業者も多いため、消費増税の結果、会社の倒産件数の増加につながってしまうのです。取引先の与信管理に気をつけるとともに、連鎖倒産に巻き込まれないように「倒産防止共済」の利用を視野に入れておいた方が良いでしょう。
大企業による「下請けいじめ」は中小企業庁に相談を
また、今年6月12日付で「消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法」が公布されています。この法律は、大企業が消費税還元セールを行って中小企業の経営を圧迫することや、「下請けいじめ」を防止するためのものです。そして、大企業が増税分を値下げするように下請先に圧力をかけることを禁止する内容となっています。中小企業庁は電話相談を受けるほか、悪質な場合は公正取引委員会が企業名を公表することにしています。
最後に、法人税のように会社の利益にかかる税金と異なり、消費税は消費者から預かっているお金です。「資金繰りで使ってしまいました」では済みません。十分に注意しましょう。
戦略という視点で会社経営を支えるプロ
西谷俊広さん(西谷俊広 公認会計士・税理士事務所)
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