「介護離職ゼロ」の社会は実現するか?介護離職を防ぐには
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人材不足!介護施設の開設が間に合わない状況
政府が掲げた「1億総活躍社会」で課せられた目標にある「介護離職ゼロ」は極めて難易度が高い。
厚生労働省 2025年に向けた介護人材にかかる需給推計(確定値)によると、2017年度で不足する介護職員の数は12万4673人、2020年度で20万200人、2025年度で37万7364人と推計されている。
介護施設を増設しようにも人材が確保できず開設出来ない状態にあるのだ。介護保険事業状況報告年報から計算すると実に全国平均で約54.6%が在宅介護をしていることになる。
これでは突然親が倒れて実家に帰って在宅介護する社員は増える一方で、企業はなす術もなく、介護離職に追い込まれてしまうのだ。
認知症などが始まった場合など、土日や有給で何とか対応していたとしても、重篤になってくると会社としては突然介護を理由に退職を希望してきたと勘違いをしてしまうのである。
介護休業制度が活用されない3つの理由
あなたの周りで、介護をしていると話している人はどれだけいるのだろうか?介護をすることになってまず相談するのは家族やケアマネージャーであり、同僚やましてや上司に相談する人はわずかにすぎない。ではなぜ会社に届けを出さないのだろうか。これには、以下のような理由・背景があると考えられる。
1.介護休業制度両立支援制度を利用すると収入が減る
介護をする事になると月額数十万単位で費用が掛かる。
給与が減ってしまう事は介護破綻に繋がる重要な事項である。
2.人事評価に悪影響がでる
これは以前育児休暇を取得した社員が復職後同じ部署に戻れなかったり、人事評価が良い結果にならなかったことを受けて、悪影響が出るであろうと思っているのである。
3.仕事を辞める事を上司や同僚が望む事
もっと時間に自由がきく仕事に就いた方が良いという事を望んでいることにある。
私はどれも実体験したのだが、コンサルとして私がヒアリングした限りでは従業員数万人規模の会社でも介護休暇を取得している人は数人程度であり、私が利用した際には初の取得事例であった。
それでも要介護5の状態では3か月と言うわずかな期間では到底良くなるはずもなく、結果、復帰後に介護離職をする事になってしまったのだ。
テレワークなど多様な働き方の実現が期待される
それでは企業も従業員も成す術はないのだろうか。この点、一億総活躍社会を実現する一つの手立てとしてテレワークが見直されている。テレワークにより在宅で就業できるようになれば、ヘルパーさんがいる間にたとえ細切れに働いたとしても、働き続けることが出来るのである。
ただし、テレワークを実現させるには企業としての決断が必要であり、これもまた道のりは遠いのである。
ITやテレワークで「働き方改革」を推進するコンサルタント
家田佳代子さん(合同会社ジョイン)
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