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  1. 残業代は悪しき制度?残業と労働時間の本質をあらためて考える

残業代は悪しき制度?残業と労働時間の本質をあらためて考える

カテゴリ:
ビジネス
キーワード:
働き方改革
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先日、カルビー・松本会長が残業や残業代について語ったことがネットで話題となっていました。今回は、残業制度と残業代、残業の本質について考えてみたいと思います。

働き方改革で残業を含む労働時間のあり方が見直されてきている

働く人であれば、誰でも残業の経験はあるものです。ただ、政府による「働き方改革」が進みつつある今、毎日当たり前のように残業する状況ではなくなりつつあります。

2018年5月29日、「働き方改革関連法案」が衆議院を通過しました。与党は6月の会期末までの成立を目指しています。働き方改革関連法案には、一定の要件を満たした者には残業代を支払わなくても良いことを認める「高度プロフェッショナル制度」、いわゆる「残業代ゼロ法案」が含まれています。働き方改革が進むにつれて、労働時間のあり方が見直されようとしています。

それでは、残業代は今の時代にそぐわない「悪しき制度」なのでしょうか。制度の成り立ちや残業代を支払うデメリット、何のために残業をするのかについて考えていきましょう。

残業代の性質・法的位置づけをあらためて確認

そもそも、残業代とは何でしょうか。残業代や残業手当など、日常的には同じ意味で使われていますが、残業した時間に対して支払われる割増手当のことです。

労働時間には、「法定労働時間」と「所定労働時間」があります。労働基準法で定められている労働時間の上限が「法定労働時間」です。原則として1日8時間、1週間40時間になります。これに対して「所定労働時間」は、職場で定められている労働時間のことです。これは、法定労働時間以内で会社ごとに就業規則で決められています。

所定労働時間を超えた時間外労働に対して、または法定労働時間(1日8時間、1週40時間以内)を超えた労働に対して、残業代として割増手当が支払われます。法定労働時間を超えた場合の割増率は25%で、休日労働の場合の割増率は35%です。

日本で残業がなかなか減らない3つの理由

働き方改革が進むにつれて働き方に対する考え方が多様化してきていますが、他方でまだまだ多くの企業で日常的に残業があります。

それでは、なぜ日本の企業では、なかなか残業がなくならないのでしょうか。大きく分けて、3つの理由が考えられます。

1.その企業に残業が当たり前の風土があったり、その職場の管理職が当たり前に残業をしていたり、帰りにくい雰囲気がある職場では、一般社員は帰りにくいものです。

2.過度の業務の効率化や採用難により、欠員補充がなされることなく、今いる社員が残業で業務を回しているような職場では、残業が日常となり慢性化しています。

3.残業代は、時間外割増手当です。割増手当を期待して不必要な残業をすることで、残業代を当てにした生活設計をしていると、慢性的な残業が発生します。また、長時間にわたり職場にいることが、仕事の評価と思い込んでいる場合にも長時間労働につながります。

企業と社員の双方の残業に対する意識が変わらなければ、なかなか働き方の習慣を変えることはできません。

残業の慢性化は心身に悪影響を及ぼす

残業が慢性化している職場では、それが当たり前になるため、今の状況を見直して改善しようとする意欲が損なわれます。また、残業代を目当てに不必要に残業をする人がいると、企業の生産性は低下し、割増賃金を支払い続けることになるため人件費もかさみます。

働く人にとっても、残業時間は疲れもあり仕事に集中できないとすると、決して効率の良い働き方とは言えません。また、ワークライフバランスを取ることが難しいばかりか、長時間労働が原因で心身の健康を崩すことにもなりかねません。

何のために残業するのかという目的を忘れない

残業は本来、急な仕事量の増加や一時的な欠員などに対して、柔軟に対応するための一つの方法です。

仕事をしていると、需要期やお客様の都合など、やむを得ず残業をしなければならないケースもあります。一律に残業が「悪しき制度」ということではなく、職場の目標達成や利益を確保するために、メンバーで力を合わせて乗り切らなければならない状況もあるでしょう。

ただ、職場にとって、残業をしなくても所定労働時間内に業務がまわるのであれば、それに越したことはないはずです。だとすると、何のために残業をするのか、その目的が大切です。

仕事の評価はプロセスも大切ですが、同じ成果であれば、短時間で成し遂げられる方が生産性は高いことになります。職場にいる時間の長さではなく、仕事の量や質、業務の効率や生産性、ワークライフバランスにも意識を向けられることが、不必要な残業をなくすための手がかりです。

本当に必要なときに残業できるために、その目的を忘れないようにしましょう。

折山旭

働く人と組織を活き活きと輝かせるプロ

折山旭さん(信州ライフキャリア研究所)

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