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鍼灸の本場は中国でなく日本?日本の鍼灸治療技術は世界の規範です!

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■鍼灸治療や柔道整復治療は漢方の一つ

日本では、鍼治療や灸治療が昔から行われています。最近では、美容鍼やお灸女子(おきゅうじょし)などという言葉が生まれています。鍼灸治療は、国民に浸透している医療と言えます。しかしながら、鍼灸治療が漢方の一つである事や日本の鍼灸治療が世界の規範となっている事は知られていないと思います。「漢方と言えば漢方薬のこと」、「鍼灸と言えば中国が本場」というイメージが強いのではないでしょうか。
日本の伝統医療は、江戸時代「本道(ほんどう)」と言われていましたが、明治時代に近代医学が導入されてから「本道(ほんどう)」は「漢方(かんぽう)」と言われるようになりました。「漢方」とは鍼灸治療・瘀血(おけつ)治療・柔道整復治療・薬草(漢方薬)治療・あん摩治療・食養法・運動療法等を指します。
古来より、一に鍼、二に灸、三に湯液(薬草治療のこと)と言われて来ました。病気になったら、まず鍼治療を行い、それで効果がなかったら、灸治療を行う。その後に薬草を煎じた薬を飲み治療をするもしくは鍼灸治療と併用するという考え方です。あん摩治療・運動療法や食養法を交え、全ての治療をうまく融合した方法が、漢方治療です。鍼灸治療は、いの一番に行う治療法とされて来ましたが、臨床生活40年を経過し、まさしくその通りだと実感しています。
鍼灸治療は10分から15分あれば、効果を実感出来る治療法ですので、救急現場のような何の医療設備や検査機器がない場所でも、痛みの改善や状態の悪化防止に役立ちます。また、日本固有の医術である柔道整復治療は、骨折や脱臼をしている際にレントゲン診断出来ない環境下でも応急措置が出来る診断技術があります。東日本大震災の時は、多くの鍼灸師や柔道整復師が、ボランティアによる治療活動を行っていました。21世紀の未来型医療に、鍼灸治療や柔道整復治療は無限の可能性を秘めています。

■外科治療だった鍼灸治療が内科治療へと発展

太古の頃より日本で独自に行われていた医術に、400年頃(古墳時代)朝鮮半島から中国で行われていた鍼治療や灸治療や薬草治療等がもたらされて日本と中国の医術が融合しました。鍼治療は中国が発祥の地ではなく世界各地で類似の治療が行われており、日本でも同様の治療が行われていたと考えられています。灸治療の起源は、中国の文献ではモンゴルが中国にもたらした医術だと考えられます※が、艾(もぐさ)に火を付ける現在の灸治療スタイルは、中国が起源だと思われます。
701年(飛鳥時代)に制定された「大宝律令(日本初の律(刑法)と令(行政法や民法など)がそろった法典)」の中にある「医疾令(いしつれい)」(医療制度)は、「医師(内科医)」「針師(膿などを切開する外科医)」「按摩師(骨折等の外傷を治す整形外科医)」制度です。「針師」を教育する立場にある「針博士」の中で最も功績がある丹波康頼(たんばやすより)が、朝廷に医学書『医心方』(国宝)を献上した984年頃には、鍼灸治療は外科疾患だけではなく内科疾患にも用いられるようになっていました。
当時の医師は、薬草治療を中心に治療を行っていましたが、薬草(生薬(しょうやく)のこと)を中国や朝鮮から運ぶことに困難が伴い、一部の限られた人達にしか薬草治療を行えなかったため、鍼灸治療が薬草治療に代わる内科治療として発達して来たと考えられます。
原始時代 旧石器時代 縄文時代 弥生時代 古墳時代
飛鳥時代 592年~710年
奈良時代 710年~794年
平安時代 794年~1185年
鎌倉時代 1185年~1333年 (年代や時代区分は諸説あり)
今までの内容は、古代から鎌倉時代頃の話です。歴史の時間みたいな話ですよね。
昨年のNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』では、源頼朝(みなもとのよりとも)が落馬した後、鍼治療をしていました。当時、上質な薬草が鎌倉にあるとは考えにくく、緊急を要するときに、まず鍼治療を行っていたことが記録からわかります。この時代考証には私が一役買いました。「針師(はりし)」の仕事を紹介することが出来た一幕でした。

※ 日本東洋医学会『日本東洋医学雑誌』Vol.68 No.3 2017 掲載論文「モンゴル国伝統医療見学報告記」

■中国では古来の伝統医術が清(しん)代に衰退 日本の伝統医術は明治以降近代医学研究を導入

日本では、室町時代に入った1500年代以降、本道(ほんどう)と言われた漢方治療が目覚ましく発展し、江戸時代末期の1700年後半以降は、とても高い水準まで引きあがりました。明治時代(1868年)に行われた戊辰戦争の頃には、西洋医学(戦争負傷者対応に大きく貢献した近代医学・医術)が国家医療に導入され、漢方治療と西洋医療を患者毎に選択する(同時に行う)最高水準の医療体制が構築されていました。
しかしながら、明治政府は、1869(明治2)年に西洋医学(ドイツ医学)を主体とした医学教育の方針を打ち出しました。1874(明治7)年に「医制」(医療制度)を発令し、1884(明治17)年には西洋医学を中心とした医療をする「医師」が誕生しました。701年の「大宝律令」以来、2度目の医療制度改革です。試験制度で医師を選ぶ画期的な制度です。医療制度は、西洋医学を中心に推進する予定でしたが、1885(明治18年)には国民のニーズが高かった鍼灸治療を許可し、1911(明治44)年には近代医学の導入を条件に、「鍼術」「灸術」と「按摩術」を行う施術者が誕生しました。
3度目の医療改革となった1948(昭和23年)以降、按摩治療はあん摩治療と柔道整復治療に分離されました。しかしながら、戦後の日本政府も漢方の一つである薬草治療(漢方薬)は、認めませんでした。医師国家試験に、漢方薬の問題が出題されたのは、21世紀になってからです。現在、「開業権を持つ治療行為が出来る資格者」は、医師、歯科医師、はり師、きゆう師、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師の6資格です。
一方、中国では日本にもたらされた灸治療は、漢(前漢は紀元前206年-8年・後漢は25年-220年)代後半にはあまり行われなくなりました。理由は不明です。清朝(しんちょう)時代の1644年には按摩治療が途絶え、1801年には接骨治療が消滅、1822年に鍼灸治療が断絶、中華民国になった1912年には薬草治療が途絶え、西洋医学一辺倒になりました。中国伝統医術が復活したのは、中華人民共和国建国6年後の1956年です。
現在の中国で行われている鍼灸治療は、近代医学化を図った日本の鍼灸医術を一部導入して1960年に再構築した新しい考えの治療法ですが、江戸時代に大きく進歩した日本の灸治療はほとんど行われていません。従来の伝統医術は整理されておらず、いまだ理論が未整備なため、理論に対比した治療法も確立されていません。医療制度としては復活しましたが、西洋医学を中心とした医療体制に大きな変化はなく、数百年に及ぶ空白は、簡単に埋められないと思われます。

■日本の鍼灸治療・柔道整復治療は大学・大学院で最新医学を構築中

日本伝統医術は、歴史上途絶えることなく続いて来た医療です。中国からもたらされた灸治療や伝来した中国方式の鍼治療を継続しており、中国で一時期失われた医術を継承して来た国と言えます。701年より国家資格制度としても継続していますので、制度上1322年(2023年現在)継承して来ました。
日本では、1978(昭和53)年に世界で初めて鍼灸大学が出来ました。大学院修士課程、博士課程も設置され、鍼灸治療の科学化に取り組んでいます。2023(令和5)年9月現在、はり師きゆう師の受験資格を取得出来る大学は14校、鍼灸医学を研究する大学院は9校あります。また、柔道整復治療の大学も、2022(平成14)年に出来ました。柔道整復師の受験資格を取得出来る大学は14校、短期大学1校、柔道整復学を研究する大学院は8校あります。日本人は、世界中の研究機関と協力して、鍼灸医学や柔道整復医学の構築に日夜努力しています。
長年、「鍼灸治療は非科学なるがゆえに医療として信頼性がない」と評価されて来ましたが、1885(明治18)年より先人が科学化に取り組み138年が経過しています。大学が設立されてから45年、1991(平成3)年に大学院が設立されてから31年経過しています。まだまだ研究は緒に就いたところとも言えますが、決して非科学だから医療として信頼出来ないと言われる状況ではなくなって来ていると思います。
薬物治療(内科治療)や外科手術(外科治療)を選択する前に、身体の外側から内臓機能に働きかける事が可能な鍼灸治療(内外科治療)や身体の外側から骨折や脱臼を治療する柔道整復治療(内外科治療)を選択する事も、ご検討頂きたく思います。
清野が呼称する養正(ようせい)治療は、日常の適正な生活です。詳しくお知りになりたい人は、清野鍼灸整骨院ホームページ「くらしと養生」をご参照願います。
自己鍛錬をご希望の方は、ヨガ(YOGA)の運動法や呼吸法が最適です。ヨガ(YOGA)療法をご希望の人は、清野メディカルヨーガにご相談頂きたく思います。

清野充典

東洋医学と西洋医学の融合を目指す鍼灸師・柔道整復師

鍼灸師

清野充典さん(清野鍼灸整骨院)

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中里えみこさん

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