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〝おじキュン〟現象で年上男性の魅力を再認識。婚活現場に年の差婚の追い風は吹く?

カテゴリ:
冠婚葬祭
キーワード:
婚活マッチング
{おじキュン現象}

ドラマやCMで起用された中年俳優やお笑いタレントの魅力にハマる女性が増えています。ドラマ「私の家政夫ナギサさん」(TBS系)の俳優大森南朋さん、「おじさんはカワイイものがお好き。」(日本テレビ系)の眞島秀和さん、CM「明治 TANPACT」に田中みなみさんの夫役で登場したお笑いコンビ・ずんの飯尾和樹さんなど。SNS上では「安心感がある」「キュンキュンする」「田中みなみさんと意外にお似合い」と話題に。

いずれも、正統派俳優や非モテ系と言われるタレントが〝自然体のおじさん〟として登場し、癒やし系として描かれた姿が、20代30代の女性の心をつかんだようです。結婚相談所では、若い女性が理想としている「高収入」と「なるべく少ない年齢差」は、両立しにくいという問題がありました。

この〝おじキュン現象〟は、晩婚化が進む婚活現場でも起こり得るものなのでしょうか?若い女性が恋愛や結婚の対象として見るのはどんなおじさんなのでしょう?
婚活の実情を、婚活プランナー・原 敦子さんに聞きました。

癒やし、落ち着きに加えて〝ギャップ萌え〟など、おじさんの魅力は未知数。婚活現場では、客観情報のイメージにとらわれないことが〝キュン・萌えポイント〟を見つける近道になるかも

Q: 2000年代にもてはやされた〝ちょいワルおやじ〟から、おじさんの日常を観察した書籍「おじさん図鑑」やリアルなおじさんの便利屋「おっさんレンタル」が話題を呼ぶなど、おじさん観は時代によって多様化しています。現在の〝おじキュン現象〟が意味するものは?
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女性が社会の中で当たり前に仕事を持ち、活躍する機会が増えています。厳しい就職戦線を乗り越えてきた彼女たちの中には、社内の同世代の男性は「ライバルとしか見られない」という人もいるようです。話題になったドラマのように、仕事に没頭し、気持ちが張り詰めていた女性が、ふと「癒やされたい」と思う様子などが、現代女性の共感を呼んだのでしょう。

いつの時代も、若い女性が年上男性に期待するのは「一緒にいると肩の力を抜いて甘えられる」「大人の落ち着きがあり、感情的にならない」といったことですが、近年は、それまでのイメージとは異なる意外な一面を見たときの〝ギャップ萌え〟のような要素も加わったように思います。

30代前後の女性が、社内でミドルエイジの男性に対して「お父さんに近い存在」「異世界の人」としか認識していなかったのに、何かのきっかけで話が盛り上がったり、指導的立場だった人が、ちょっとしたことができなかったりすると、思いのほか親しみ深い印象を持つことがあるようです。

年齢や時代に限らず女性には母性本能がありますから、「意外にかわいらしいところがある」男性に、好意を持つことは不思議ではありません。

ドラマから派生した〝おじキュン〟はファンタジーでしかありませんが、多くの人が共感するからこそファンタジーになり得るので、実生活でも全くあり得ない現象ではありません。

Q:一般的には40代以上の未婚男性に対するイメージに変化はあるのでしょうか?
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「おじさん」と言うと、説教臭い、自慢話が多い、加齢臭、声が大きい、中年太り、話がしつこい、ファッションがダサい、おやじギャグ…とマイナスイメージが先行しがちです。

現実には、一人一人、生きてきた過程や環境、性格、考え方、センスもさまざまで一様ではありませんが、固定観念として、ある年齢以上はおしなべて皆そうであるかのように思ってしまうものです。悲しいかな時代が変わっても、世の中に広まったイメージを払拭することは容易ではありません。

男性自身も、40代以上ともなると「若い人とは違う」とは思っていても、「自分だけは世の中のおじさんのイメージほどダメダメではない」「自分はまだイケている」という人がほとんどです。実際、婚活に訪れる人に大きな勘違いはないにしても、「若い人とは違うから、良い方向に何かを変えよう」とまで意識する人は、なかなかいないものです。

世間が抱くおじさんのイメージと、実際の自分がそう遠くないにも関わらず、「今のオレで何が悪い」と思っているような人は、ほとんどの場合、嫌でも現実を知ることになります。

Q:恋愛や結婚の対象として魅力的なミドルエイジの男性と、そうではない人とでは、何が違うのでしょうか?
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最低条件として外せないのは「清潔感」ですが、今どきこれをクリアできない男性の方が少ないでしょう。よく言われる経済的な余裕も、よほどの大富豪でもない限り、それが何を置いても大きな魅力になるということはありません。会社の中堅どころにもなると、少なくとも生活に困ることはないはずです。

若い女性の好むレストランやファッション、話題などに詳しく、趣味が豊富で仕事ができて…といった年上男性がもてはやされた時代もありましたが、経済が低迷している現在では、それも多様な価値観の中のごく限られた要素の一つでしかありません。

また、人との相性などはとても個人的なもので、〝キュンポイント〟や〝萌えポイント〟は女性の目線によって変わります。男性が、意図してできることでもありませんから、「ここを押さえていればOK」ということがないのが難しいところです。

ただ婚活現場では、アクティブでない男性は魅力に乏しいと思われることがあります。仕事以外の何かに夢中になっている男性は魅力的ですし、多趣味ではなくても、普通に世の中の話題に興味を持っていれば、話題に事欠かないはずです。

さらに婚活現場でアピールする際に必要なことを加えるなら、相手に対する配慮を十分に尽くすこと。冗談抜きで、年齢に関わらず、どちらも王子さま・お姫さま役に徹するつもりで行動するにこしたことはありません。興味が無い対象に急に冷淡な態度をとるのは、旧来のおじさん像そのもので、誰の目にも魅力的には映りません。

Q:婚活現場では、理想とされる年齢差と、実際に成婚に至るケースとに違いがあるのでしょうか?
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婚活現場の過去のデータでも厚生労働省の人口動態調査でも、男性が7歳以上年上というカップルは1割程度で、決して多いとは言えません。また、30歳前後の若い女性の婚活は増える傾向にありますが、彼女たちの多くが希望するのは、「年収600万円以上、年齢差は5歳以内」というもので、単純に考えれば、年収をクリアするなら同年代より「もっと年齢差がある男性が理想」ということになります。

一方ミドルエイジの男性の方も、子どもを持ちたいと考えると、少しでも若い女性を希望するということがあります。いまや40代の妊娠・出産は珍しいことではありませんが、自分と同世代の女性では可能性が皆無と思い込んでいる男性が多いのです。

芸能界では、10~20歳ほどの年の差婚がたびたび話題になりますが、実際の婚活現場では非常にまれなケースというほかありません。婚活現場で速やかに成婚に進むのは、やはり5歳ぐらいまでの年齢差で、家庭環境や学歴などが似通った人同士というケースがほとんどです。多くの人が、プロフィールの客観情報のみでイメージしてしまい「そこから先へ進む機会すらない」というのが現実です。

実際に会えば、思わぬ共通点やお互いの魅力に気付くこともできますが、ドラマのような演出でもない限り凝り固まったイメージを変えるのは難しい、というのが現実です。

Q:おじさんのイメージに〝おじキュン〟などのポジティブな要素が加わったことで、婚活現場が活性化するようなことはあるのでしょうか?
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女性が結婚相手を選ぶとき、価値観や金銭感覚が合うこと、経済力などが重要ポイントであることは多くの意識調査で明らかです。ただ恋愛でも10歳以上の年齢差がある場合は、「親や友人に紹介しづらい」と悩む女性が多く、この状況はすぐに変わるものではないと思います。

婚活現場で、今回のおじキュン現象のようなポジティブ要素が芽生えたとしても、実際に出会う機会がなければ伝わりようがないのが残念なところです。
それでも「ほかの点は好印象で、年齢差だけが不安…」というケースで、むやみなマイナスイメージを排除することになれば、思わぬ共通点や魅力を見つける機会が増えることになるでしょう。

「プロフィールの相性ならバッチリのはずなのに、結婚生活は想像したものと大きく違う」などというのはよくあることです。多くの場合「家に帰れば、この人がいてくれて、幸せにしてくれる」という〝イメージ〟に期待しているに過ぎません。人と人との関わりに確実なものなどはないのです。

婚活も結婚生活も「愛あるところに幸せが訪れる」と信じたいと思います。
「この人と2度と会えなくてもいいのか」と自らの心に問いかけたときに、自分なりのドラマを始めるためには、まずは出会ってみないとどうにもなりません。

幸せな結婚へと導く仲人の専門家

原敦子さん(日本仲人協会 大淀支部 結婚相談所 マリアージ・グリーンフィールド)

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