デトロイト破綻による日本経済への影響
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織り込み済みだったデトロイトの破綻
7月18日、アメリカ・ミシガン州のデトロイト市が財政破綻しました。負債総額は180億ドル(約1兆8千億円)で自治体の破綻としてはアメリカ史上最大の規模です。かつては自動車の都として栄えたデトロイト。いったい何があったのでしょうか?
大手自動車メーカー、ゼネラル・モーターズ(GM)の本社があり、1950年代までは自動車産業を柱に全盛期を誇りました。しかし、70年代に低価格で高品質の日本車が台頭し始めると、産業が深刻な打撃を受けることに。そして、2008年のリーマンショックなどの金融危機でGMが事実上の経営破綻に追い込まれると、それがダメ押しとなり、デトロイトの再興は悲観的なものとなっていきました。人口流出、雇用悪化、税収減少、治安悪化。長い間、財政危機を抱えながら財政再建を試みたものの失敗に終わり、破綻を早めたようです。
しかし、デトロイトの破綻が直接的に日本経済に影響を与えることはなさそうです。それは、デトロイトの破綻はすでに織り込み済みで、株価や為替にも大きなダメージを与えなかったからです。ただ、破綻処理を間違えれば、アメリカ国内の財政状態の悪い自治体が連鎖的に破綻してしまう可能性はあります。それによってアメリカ経済に悪影響が出れば、当然、日本経済も無関係ではいられません。
デトロイト破綻を日本の財政危機を考えるきっかけに
「あんなに栄えていたのに今は破綻の危機」。そんなところは世界中に多くあります。日本の自治体破綻といえば、北海道の夕張市を思い出します。かつて炭鉱で栄え、メロンや映画の町としても有名でしたが、エネルギーが石炭から石油に代わったことで衰退し、2007年に財政破綻しました。また、先日まで騒いでいたユーロ危機も一例です。ユーロ通貨ができた当時は右肩上がりでしたが、ギリシャ、ポルトガル、スペインなどの財政問題で散々でした。そのスペインは、かつて「太陽の沈まない国」といわれ世界中を支配してまわりました。「ピークがあれば底がある」。上がり続けていくものなんて何ひとつありません。
デトロイトの破綻は、日本にとって対岸の火事ではありません。世界第2位のGDPは今や中国に越されました。そして、少子高齢化が進み、赤字は約1,000兆円。国の借金は解消されるどころか増え続けています。私たちは、真剣に自分たちの置かれている財政危機を考えなければいけない時期に直面しているのです。
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