子どものSOSのサインに気づく!〜子どもの自殺を防げるのは親〜
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多岐に渡る子どもの自殺の原因
私が子どもの悩み専門の家族カウンセラーを始めて10年以上経ちました。その間、悩みを抱え苦しんでいる子ども達は増え続けています。昨年(2020年)小中高校生の自殺者は100人増えて499人に。今年はそれを上回る勢いで、毎月前年よりも増えている現状があります。
自殺の主な原因・動機は、いじめだと思われがちですが、家族・親子問題(不仲・しつけ・叱責)、病気の悩み(うつ病・統合失調症・その他の精神的疾患)、男女問題(恋愛・交際)、学校問題(進路・学業不振・学友との不和)など実際は多岐に渡っています。いずれのケースも、子どもの心のコップから悩みがあふれ出し、その悩みを解決できずに自殺に追い込まれているように感じます。
自殺の危険性が高いサインは?
子どもの自殺の危険が極めて高いと認識されるサインとしては、リストカット、自殺念慮、無免許運転による事故や、医師の指示による治療拒否、子どもによる自殺願望の表明(メール・死後の世界の話題)などがありますが、子どもによっても違いますので、親や大人の観察力が大切となります。
「消えてなくなりたい」「生きている目標も意味も見いだせない」といった言動も自殺を示す危険なSOSのサインです。
子どもは本来、親や社会に向ける怒りや不満といった感情を外に出のですが、自ら命を絶とうと思う子供は自尊感情が低いことが多く、「私はダメな子どもである。生きる価値がない人間だ!」と自分を責め続ける傾向があり、それが行き過ぎると「自殺」につながることになるのです。自殺は現実の辛さから解放されるためで、自傷(リストカットなど)は正気に戻すためにすることが多いのですが、自傷行為から正気に戻ったとしても問題の根本的な解決法にはならず、長期的には自殺のリスクは維持したままとなるのです。
子供の自殺願望に対してどのように対処すべきか?
もしもおこさんに「死にたい」言われた時にはどんなことができるでしょうか。子どもは世界中の誰でもなく、あなたに相談をしているのです。まずは子どもの「死にたい」という胸の内を最後まで聞いてあげてください。そして「あなたが死んだら私は悲しい。死なないで!」と伝えて欲しいのです。「弱い私でごめんなさい。ではさようなら」と遺書に書かれていました。その子は誰も責めず一人で旅立ちました。
自殺予防の対応で推奨されている「Talkの原則」があります。Talkは自殺の危険が高まった子どもだけでなく、悩みを抱えている子どもにも有効です!
① Tell 言葉に出して心配をしていることを伝える
② Ask 「死にたい」という気持ちについて、素直に尋ねる。
③ Listen 絶望的な気持ちを傾聴する。
④ Keep safe 安全を確保する。子どものSOSに気づけるのは身近な親です。
子どもの自殺のサインに気づいたら、あたたかく寄り添い、見守ってほしいと切に願います。
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