運動不足の解消はストレッチから。40代オススメの運動と注意点
運動不足による体の症状・メンタルへの影響
「20代、30代の頃に比べて体重が落ちにくくなった気がする」
そんな悩みを持つ方はいませんか?40代になると、これまでとは違う体調の変化を感じることが多くなります。
健康的な毎日を送るためには、運動が大切です。しかし、40代は仕事や子育て、親のケアなどで忙しく過ごす年代です。そのため、体を動かす時間がほとんどないという方も多いと思います。運動不足になるとどんな問題が起きるのでしょう?
注意したいのは、次の5つです。
1.肥満になりやすい
2.筋肉や骨が衰える
3.記憶力の低下につながる
4.生活習慣病にかかりやすくなる
5.ストレスに弱くなる
順番に解説します。
1.肥満になりやすい
まず、運動をしないと基礎代謝が下がり、太りやすくなります。基礎代謝とは、人間が生きるために必要なエネルギーを取り入れ活用する働きのことで、年齢と共にその力は下がっていくと言われています。加齢に加えて運動不足も重なると基礎代謝はどんどん下がり、エネルギーを消費しにくい体質になります。その結果、摂取したカロリーが蓄積され、肥満へとつながるので注意が必要です。
2.筋肉や骨が衰えていく
人間は年齢と共に筋肉や骨が衰えていきますが、運動をしっかり行っていれば筋肉量や骨密度はある程度キープできます。運動不足になると、筋肉と骨は衰えてしまいます。筋肉が衰えると肥満になりやすく、骨が衰えると骨粗鬆症や骨折などの病気やケガを招く原因となります。
3.記憶力の低下につながる
運動不足によって低下するのは筋力や体力だけではありません。実は、脳もだんだん衰えると言われています。体を動かさないと脳に刺激が与えられず、記憶力が落ちていくのです。特に日頃デスクワークが中心で、座っている時間が長い人ほど記憶力が低下しやすいと言われています。
4.生活習慣病にかかりやすくなる
運動不足は、生活習慣病を引き起こす原因のひとつにもなります。これまでお伝えしたように、運動不足によって消費エネルギーが少なくなることで肥満を招き、次のような生活習慣病になるおそれがあります。
・糖尿病
・高血圧
・動脈硬化
など
5.ストレスに弱くなる
運動不足によって、人間はストレスに弱くなると言われています。デスクワークなどで同じ体勢を続けると筋肉がかたまり、血の流れが悪くなります。運動などにより柔軟性を維持しなければ肩こりや頭痛といった不調が現れ、心身にストレスがかかります。また血行不良になることで脳に必要な栄養が届かず、ストレスを感じるようになります。
運動不足でストレスがたまると自律神経の働きが悪くなり、「うつ病」などの精神疾患を起こすリスクもあります。
<>h2運動不足の解消はハードな運動ではなくストレッチからでOK
運動不足が体によくないとわかっていても、「ランニングや筋トレはきつそう。あまりやりたくない」という方もいらっしゃるでしょう。
多くの日本人は運動というと学生時代の体育会系部活動を連想し「つらい、キツイ、痛い」3拍子が揃い、筋肉痛がないと効果がないと思っている方が多いのですが、これは大きな誤解です。
「フルマラソンを走る」「オリンピックを目指す」など、競技大会を目指して体づくりをする「特別仕様」の場合は厳しいトレーニングが行われます。しかし、一般人が運動不足の解消や体力の向上を目的に「通常仕様」として運動を取り入れる場合は、「体の正しい使い方=体の取扱説明書」を理解しながら質の高い運動を習慣にして効果を実感することが大切で、決して難しくありません。
つまり、最初からランニングなどのハードな運動を始める必要はないということです。
40代の運動不足を解消するポイントは?
では、運動が苦手な方や仕事が忙しくてなかなか取り組む時間がない方に向けて、運動不足を解消していくポイントを2つ紹介します。
1.まずはストレッチからはじめる
ウオーキングや筋トレなどではなく、ストレッチから始めてみましょう。ストレッチをしっかり行うことで、関節や筋肉が少しずつ伸びていき、体がスムーズに動くようになります。
また「運動=きつい・つらい・痛い」と思っている方も、ストレッチから始めることで無理なく運動に取り組むことができます。
2.日常生活に少しずつ運動を取り入れる
運動は続けることが大切です。長く続けるために、日常生活に徐々に運動を取り入れていきましょう。朝起きてからの5分、仕事の休憩中、夜寝る前の5分など、「生活に無理のない範囲」をおすすめします。
少しずつ着実に継続していくことで、体に筋肉がつき、基礎代謝も上がってきます。
毎日の生活の中で、運動することを習慣にしていきましょう。
今すぐできる簡単ストレッチ「アニマルストレッチ」
40代から運動を始める方は、体を鍛えるトレーニングではなく「体をしなやかにするストレッチ」から始めることをおすすめします。ペットを飼っているご家庭では毎朝、目が覚めた犬や猫が必ずストレッチをする光景を目にするでしょう。背骨を持つ脊椎動物は関節や筋肉、筋膜を伸ばせば動きやすくなることを本能的に理解しています。
そして人間も同じ脊椎動物です。人間の体は動物の動きのマネをすれば体がしなやかになるようにできています。
そこでご提案するのがアニマルストレッチです。毎朝、布団の上で四つん這い姿勢からウサギ、ネコ、イヌ、コブラ、カエルの5種類のポーズをとっていきます。ストレッチ後は、背骨や骨盤を中心に関節の可動域が広がるので、朝の通勤中もスムーズに足が進むのを実感できるでしょう。
すべての動作は四つんばいの姿勢から始めます。説明文と合わせて、こちらの動画を参考にしてください。
参考動画:https://www.youtube.com/watch?v=TOtx_CzNtfI&t=8s
1.ウサギのポーズ
ウサギは、背骨周りを上下に伸ばすポーズです。
まず、かかとお尻を床につけ、両手は前に伸ばします。両手の間に頭を入れて、おでこを床に近づけていきましょう。
2.ネコのポーズ
ネコがぐっと体を伸ばしている時のポーズです。このポーズでは、普段あまり伸ばせていない脇の下を伸ばしていきます。
四つんばいの状態でお尻の位置は変えずに、両手を前に伸ばしてアゴを床に近づけていきます。脇が気持ちよく伸びるところでキープしてください。
3.イヌのポーズ
イヌのポーズでは、ふくらはぎ・ひざ裏・太もも裏を伸ばしていきます。四つんばいの状態から、かかとは床につけたまま、両膝をゆっくり伸ばしましょう。
お尻をしっかり上げることで、きれいなポーズになります。
4.コブラのポーズ
お腹周りを伸ばすのが、コブラのポーズです。
両手を前に出し、骨盤をゆっくり床につけていきます。顔の向きはまっすぐ前を向いたまま、お腹が伸びているのを感じましょう。
5.カエルのポーズ
カエルのポーズでは、ふくらはぎ・太ももの内側・背中を伸ばしていきます。
はじめに、両足を床につけてしゃがむポーズをとります。足の内側に両手を入れて、手首を両足の親指に沿えるようにしてキープしましょう。
ストレッチの次のステップ。40代におすすめの運動方法3つ
ストレッチで体にしなやかさが出てしっかり関節が伸びるようになってから運動量を増やしていくと、ケガをするリスクも軽減することができます。
40代の方も、取り組みすい運動を3つ紹介します。
通勤や散歩でウオーキングをする
通勤時の駅と自宅の往復や休日の空いた時間を利用して、ウオーキングをするのがおすすめです。無理に走る必要はなく、歩くことも十分運動につながります。好きな音楽を聴いたり、家族や友人と話したりしながらウオーキングを行うなど、気持ちをリラックスさせて楽しく取り組んでみましょう。
近くにプールがある方は水泳・水中ウオーキングもおすすめ
自宅の近くにプールがある方は、全身運動にもなる水泳・水中ウオーキングもおすすめです。水の中では体重の負荷が軽くなり、関節などへの負担が減るのがメリットです。水の抵抗を受けながら動くので、短時間でも高い運動効果が得ることができます。
筋トレも取り入れるとより健康的に
ウオーキングや水泳で体を動かすことに慣れてきたら筋トレにも取り組んでみましょう。筋トレを行うと筋肉量が増え、肥満防止につながる基礎代謝を上げることができます。
ひざを床につけた状態で行う「ひざつき腕立て伏せ」や、寝転がった状態でひざを立て上体を少しだけ起こす「クランチ」と呼ばれる腹筋など、無理なく取り組める筋トレから始めるのがおすすめです。
運動を無理せず長く続けるための注意点
これまでもお伝えした通り、運動は継続することが大切です。運動が苦手な方も、仕事が忙しい方も、無理せず長く続けていくために注意しておきたいポイントもお話しします。
いきなり何時間も運動しない
「運動しよう!」と意気込み、いきなり何時間も連続して運動をするのはやめましょう。運動経験が少ない、あるいはブランクがある方が急に体を動かすと、ひざや股関節を痛めたり、心臓などに負担をかけたりする可能性があります。
はじめの頃は30分と言わず、1日10分など自分が無理なく取り組める時間からやっていくことが長続きのコツです。
疲れたら無理をしない
疲れを感じたら、がんばりすぎず休憩を挟みましょう。運動し始めの頃は体が慣れていないので、特に疲れを感じやすいです。
無理に続けると体に負担がかかりますし、運動を行うのがつらくなってしまいます。小休止をして、こまめに水分補給をしながら運動に励んでください。
不安な場合はインストラクターに教えてもらう
運動のやり方が自分にあっているか不安な場合は、インストラクターに教えてもらうのをおすすめします。
専門知識を持った人に教えてもらうことで、安全を確保しながら効果的に運動に取り組むことができます。また人に見てもらうことで、モチベーションも上がりやすくなります。
40代の運動不足を解消するにあたって大切なこと「まとめ」
「40代に入り運動を習慣にしよう」と考えている方に向けて、運動不足が引き起こす問題や解消方法などをお伝えしてきましたが、体を動かす前に取り組んでほしいことがあります。
それは自分の体に対する考え方・向き合い方を180度方向転換することです。
私は10年以上スポーツクラブ社員の経験があるのですが、20代は自分の体をいじめて激しい筋肉痛が生じる筋トレを最低週2回行えば、回復も早い年代なので3カ月間実践すると体はみるみる変化し、運動に対するモチベーションも高まります。
しかし20歳から7000日以上経過した40代の方が忙しい毎日のなか、これを行うと、体と同時に心がついていかずに悲鳴をあげて挫折してしまいます。私はそういう方を1万人以上見てきました。つまり40代からは「自分の体を大切に扱う・丁寧に扱う」という考えのもと、習慣にできる運動を無理なく日常生活に取り入れていくことが最も大切です。
毎日継続して運動を行うのが、運動不足解消のコツです。今回紹介したアニマルストレッチを1日1つでもいいので、ぜひ取り組んでみてください。起床後や寝る前の5分間など短い時間にできるストレッチは、多くの方にとって日常生活に取り入れやすいのでおすすめです。
40才からの体づくり専門家 パーソナルトレーナー
日高靖夫さん(株式会社Y'S BODY FACTORY)
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