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「フキハラ」不機嫌ハラスメントをする夫や妻の心理とは?夫婦が良好な関係を築くためにできることとは

カテゴリ:
メンタル・カウンセリング
キーワード:
夫婦問題 相談

不機嫌な態度をあらわにし、その場にいる人を悩ませる「不機嫌ハラスメント」、通称「フキハラ」と呼ばれるワードがSNS上で話題になっています。

自分の思い通りにならないことがあると、すねたり、嫌な顔をしたり、突然黙り込んで無視し続ける…など、身近な人の「不機嫌な態度」に悩まされている人は少なくないようです。特に、家族やパートナーの場合、いつ不機嫌になるかわからない相手と過ごすのは負担も大きく「精神的に疲れ果ててしまった」というケースも見受けられます。

愛しているはずのパートナーを萎縮させるほど、不機嫌な態度をとってしまう夫や妻の心理とはどのようなものなのでしょうか?パートナーとの関係をよりよくするための方法について、夫婦カウンセラーの緒方リサコさんに聞きました。

自分の感情をうまく言語化できないことが「不機嫌」という形にあらわれる。ネガティブな感情を認め、どんな状況に反応するのかをお互いに知ることが大切

Q:「フキハラ」というワードが話題になりましたが、これまでもパートナーの「不機嫌」に悩まされているという相談は多かったのでしょうか?
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暴言や暴力を伴わずとも、「パートナーが急に不機嫌になる」という悩みは根深く、夫婦の問題として長年多くの相談が寄せられていました。以前は、夫の不機嫌に悩む女性からの相談が圧倒的に多かったのですが、近年は「妻の地雷がわからない」という男性からの相談も増えています。

不機嫌になるきっかけや原因がわからず、パートナーに不安や恐怖を感じさせるまでに至るのが、ハラスメントの境目と考えられます。

「子どもの反抗期のようなもの」と思えるレベルならいいのですが、「外出先で周囲の人を困らせるほど不機嫌になる」「高速道路の運転中に機嫌が悪くなって運転席から降りて出て行ってしまった」など、日常生活に支障をきたすケースもあります。家庭内の問題なので表面化しにくく、パートナーは萎縮して自信をなくし、不機嫌がエスカレートするということも少なくありません。

Q:不機嫌な態度をあらわにする人の心理とは?自覚はあるのでしょうか? 根底には何か深い問題があるのでしょうか。
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相手に恐怖心まで抱かせているという自覚がなく「パートナーから指摘されて初めて気付いた」というケースが多いです。気付いていれば改善できるのですが、「無意識」だからこそ難しい問題だと感じます。

誰しも機嫌が悪くなることはありますが、「急に不機嫌になって相手を困らせる」というパターンに陥るのは、自分の感情を言語化し、理由をうまく口に出せないためです。

その原因はさまざまですが、一つは幼少期の育てられ方に影響していると考えられます。

子どもは、自分の感情を他者に受け止めてもらうことで、「悲しい」「イヤだ」といった感情を伝えられるようになり、適切に気持ちを消化することを覚えていきます。ですが、感情を抑えつけられるような環境で育つと、気持ちをがまんするようになり、悲しみや怒りが蓄積されてしまうのです。

特に男性は、不機嫌になると黙り込む人が多いと思います。これは親が過干渉だった場合、黙ってその場をしのぐことが自分を守る最善の策となっていて、いわば成功体験になっているのです。もしくは、幼少期にきちんと反抗期ができなかった分、自分を大事にしてくれるパートナーがあらわれたことで、反抗期が出てきているケースもあります。

また、幼少期には「だめな部分」も含めて自分を認める自己受容感を育むことが望ましいのですが、テストの点数など結果だけをほめられるような育ち方をした場合、「結果を出せない自分には価値がない」と思い込みやすくなります。すると、例えばパートナーに「なんでお皿を洗ってくれないの」と言われただけでも、自分と行動を切り離して捉えられず、アイデンティティーを否定されたと感じてしまうのです。

普段は真面目で「家庭内でネガティブな発言をしてはいけない」と思っている人ほど、急に不機嫌になることも少なくありません。本当はパートナーのちょっとした言葉にも傷ついているのに「イヤだといえない」「嫌われたくない」と思うからがまんし、小さなことが積み重なってキャパオーバーになってしまう。素直に自分の意思表示ができる人なら「そんなこと言われると悲しい」と、都度伝えられるので、相手も気を付けることができるのです。

加えて、現代社会は忙しい人が多い。特に女性は昔に比べて、「結婚も出産も仕事も」という社会からのプレッシャーもあり、完璧主義に陥りやすくなっています。幸せのハードルが上がっていて、どんなにがんばっていても自分や家族を認められず、ライフプランニングがずれたりするだけで、心のバランスが崩れてイライラしまうケースも多いのではと思います。

Q:不機嫌な態度をあらわにするパートナーに対して、どのような対応をとればいいでしょうか。
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今までの行動パターンが現在の結果につながっているので、相手が不機嫌な態度をくり返す場合、かかわり方を変える必要があります。

例えば「ごめんね」と毎回謝っても機嫌が直らないなら、「不機嫌になれば相手が優しくしてくれる」という記憶がパターン化されている可能性もあります。その場合、「不機嫌になる理由がわからなくて悩んでいるので、これからは話し合って解決していきたい」と、毅然とした態度をとることも大切です。

根本的に解決するためには、無意識を顕在化し、どんな状況やワードに対して不機嫌になるのか、反応ポイントをお互いに認識することが必要です。

不機嫌になる原因がわからないと、本人も相手も辛いものです。当人を責めるのではなく「より良い関係をつくるために、今は自分を知らないだけなんだから知っていこう」という姿勢で話し合いを進めてほしいと思います。冷静な話し合いが難しい場合、カウンセラーなど中立的な第三者に入ってもらい、感情を整理し、俯瞰してみることも有効です。

あるいは、「親の不機嫌な態度は子どもを萎縮させる」という事実を知ったときに、「子どもにはそんな思いをさせたくない」と意識が変わる場合もあります。命を継承する存在への思いが、自分の被害者感情を超えることもあるのです。

Q:「自分自身がパートナーに不機嫌な態度をとっていたかもしれない」と気付いた人も多いようです。家庭内で「フキハラ」をしないために、心がけたいことはありますか?
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生きていれば、不機嫌になる日があるのも当然のこと。ネガティブな感情を持つことを悪く思わず、誰よりも自分が自分の一番の味方であってほしいと思います。

「あの人が嫌い」「仕事で腹が立った」といった感情も素直に認め、「辛かったよね」と、自分に感情を持つことを許しましょう。自分の感情を認められれば、「こんなことを言われると辛いからこうしてほしい」といった思いを言語化しやすくなり、円滑なコミュニケーションにつなげることができます。

相手に不備はないのに、うっかり不機嫌な態度を出してしまったら、気付いたときに謝り、理由と正直な気持ちを伝えましょう。不機嫌になるのが悪いのではなく、原因がわからないから相手は不安を感じるのです。

もし、自分の内面の問題が、幼少期の家庭環境に起因すると気付いたら、「自分は気付けたのだから、私がこの連鎖を断ち切る役目になる」と考えてみてください。人は何歳からでも変わることができ、辛い経験は優しさという強みに変えることもできるのです。

Q:夫婦が良いパートナーシップを築いていくために、大切なことは?
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夫婦であっても、お互いの価値観を完全にわかり合うことは難しいもの。ですが、かかわり方を変えることで、関係性を良くすることはできます。一方だけががまんする、譲歩し続けるといった状況を避けるためには、相手の色に染まりすぎるのではなく、「対等なコミュニケーション」を意識してほしいと思います。

ポイントは、相手の価値観をすべて「受け入れる」のではなく、「受け止める」。相手の話を聞き、「あなたはそう思うんだ」といったん受け止めて、自分はどう思うか考えてみる。その上で、お互いに納得できる策を考えていくのです。

相手の価値観を客観的に理解していくことは、自分の素直な価値観を知ることにもつながります。

素直な自分の気持ちを認めることは「八方よし」です。日本ではがまんが美徳と思われがちですが、がまんしてイライラしても誰も幸せではありません。「なぜか不機嫌になってしまう、心に引っかかっていることがある」と思ったら、勇気を出してその状況を振り返り、辛かったことを打ち明けてみましょう。自分を信頼してくれているパートナーであれば「辛かったね」「がんばっていると思うよ」と、心に寄り添ってくれるはずです。

気持ちを共有できる相手がいれば心強く、喜びは2倍に、悲しみは半分になります。お互いに理解し、理解され、パートナーが「この人の役に立っている」と思えることも幸せにつながるのです。

自分やパートナーの「不機嫌」という感情に気付いたときこそ、夫婦が新たな関係性を築くチャンスになるのではないでしょうか。

緒方リサコ

幸せなパートナーシップを築ける自分をつくるカウンセラー

夫婦カウンセラー

緒方リサコさん(ピリアロハカウンセリング)

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