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2018年の採用はどうなる?転職の状況は変わるか?

カテゴリ:
ビジネス
キーワード:
働き方改革
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ボス(上司)の仕事・プライベートが充実している「ボス充」が2018年のトレンドに?

リクルートホールディングス社が12月12日に発表した「2018年のトレンド予測とトレンドを表すキーワード」では、人材マネジメント領域のトレンドは「ボス充」でした。これは、リクルートグループが事業展開する美容、人材マネジメント、飲食、住まいなどの8領域における2018年の動向をキーワードとともに予測するもので、2009年から毎年開催され今回で9回目となります。

生活を楽しみ、社外活動が充実しているマネジャーは、会社や社会にいい影響を与え、メンバーからも信頼されていますが、このようにボスが充実している状況を表す「ボス充」がキーワードとなっており、2018年はますます注目されていくことが予測されています。

「ボス充」がキーワードの背景は?部下・企業の視点で読み解く

これまでも、生活を楽しみ、社外活動が充実しているマネジャーは一定数いたと考えられますが、今なぜ「ボス充」なのでしょうか。ポイントは2つあります。

一つは、生活を楽しみ、社外活動が充実しているマネジャーが、若者世代から支持されるようになってきたことが挙げられます。リサーチデータによるとどうやら若者は「50代の人は仕事の比重が重すぎる」「自己実現の場は仕事以外にもあるはず」「家族を大切にできない人が部下を大事にできないのでは?」と見ているようです。また、多くの若者が多元的な自己を持つようになってきており、社内だけでなく社外の充実も大事と考えています。

もう一つは、生活を楽しみ、社外活動が充実しているマネジャーを、企業が歓迎するようになってきたことです。企業が歓迎するのには、3つの理由があります。

① 働き方改革の後押し

労働時間の上限規制など、多くの企業が残業削減策を実施しています。そうすると、政府が掲げる「働き方改革」も次の段階に進んでおり、これからは余剰の時間をどのように使うのかがポイントになっています。

② 教育研修現場の意識変化

学びは、社内から社外へ意識が向きつつあり、異業種、異文化、異次元の研修現場が求められています。ボランティアや複業の奨励もその一つです。

③ 世界の経営学者が研究テーマに

ワーク・ライフ・エンリッチメント(充実)の研究が近年は増加傾向にあり、ワークとライフの相乗効果が注目されています。

2017年のトレンド予測の振り返り

毎年恒例になっている同社の翌年のトレンド予測ですが、そのトレンド予測は的中しているのでしょうか?昨年のキャリア領域におけるキーワードは、「ライフフィット転職」というものでした。

企業と対話し、生活に合わせた働き方を実現することが「ライフフィット転職」です。実際に、入社前の面談シーンで、求職者が起業に勤務条件を細かく交渉し、勤務条件に納得して入社するため、その後も気持ちよく積極的に活躍するケースが増えてきています。

未曾有の労働人口減少、制約社員の増加、働き方改革の推進など、労働市場の主権は、構造的に企業から個人へシフトしつつあります。ワークとライフのバランスをとった多様な働き方での活躍を念頭に、能動的に、個別の勤務条件を交渉する時代が始まりつつあることが予測されていました。

この予測は、方向性や傾向としては、まさしくトレンドになりつつあるのではないでしょうか。

引き続き人手不足の状況が続く、これからの採用や転職の動向は?

今、多くの企業が人手不足に危機感を抱いています。同じくリクルートホールディング社が12月18日に発表した2019年の新卒採用調査では、4割を超える企業が初任給を上げて人手不足に対応すると回答しています。企業が人手不足に対応するための方法は、①賃金UP②福利厚生の充実③職場環境の改善――の3つです。企業の安定した事業運営のためには、採用につながり、職場に定着し、5年・10年と将来を見据えて働くことができる仕組みづくりが不可欠となっています。

構造的な人手不足に陥りつつある今、以前は35歳と言われた転職の壁が、結果として40歳の壁になりつつあります。人手不足や採用での苦戦が根底にありますが、2000年前後の超就職氷河期に企業が採用を極端に減らしたため、40代前半の社員層が薄くなっていることも一因として挙げられます。

多様な働き方を実現するためのポイント

これから私たちの働き方は、ますます変化していくことが予測されます。他方で、企業は働いてくれるなら誰でも良いと考えているわけではありません。

ワークとライフのバランスをとった多様な働き方を実現するためには、自分の強みとなる知識やスキル、これまでの経験を、どのように活かして、より良い将来を築いていくのか、自ら考えてキャリアデザインできる力が求められます。また、これからは企業と条件の折り合いをつけながら働くためにも、上手に相談したり、自分のことを適切に伝える力も必要となるでしょう。

慌ただしい日常の中では、とかく目の前の仕事に意識が向きがちです。ときには立ち止まって自分と向き合い、これまでの自分を振り返ってキャリア(経験)の棚卸をしてみることが、将来を考えるきっかけになります。

そして、「どこで働くか」も大切ですが、「どのように働くか」も大切です。そのためのカギは、自分自身の理解を深める自己理解にあります。なぜなら、人は知らない仕事に就こうとは考えませんし、できないことをやりたいとは思わないからです。自己理解のためのポイント、①やりたい(興味)②できる(能力)③大切にしたい(価値観)――の3つの円が重なる部分を広げるためにも、「ボス充」がしている、生活を楽しみ、社外での活動に取り組んでみることは、有効な方法であると言えそうです。

折山旭

働く人と組織を活き活きと輝かせるプロ

公認心理師

折山旭さん(信州ライフキャリア研究所)

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