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夏の暑さを乗り切る方法は服装にある?汗を出す事が体温調節の秘訣!?

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美容・健康

■ 「体感温度」って何?気温や湿度以外に関係している事はある?

「体性感覚」は、皮膚や体内深部の感覚を指しますが、皮膚の感覚が教えてくれる「体感温度」は、誰もが指標にしている事と思います。朝起きた時に何を着ようかと考える際、頼りにするのが「体感温度」と天気予報だと思います。体に感じる温度は、6つの要素が関係していると考えられています。

〇気温
〇湿度
〇放射温度
〇気流
〇着衣量
〇代謝量

暑さや寒さを感じる感覚は、温度だけではない事が分かります。最近は、「体感温度」をスマートフォンなどで確認出来ます。「体感温度」を温度指数に表す理論は素晴らしいと思いますが、東洋医学の視点から見ると、それ以上に「体性感覚」を大事にすべきだと考えます。
「体性感覚」とは、温度感覚、触覚、痛覚の皮膚感覚や筋、腱、関節などに起こる深部感覚の事です。寒いところにいると、関節の痛みや筋肉の引きつりを感じるようになります。暑いと思っていても、実は気温が低いので体が冷たくなっているという事は良くある事です。「体感温度」だけではなく、自分の「体性感覚(五感)」を大切にした生活をする事は、健康維持に役立ちます。
体性感覚については、JIJICO内にあるコラム「あなたの「体感温度」感覚は正常!? 「体性感覚」を衰えさせない方法はあるの?」をご参照戴きたく思います。

■ 熱中症対策に使われる暑さ指数(WBGT)って何?

6月に入ると、熱中症対策が盛んに報道されます。環境省では、熱中症を予防する事を目的として1954年にアメリカで提案された指標である暑さ指数(WBGT(湿球黒球温度))を紹介しています。 単位は気温と同じ摂氏度(℃)で示していますが、その値は気温とは異なります。暑さ指数(WBGT)は人体と外気との熱収支(熱のやりとり)に着目した指標で、人体の熱収支に与える影響が大きい

① 湿度
② 日射・輻射(ふくしゃ)など周辺の熱環境
③ 気温

の3つを取り入れた指標です。暑さ指数(WBGT)は、同じ気温でも感じ方が異なる事を示す指標です。
「体感温度」は人や場所によって感じ方が異なるため、単純明快な指標である暑さ指数(WBGT)が熱中症予防対策として用いられるようになったのではないかと思われます。
日本気象学会の「日常生活における熱中症予防指針」を見ると、暑さ指数(WBGT)で熱中症の温度基準域は

危険    31℃以上
厳重警戒  28℃以上31℃未満
警戒    25℃以上28℃未満
注意    25℃未満

となっています。そのラインは以下の通りです。

東京における2022年5~9月の平均湿度と平均気温及び最高気温は、下記の通りです。

    平均湿度    平均気温/最高気温
5月   75%   18.8℃/23.6℃
6月   82%   21.9℃/26.1℃
7月   89%   25.7℃/29.9℃
8月   76%   26.9℃/31.3℃
9月   83%   23.3℃/27.5℃

東京は湿度の高い街ですが、暑さ指数(WBGT)の早見表と最高気温を対比すると、熱中症の温度基準域は以下のようになります。

        平均気温     /       最高気温
5月   25℃未満  注意       25℃未満  注意
6月   25℃未満  注意       25℃未満  注意
7月   25℃未満  注意       28℃以上31℃未満  厳重警戒
8月   25℃未満  注意       28℃以上31℃未満  厳重警戒
9月   25℃未満  注意       25℃以上28℃未満  警戒

暑さ指数(WBGT)では、25℃を超えると熱中症の警戒レベルです。夏日になると熱中症の警戒レベルになりますが、気温は一日の中でも上下しますし、室内と室外でも異なりますので、警戒レベルの予報に対して違和感を覚える人もいるのではないかと思います。
様々な要因により、「体感温度」は変わりますが、熱中症対策として考案された暑さ指数(WBGT)は、気温、湿度、輻射熱に着目しています。条件によって体への影響は全く異なる事が分かります。今年は5月中旬頃から夏日になりはじめました。日差しのもとでは強い暑さを感じましたが、室内は涼しく感じました。この時期は、真夏に比べると、湿度や地表や建物の輻射熱が低いためです。同じ気温(例えば27℃)でも、27℃を実感するのは湿度が95%の時です。湿度が70%あれば、暑さは24℃くらいに感じ、湿度が30%では20℃くらいに感じます。同じ気温でも、暑く感じる日と寒く感じる日があり、暑く感じる場所と寒く感じる場所があるわけです。

クーラーで室温を下げた場合、空気中の湿度が低下します。なおかつ乾燥した気流が生まれますので、「体感温度」はさらに下がります。クーラーの中に長い時間居ると涼しく感じるのは、そのためです。初夏にクーラーを使い過ぎると、自覚している以上に体を冷やし過ぎてしまう事が考えられます。暑さ指数(WBGT)と「体感温度」を参考にしながら、熱中症を引き起こさない対策は必要ですが、5月や6月はとても体調管理が難しい時期ですので、「体性感覚」を重視する事も大切です。
暑いと感じても、

a  体が冷たい
b  皮膚がカサカサする
c  皮膚がかゆい
d  鼻水が出る
e  咳やくしゃみが出る
f  便が軟らかい
g  首筋がはる
h  腰が痛くなりそう
i  動いたとき関節が痛くなりそう

などの症状があるようだと、体は寒さの影響を受けています。気温や湿度などの数字に捉われない「からだの声を聴く」姿勢が大切です。
東洋医学に基づいた熱中症対策については「熱中症が一番多いのは室内?熱中症対策にはクーラーの使用が有効?」を参考にして戴きたく思います。

■6月はクーラーが苦手な人にとって辛い季節?!

5月頃から、気温が急激に上昇し、6月の梅雨時期になると湿度も高くなります。この2点だけに注目すると、エアコンを28℃未満に設定する事や除湿機能を優先する生活になりがちです。日中の最高気温が、突然30℃以上の真夏日になると尚更です。熱さ指数(WBGT)の考え方を基準にすると、暑さに〈順化〉していない人は、暑さに〈順化〉している人に比べて、1~2℃低い温度で警戒レベルになりますので、冬季に暖房をしない生活や4月頃よりクーラーを使用する生活をしている人は、設定温度を25℃~26℃以下にする人が多いように思います。
しかしながら、クーラーが苦手という人にとって、5~6月はまだ暑さに〈順化〉していない季節ですので、クーラーを使用している部屋で仕事をしていると、寒さによる体調不良を感じやすい時期でもあります。
気温が上昇する季節の過ごし方は、以下の事がポイントではないかと考えています。

(1) 外気温が34℃以上の場合   
(2) 外気温が28℃~33℃の場合  
(3) 外気温が27℃以下の場合  

(1) 外気温が34℃以上の場合
外気温が34℃以上であれば、湿度が30%以下の乾燥状態でも警戒レベルになります。湿度が高い地域では、かなり脱水状態になりますので、自覚症状に気を付け、適切な対応が必要です。大量の発汗やめまいなどが出始めたら、医療機関の受診が必要です。自覚症状から自分の体調を推し量る事が大切ではないかと考えます。

(2) 外気温が28℃~33℃の場合
外気温が28℃~33℃の時は、直射日光が当たらない所や室内では、涼しく感じる場所があります。「体感温度」に従い、こまめに服を脱いだり着たりしながら体温調節すれば、体調管理が可能だと思います。通気性の良い、密着度の低い、ゆったり目の服装が良いと考えます。体感温度に従い服装を自由に選択する事が、対策として考えられます。

(3) 外気温が27℃以下の場合
外気温が27℃以下の場合、湿度によってはとても蒸し暑く感じます。特に、活動している時は、薄着になりたくなります。しかしながら、休憩や休息をしていると、次第に体熱が奪われ、寒さを感じるようになります。安静時は、温度計を見て室温が25℃を下回る時は、服をもう1枚羽織る等の注意をすれば、体調を崩さないと思います。温度計を参考にして、安静時は服装に気を付ける事が、体調の維持につながると考えています。

体温が上昇すれば、汗が出て体温調節します。外気温が33℃以下の時は、何度も汗を出し、下着を着替える事により、「体性感覚」が維持出来ます。毎日気温が28℃を超えるようになったら、体が気温に〈順化〉します。それまでは、毎日汗を出す事による体温調節を重視して、クーラーや冷たい物の飲食は控える事が、夏の暑さを乗り切るポイントです。
5月、6月の時期からクーラーに長時間当たりすぎると、夏バテや熱中症を引き起こしやすくなります。暑さに適応するための「暑気順化」が起こりにくくなるためです。本格的に暑くなる前のこの時期は、暑さに体を慣らす事が大切です。少し暑い環境で軽い運動をする、38℃~40℃くらいの浴槽に数分浸るなどして「意識的に汗をかく」事が重要です。暑さに慣れた体は、発汗が始まる時に体温が下がり、皮膚血管が拡張しやすくなり、循環する血液量が増えます。また、汗に含まれるミネラル分が減り、水に近いさらっとした汗になります。暑くなった時に、疲れにくい汗を大量にかくようになります。
環境省によると、「暑熱順化」は通常1~2週間程度かかります。一方で、1週間程度、涼しい環境にいると、体の変化は元に戻ってしまいます。クーラーの中だけで過ごすと、急に気温が上がる梅雨の晴れ間やこれから訪れる猛暑日に、夏バテを引き起こしやすくなります。適度な水分摂取やこまめな休息を取りながら、ゆっくりと体を暑さに慣らして行く事が重要です。
一般的に、夏場は室温を25〜28℃に保ち、湿度を50〜60%にすると、快適に過ごせます。しかし、ただ気温の数字だけに着目し、初夏にクーラーを使い過ぎると、気候の変化について行けず体調不良を引き起こす可能性があります。クーラーの使用が必要になるのは、湿度や気温が上昇する時期になってからが良いのではないでしょうか。
気温が高い時は、日差しを避けるために洋服や帽子を身に着ける事や日傘を使用する事も対策として考えられます。いかなる時も、「体性感覚」を重視して、洋服をこまめに脱ぎ着する事が、体調維持のポイントだと考えます。
快適な状態を保つための工夫として下記コラムを書いています。ご興味がありましたら、ご覧戴きたく思います。

低体温の人は暑がり?クーラーの中で生活する本当の怖さとは?
就寝中のクーラーは体調不良を引き起こす?体温低下が招く危険性とは

■ クーラーで体が冷えて体調不良になったら鍼灸治療や瘀血治療が有効です

体が気候に〈順化〉していない時期(4月から6月)にクーラーを使用した場所に長時間いると、寝違えやぎっくり腰を起こしやすくなります。また、手や足がしびれる、体がだるくなる、呼吸が苦しくなる、下痢をする、神経痛になる、蕁麻疹が出る、関節に痛みが出るなど、様々な不調を感じるようになります。また、体性感覚が悪くなると、不用意にぶつかる、転倒する事等が多くなり、骨折・捻挫・肉離れなどを起こしやすくなります。
鍼灸治療は、健康維持や症状改善に有効です。体温維持が難しいと感じている人や低体温でお悩みの方は、是非鍼灸治療(内外科治療)をお試し戴きたく思います。薬物治療(内科治療)や外科手術(外科治療)をした後に体調不良を感じている人は、身体の外側から内臓機能に働きかける事が可能な鍼灸治療(内外科治療)が有効ですので、お近くの鍼灸院または鍼灸師が勤務している医療提供施設にご相談ください。また、外傷をしたらすぐに接骨院または柔道整復師が勤務している医療提供施設にご相談ください。6時間以内に処置をすれば、外傷の治癒期間短縮につながります。

清野が呼称する養正(ようせい)治療は、日常の適正な生活です。詳しくお知りになりたい人は、清野鍼灸整骨院ホームページ「くらしと養生」をご参照願います。
体調管理や健康増進には、運動法や呼吸法が有効です。ヨガ(YOGA)療法をご希望の人は、清野メディカルヨーガもしくはお近くのヨガ教室にご相談頂きたく思います。

清野充典

東洋医学と西洋医学の融合を目指す鍼灸師・柔道整復師

鍼灸師

清野充典さん(清野鍼灸整骨院)

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