もしかしたらスマホ依存かも!?放っておけない症状と原因や対策について
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増加するスマホ依存とは?該当するのはどんな状態?
近年、あらゆる場所でスマホを触っている姿を見かけます。同時に若い世代を中心に、スマホを通じたネット依存が強くなっていることが問題視されています。スマホ依存とは、四六時中スマホをさわることが習慣となり、その行為に対するコントロールが全く効かなくなった状態を言います。
寝る時もスマホを枕元に置き、移動中やちょっとした待ち時間にスマホをいじる、メールやSNSを必要以上にチェックする、などの動作に心当たりはありませんか?トイレに持ち込むといったことが当たり前になり、人と会話している時もスマホに接触、食事中もずっと画面を見続けるといった具合です。当てはまる項目が増えるほど、スマホが生活の中心である傾向が強いと言えます。スマホ依存の一番の特徴は「眠っている時以外、スマホが手放せない」ということです。
鳴っていないはずの着信音を感じたり、スマホが身近にないと不安に襲われ、スマホなしでは1日を過ごせなくなると、依存度はかなり高いと言えるでしょう。
スマホ依存に関する実態調査!症状を自覚している人はこんなにいる!
2019年にモバイルデータ会社が、スマートフォンを所有する15〜69歳の男女を対象に行った「スマホ依存に関する調査」によると、「かなり依存している」と答えた人は全体の21.2%でした。「やや依存している」と答えた52.5%を合わせると、実に73.7%の人がスマホ依存を自覚していることがわかります。年代別では20代が最も多く、「かなり依存/27.7%」「やや依存/55.3%」を合わせると83%に及びます。
15〜19歳では「かなり依存/21.3%」「やや依存/55.3%」で、合わせて76.6%にスマホ依存が見られ、思春期や青年期の依存傾向の高さを表す結果となっています。
また、この調査の対象外である15歳以下の小中学生は、学校へのスマホ持ち込みが解禁になると、周囲からの影響を受けて「スマホを手放せない子どもが増えるのでは?」との懸念もあります。
スマホがあまりに便利で生活に密着していることから、大人のスマホ依存も増えています。仕事や家事の場面で知りたい情報を難なく手に入れられることから、スマホが片時も手放せないという現状があります。調査の中でも30〜40代の8割、50代の6割、60代の5割が「スマホ依存を感じている」と答えています。
スマホ依存症がもたらすさまざまな症状と悪影響
スマホ依存症になると、体や心にさまざまな症状があらわれ悪影響を及ぼす恐れがあります。よくある傾向をまとめます。
・ 姿勢が悪くなり、その姿勢で操作し続けることで、視力低下、肩こり、筋肉痛、腱鞘(けんしょう)炎などが起きやすくなる。
・ 頸椎(けいつい)の湾曲角度が30度以下の「ストレートネック」と呼ばれる状態になり体がゆがんでしまう。
・スマホの使用がやめられず、できない状態が続くとイライラして落ち着かなくなる。
・スマホを使用し続けることで体内時計が壊れ、昼夜逆転する。
・ 光の刺激で脳波に乱れが生じ、睡眠障害、コミュニケーションの低下、学力低下などが心配される。
また親がスマホ依存症になると、子どもにも深刻な問題が生じます。幼い子どもが泣いているのにスマホに気を取られていつも放置する行為は、プチ虐待(ネグレクト)になります。0歳から6歳くらいの幼い子どもが愛情を欲しているにもかかわらず、視線も合わせない状態が続くとどうなるでしょう?親子間に大切な情緒的つながり「愛着」が築けません。それは愛着障害につながります。近年、感情のコントロール、信頼心が育たない、かんしゃくを起こしたりキレたり、泣き叫び続ける子どもが増えているそうですが、それは親のスマホ依存も影響している可能性が考えられます。
年齢に関係なく脳機能の低下が起きるスマホ依存症
脳の映像研究によると、スマホ依存症になると自分や相手の感情の読み取りに関わる部分、注意力、記憶力などの認知機能に関わる部分などが萎縮すると言われています。脳の発達途上である思春期や青年期には、さらに大きな影響を与えると考えられます。
そして、ネットやスマホゲームはドーパミン(快楽物質)を放出させます。その量は、覚せい剤並みと言われています。特にゲームは、はまりやすくさせることを意識し作成している場合が多いので注意が必要です。
ドーパミンが分泌される機能は、子どもや10代の頃が最も活発です。楽しみを求めて長時間使用すると、自分の力ではやめられない依存状態になります。依存が長引くと深刻な引きこもりになる場合もあります。
また学習によるインプットに加え、スマホ依存によって過度な情報がインプットされると、子どもの脳が過労状態になると言われています。思春期にスマホ依存に陥ると多くの時間が失われ、豊かな体験や学習する機会を失ってしまいます。
スマホ依存症で脳の働きが鈍くなり情報の洪水にさらされた生活を継続すると、40〜50代になる頃には「脳はゴミがいっぱい」といった状態になってしまうとの指摘もあります。物忘れや仕事の効率低下が生じて自信を失ってしまう人もいます。外出がおっくうになり、メールやSNSでのやりとりが生活のメインになると、熟考機能が衰えていきます。
スマホを手にする機会が増えた高齢者にも危険が及んでいます。定年後に自宅で過ごす時間が増え、動画サイトを見るなどネット漬けの日々が続いたことで、脳疲労が回復しなくなるようなケースです。
家族の名前が出てこない、昨日の行動が思い出せないなど、認知症のような様子が表れるのに、画像診断をしても脳の萎縮は見られません。ただ、倦怠感や頭痛に襲われ、うつ状態が表れると、いずれ認知症へ進行する可能性もあります。
重症化すると恐怖症などの症状も引き起こす
スマホから隔離された状態に置かれることで、パニックになったり極度の絶望感を味わう「ノモファビア(no-mobile-phobia)」は、深刻なスマホ依存症です。「Phobia」とは恐怖症という意味です。手元にスマホがないと仕事も手につかなくなり、通知が気になって仕方がないといった状態になります。
手放すことができないため、運転中のような危険を伴う場面でもスマホをチェックしてしまいます。歩きスマホにより他者と接触して大きな事故になったり、車との衝突が起きるなど、死に至るケースも起きています。
特に使用する必要がない入浴中、シャワー中にも片手でスマホをいじる人もいます。スマホによる人とのふれあいを求めるがあまり、健康を損ねる数々のケースが見受けられます。重症化すると、スマホを自宅に忘れる、紛失する、充電が切れるなど、スマホが使えないことを意識した途端に恐怖を覚え、体調を崩したり倒れてしまうこともあるようです。
スマホ依存症の原因は「心の隙間」
医学的に依存症とは「日常生活に支障をきたすほど、物事に過剰にのめり込み、止めたいと思っても自分の力では止めることができない状態」を指します。薬物、アルコール、ギャンブル、買い物など、依存の対象となるものはさまざまです。
WHO(世界保健機関)は、2019年にオンラインゲームやテレビゲームによる「ゲーム障害」を新たな依存症として認定しました。
今、問題視されているスマホ依存は正式な精神疾患ではありません。しかしゲームにはまるだけにとどまることのない幅広い使用目的によって、スマホに振り回されるところに大きな問題があるとされています。
例えばSNSなどのメッセージに対して「すぐに返信しなければ」という強迫観念が生じるのも依存原因のひとつです。Twitter(ツイッター)やInstagram(インスタグラム)のタイムラインをひたすら眺めてしまったり、「いいね!」の数をチェックしたり、何かをきっかけに相手の動向が気になってスマホを手放せない状況が生まれてしまうこともあります。
異常なまでにスマホに執着する原因として、ほぼ共通するのが「心の隙間」の問題です。「人間関係に悩んでいる」「他者との関係がこじれてしまった」「現実世界につながりがない」といった心理的原因により、満たされない心をスマホで埋めようとする傾向があるようです。
現代人が陥りやすい精神的依存。スマホ依存になる人は、他の依存症(ギャンブル依存、アルコール依存など)になるリスクもはらんでいます。
スマホ依存症を防ぐための対策、改善法
それでは、スマホ依存症を避けるにはどうすればいいのでしょうか?ポイントをご紹介します。
・スマホをいつも手に持たない。カバンに入れたり、面倒なパスワードを設定したり、すぐ使える状態にしておかない。
・SNSやLINEの通知をオフにする。(友人など周りとルールを作る)。
・夜の使用は何時までと、終わりの時間を決める。
・なるべくスマホを目覚まし代わりに使わない(寝る前に交感神経を刺激しないためにも寝室にスマホを持ちこまない)。
・食事中はスマホをそばに置かない。
・スマホを忘れる時間を持つ(スマホ以外の楽しみを見つける)。
・ なかなかやめられない場合、一日の行動を記録する(自分が思っている以上にスマホに時間を費やしていることを確認)。
自分なりのルールを決めて対策を練ってみましょう。
現代人のスマホ使用時間は、少なくとも1日平均3時間と言われています。「まさか、そんなに?」にと思うかもしれませんが、iPhoneの場合はスクリーンタイム機能を使えば、1日のスマホ利用時間が一目でわかります。アクティビティの確認に進めば、よく使っているアプリをチェックすることもできます。画面を見ない時間を設定することも可能ですし、通知をオフにして過ごすという試みもいいでしょう。
また、一定時間スマホが使えないようにロックをかけて、ダラダラとした使用を防いでくれるアプリや、スマホをさわらなかった時間だけ植物が育っていくゲーム感覚の依存防止アプリもあります。
スマホ依存症にならないための解決法!スマホとのいい関係をキープしよう
スマホはゲームに熱中したりSNSでのコミュニケーションに集中したり、自分の手の中で簡単に楽しみが得られる身近なものです。しかし興味や関心が刺激され続けた結果、さらなる楽しみを求め、長い時間使用したくなる人が増えています。また一見、他者とつながっているように思えても、やはり一人称完結のツールであることを忘れないでほしいと思います。顔の見えない状態でのやりとりがよい方に働く場合もありますが、意思疎通がうまくいかずコミュニケーションを阻害するという皮肉なことも起きています。
スマホをさわることで特有の安心感が得られるとしたら、注意が必要です。安心がやがて不安に変わり、自分の力では止められない依存状態に至ります。依存状態が長引くと深刻な引きこもりに陥ることもあります。スマホ依存症にならないためには、速やかな気づきが必要です。
スマホはうまく使えば生活向上に役立つ便利なツールです。必要以上にスマホを悪として心配するのではなく、リスクを知って、うまく利用することが大切です。
やめようと思ってもやめられない、すでに自己コントロールを失った状態にあるとしたら、本人や家族の力だけで改善するのが難しいケースも多いです。専門家の力を借りながら回復を目指す方法もあります。
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