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光浦靖子さんのコラムに共感の声 アラフィフ女性が抱える「生きづらさ」の正体とは

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メンタル・カウンセリング

タレントの光浦靖子さんが、雑誌「文藝春秋」11月号で発表したコラムが話題です。4月に予定していた留学が新型コロナウイルス感染拡大により行けなくなったことや、50歳を目前に留学を決めた理由などがつづられています。

その中で書かれた、「わかりやすく私を必要としてくれる人が側にいません」「自分に満足するもしないも、他人からの評価でしか決められない」「もう考え方を変えられるほど柔軟じゃない」など、アラフィフ女性が抱える複雑な心情に、芸能界からも共感の声が相次ぎました。
文春オンライン10月15日付記事「『49歳になりまして』芸歴28年・もう一つの人生も回収したい」より一部抜粋)

アラフィフ女性が何となく感じている「生きづらさ」の正体は何でしょうか?また、生きづらさを解消する方法は?自分らしく生きる女性を応援する生き方・働き方カウンセラーの鵜飼柔美さんに聞きました。

自分らしい人生を生きている実感を持てないことが不安やモヤモヤの要因に。失ったものに執着せず、「得たもの」に目を向けるとラクになる

Q:光浦さんのコラムに、同世代の女性から共感する声が上がりました。その理由は?
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光浦さんのような芸能人でなく、組織で働いている人でも、50歳前後になると、若いときのようにスキルを磨いたり、レベルの高い仕事や昇進・昇格を目指したりといった、キャリアの成功を求めるモチベーションやエネルギーが少なくなってきます。自分の能力の限界を感じたり、冷静な目で周囲と比べたりして、「自分は部長までかな」など、これ以上先に行けないラインが見えてきます。

これは、キャリアを重ねるとともに昇進してきた状態が停滞する「キャリアプラトー」と呼ばれる現象で、男女限らず伸びしろをなくして意欲が低下する、アラフィフの年代の人が陥りやすい状態です。光浦さんの「年とともに仕事が減る」という境遇に、自分を重ねる女性が多かったのではないでしょうか。

また、同世代の女性芸能人には、「奇跡のアラフィフ」と呼ばれるような石田ゆり子さんや永作博美さんなど憧れの対象もいますが、「自分はそこまではいけない」「一発逆転はない」と、現実を見ているアラフィフ女性にとっては、光浦さんをより身近に感じたのだと思います。

Q:「アラフィフ」と呼ばれる40代後半から50代前半は、女性にとってどのような時期ですか。
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まず、特に女性にとって大きな変化となるのが、体の変化です。ホルモンバランスが変わり、更年期を迎えることで、男性に比べて、「加齢」という事実を突き付けられます。

特に、閉経で生理がなくなることで、「女性としての魅力が減った」と感じてしまう女性は多いです。若い女性ほどチヤホヤされる風潮を否定的に見ながらも、いざ自分が「おばさん」扱いされると、「華やかな時期は終わった」と喪失感を抱きます。

また、周囲の人との関わり方も変わってきます。子育てでは、「自分がいなくては何もできない」と思っていた子どもが自立し、手がかからなくなり、孤独を感じる人が多くなります。また、仕事では、役割が変わるなどで、「第一線ではなくなった。自分は中心ではない」と思う場面が増えます。

人生を80年として、日の出から日の入りまでの時間に例えると、ちょうど真ん中の40歳が「人生の正午」に当たります。アラフィフは、明るく勢いがある日中が過ぎ、徐々に日暮れを感じる時間帯くらいでしょうか。つまり、残された時間を考えざるを得なくなるのです。

ポジティブにとらえると、自分の新しい役割を見いだす時期とも言えます。子育てなら、だんだん大人になっていく子どもとどう関わるのかを模索するタイミングでしょう。例えば、「家でご飯を食べてくれなくなった」などと嘆いていると、孤独感が深まるばかりですが、「家事がラクになった」と気持ちを切り替えると、上手に変化を受け入れることができます。

Q:アラフィフ女性が感じる「生きづらさ」の正体は何ですか。
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人生100年時代と言われるようになったものの、身近なロールモデルがいないことが、不安を感じる大きな要因だと言えます。芸能人のような憧れの対象ではなく、職場などにお手本となる50代・60代の女性がいないと、将来を具体的に思い描けません。

また、「自分の存在が大事にされていない」「自分の人生を生きていない」と感じていることも、生きづらさにつながっています。子育てが一段落したと思ったら、次は親の介護と、「いつまでも自分の時間を誰かに消費されている」と感じているアラフィフ女性は少なくありません。時代を経て、徐々に変わってきているとはいえ、世間一般では「子育てや介護は女性が担うもの」という認識が根強くあります。女性自身も、従来の価値観にとらわれがちで、生き方を窮屈にしています。

加えて、アラフィフ女性では、自分の健康問題も徐々に出てきます。将来、自分のために時間を使えるようになったときには、人生のピークが終わっているのではないかと思い、モヤモヤした気持ちを抱えてしまうのです。

Q:光浦さんは、英語が話せなくて逃げてしまった大学生の頃を「人生の分岐点」として、そこから「もう一つの人生を回収したい」と、留学を決めたと言います。アラフィフの時期に、自分の人生を見つめ直す効果とは?
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アラフィフのタイミングで、第二の人生を考えることは大きな意義があります。多くの企業で定年となる60代よりも、まだ若さのある40代・50代のうちからゆるやかに準備をしておくことで、定年後の人生をスムーズに始めることができます。

また、光浦さんのように、前半の人生でやりたくてもできなかったことや、やり逃したことに改めてチャレンジしておくと、後々「やり残したことがある」と後悔することがなくなります。

アラフィフは、自己実現や新しい生き方に挑戦できる良いタイミングです。「自分らしく生きている」という実感も持てるようになるでしょう。

Q:何となく不安を抱えているアラフィフ女性が、少しでも肩の荷を下ろして生きていくために、普段から意識できることはありますか?
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すでに終わったことや失ったものには、執着しないことです。失ったものがあれば、代わりに得たものが必ずあるのです。年齢を重ねて、肌のハリ・ツヤは失われたかもしれませんが「人間味が増した」「懐が広がった」など、若いときにはなかった新たな魅力が加わっています。

内面では、仕事以外の子育てや介護など、家族との時間も含め、これまでに得たものを改めて見つめ直してみると、自分でも知らないうちにスキルや強みが身に付いているはずです。見た目では、例えばグレイヘアなど、今の年齢だからこそできるファッションやメイク、ヘアスタイルを取り入れてみると、新たな発見があるかもしれません。

また、変化を感じたときに、ポジティブな意味付けをする「リフレーミング」を意識的に行ってみるのもおすすめです。例えば、子どもと一緒に過ごす時間がなくなったと感じたら、「自分の時間が増えた」。仕事上で役割が減ったと感じたら、「しがらみが少なくなったんだ」というように。見方を変えるだけで、自分自身がラクになります。

これまでの人生を糧に、「今度こそ自分がしたいように生きてやる!」と思えば、気持ちに余裕が出てきますよ。

自分らしく生きたい女性を応援する生き方・働き方カウンセラー

鵜飼柔美さん(オフィスファーロ)

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