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消費税増税を控える今、法人税を減税するワケ

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個人への課税強化の一方で法人税減税へ

消費税増税を控える今、法人税を減税するワケ

来年4月の消費税増税の前提となる景気条項に関して、推進派・慎重派の各陣営が実施の時期や引き上げ幅について熱い議論を戦わせています。そんな中、消費税増税と抱き合わせで法人の実効税率の引き下げが実施されました。

消費税・所得税・相続税と、相次ぎ個人への課税強化が図られる一方で、法人の税負担を軽減することに批判や疑問の声が出てくるのは当然のことでしょう。では、あえて今の時期に税収不足を拡大してまでも法人実効税率引き下げを行うのはなぜなのでしょうか?

世界でも高水準の法人税率が日本の国際競争力低下の要因に

経済のグローバル化やIT技術の進歩で、企業間の国境を越えた競争は熾烈を極めています。特に最近の中国や韓国企業の台頭は目覚しいものがあります。日本では97年以降、円高や金融不安の煽りを受け、長きにわたって「モノが売れずに、人が余る」いわゆる「デフレ経済」が続きました。輸出企業は疲弊し、ついには技術やノウハウそのものを新興国に移転せざるを得ず、技術者の海外流出とあいまって、商品のコモディティ化を招いた結果、国際競争に敗れた苦い経験を持ちます。

新興国に比べると、人件費・電力費・環境規制・社会保険料負担・為替などの多面的で日本の立地条件が劣っているのは明白です。そして、経済団体は大きな劣後要因の一つとして、税務コストの高負担を挙げています。日本の法人実効税率は35.64%と主要国でも上位の水準です。先進国で上回るのはアメリカしかありません。州で異なりますが、カリフォルニア州で40.75%です。競合するアジア地域では、中国が25%、韓国が24.2%・シンガポール17%と、政策的に法人の税負担率を低く抑えています(中国・韓国は日本よりも付加価値税が5~7%高いため、その点を考慮する必要はあります)。

経済の空洞化の阻止へ。法人税減税の内容の吟味が不可欠

日本のような金融先進国では、多国籍企業などによるピンホール的な租税回避行為が多発します。税務当局も、形式的な外国親会社設立による企業再編にはInversion税制(※1)の適用などの施策を講じてきました。しかし、場当たり的な対応では限界があります。アメリカのオバマ政権では、世界最強を自負する米国の経済的地位が新興国の台頭で揺らいでいるとの危機認識のもと、抜本的な対策として大幅な法人税減税を打ち出しました。

法人税の減税が国際的な潮流であるならば、日本も国際課税制度の強化を図るとともに、国際標準の30%程度までは対抗的に実効税率を引き下げなければなりません。ただし、法人税の減税には内容の吟味が不可欠です。単なる実効税率の引き下げであれば、税率構造を見直すだけで問題ありませんが、企業の競争力を増加させるための設備投資の喚起や、景気浮揚のための雇用・所得の拡大につなげるには、大胆な国内投資減税や雇用促進税制を導入する必要があります。先の平成25年度改正では余りにも小振りです。

これからの日本にとって、外資系企業の撤退のみならず、国内基幹産業の開発・生産拠点の海外移転による経済の空洞化は何としても阻止しなければなりません。今回の法人実効税率の引き下げは、こうした背景で実施されたのです。

(※1)組織再編を利用して親子関係を逆転させることで外国子会社合算税制の適用を免れる租税回避行為を防止するための制度。

老後に備えた資産形成や不動産活用を顧客目線で考える税理士

松浦章彦さん(<Office MⅡ>松浦章彦税理士事務所)

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サイト売買に特化したM&Aアドバイザー

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