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俳優の大東駿介さんが入籍の事実と妻子の存在を告白。家庭を持つことへの強い抵抗感は過酷な生い立ちが影響?

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メンタル・カウンセリング

人気実力派俳優の大東駿介さんが、2015年に入籍し、3人の子どもの父親でありながら別居婚であったと告白。現在は家族と同居しているが、幼少期にネグレクト(育児放棄)を経験したため、家庭を持つことに不安があったとも語りました。「家庭崩壊を経験したことは気の毒だが、それを言い訳にするのは身勝手」「夫婦の形はそれぞれだが、納得できない」という声が大半であるものの、赤裸々な告白と過去のトラウマを乗り越えて家族5人で暮らしているという現在の姿には、同情やエールを送る声も。

近年では、幼少期に家庭内で受けた心理的な傷の影響により、親密な人間関係の支障に悩むケースにおいて、「アダルト・チルドレン(以下AC)」という概念を用いた臨床研究やカウンセリングの報告がされるようになってきました。ACの臨床実践を専門とした臨床心理士・カウンセラーの明石郁生さんに聞きました。

ACは偏見を持つための言葉ではなく、自分を探求する人が、自分自身を自覚するために使うひとつのコンセプト

Q: 家庭を持つことや親になることに不安があるのは、多くの人が感じることのはずですが、幼少期の過酷な体験はこの抵抗感にどのように影響しますか?
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一例として、養育者が情緒的に不安定な環境であった場合、子どもは「ぼくのせいで両親が不仲なのだ」「愛されないのはわたしが良い子でないからだ」と自分自身の感情や心身の発達を封じ込めてしまうことがあります。これは、「取り込み」(養育者の不安定な感情・情緒を取り込むという意味)と呼ばれる無意識な心的防衛メカニズムです。子どもはこの心的防衛メカニズムを使って、なんとかその場所(家族)に居場所を作ろうとするのかもしれません。

しかしながら、本当は「お父さんとお母さんにケンカをやめてほしい!」「ぼくに無条件に関心を向けてほしい!」という子どもながらの強い怒りの感情をふさいでいるかもしれません。そうした事例では、心身の発達に伴い、恋人や妻、子どもたちへの自然な愛情が湧き起こるにつれ、ふさいでいた怒りが浮上し、違和感として表れたり、または怒りや悲しみの衝動が爆発しないよう、自然に湧き起こる愛情を封じ込めなければならないと認知し、行動してしまうなどのケースも少なくありません。

Q:ACの概念とはどのようなものですか?
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ACとは米国において、アルコール依存などの問題を抱えた家族と子どもたちを対象とした治療者から生まれた言葉でしたが、日本では米国の指摘に加え、機能不全家族の中で育った人々の心的外傷の後遺症、家族トラウマに悩む人々を臨床対象とするための言葉として拡張されました。

ACはとても良い子で勉強家、多才ですが、心の傷に自分の言葉や行動が限定されていて、対人関係や自分が自分であるという認識や感覚にくりかえし困難を抱えてしまうという傾向が挙げられます。

<参考文献>
「アダルト・チルドレンと癒し- 本当の自分を取りもどす」 西尾和美(1997)学陽書房.
「アダルト・チルドレンと家族- 心のなかの子どもを癒す」 斎藤学(1996)、学陽書房.

Q:虐待の一つである「ネグレクト」(育児放棄)など、虐待は当事者でも自覚しにくい場合がありますが、なぜでしょうか?
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自粛時間を家族で分け合ったり、将来への変化の準備として活用してみるなど、ストレスを栄養として扱うことは、健康的な心のあり方のひとつですが、なかなかそのようにはいかないケースもあります。

例えば、養育者が自身の怒りや不満などの感情に無自覚な場合、弱い立場の子どもたちに向けて解消しようとしてしまう事例もあります。これは、虐待のメカニズムの一例です。

また、コロナ禍における「自粛警察」のようなケースでは、過剰な監視や誹謗中傷の行為が、正義感にすり替えられて他者に向けられている形なのかもしれません。

虐待を受けている子どもは、自分にとって大切な養育者が「自分に罰を向けてくるはずがない」「自分が悪いから罰を受けるのだ」と思い込もうとします。
怒りを表出すると親から見捨てられると感じていて、そのことを先生や他の大人にも言いません。良い子であろうとし続けなければ、生き延びることができないからです。

Q:ACの男性の場合、家庭の中の父親というポジションには抵抗があるが、それ以外の関係性なら恋愛や同居など、ある程度の関係を築くことができるのでしょうか?
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ある一定の関係性、例えば、恋人とのデート、食事、性行為などの関係性を持つことには違和感を持たないかもしれません。前述の事例のように、それらが深まって行き、深い感情の交流が湧き起こるような関係性になるにつれ、「見捨てられてしまうのではないか」「怒りが暴走してしまうのではないか」と実感してしまうのかもしれません。

Q:大人になってからも、何かのきっかけさえあれば幼少期のトラウマを克服することができるということでしょうか?
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臨床の場では、克服するという言葉よりも「自分自身の栄養に変容していく」という言葉を使います。心理臨床家は、「家族や養育者から全く傷を受けていない人は存在しない」という仮説を持っています。私たちは傷を癒やしながら、精神的に成長する存在です。

セラピーを受ける必要があるかどうかは、その傷の深さによるでしょう。失恋をしてひどく落ち込んでしまうようなことと、実のところ変わりありません。

仕事で出会った先輩たちに父親や母親の影を見て、適切に怒られたり、愛情を持って励まされたりしながら、養育者から得られなかった情緒交流を体験することは、自身の傷を癒やし、新たな関係性を育て直す機会につながります。

そうした体験を繰り返しながら、私たちは人との関係性の中で成長していきます。俳優という職業は、他者を演じる仕事だそうですから、真剣に取り組めば取り組むほど、自分自身の育て直しの機会になるのでしょう。

ACのセラピーでは、グループでドラマを取り入れたワークを行うことがあります。他者の役割を演じる体験を通して、自分自身を探求していくための臨床的な試みの一つです。理論基盤は諸外国にいくつもあります。

「親密な人間関係がうまくいかない」「親との関係に困っている」「自分はACではないだろうか?」という悩みの背後には、〝ほんとうの自分自身になろうとする流れ〟があるのかもしれません。

少しじっくりと味わってみることを提案します。お一人では大変なときは、専門家に声をかけてください。

明石郁生

「あなたらしい生き方」をサポートする臨床心理士

臨床心理士・カウンセラー

明石郁生さん(家族とAC研究室)

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