食中毒原因物質のアニサキスとカンピロバクター その特徴と予防法は?
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食中毒の原因で多いのは?
厚生労働省の統計ではノロウイルス、カンピロバクターに次いでアニサキスが食中毒原因物質の第3位になっています。
アニサキス症とは
海産魚介類の生食を原因とする寄生虫症の中でも我が国最多のものがアニサキス症になります。
日本人の食習慣からみて、アニサキス症は以前からあったと考えられますが、原因となる虫種が確定されたのは1960年代で、1970年代以降の内視鏡検査普及とともに予想外に多数例が発生していることが明らかにされました。
このような診断技術の高度化及び冷蔵技術の進歩に伴う生鮮食料品の輸送体系の近代化が、現在に至るアニサキス症発生の増加と広域化の前提となっているのです。
症状は魚介類の生食後、数時間して、激しい上腹部痛・悪心・嘔吐をもって発症するのが胃アニサキス症の特徴で人体症例の大半がこの症状を呈します。
アニサキス症の予防法
アニサキス症の予防法としては海産魚介類の生食を避けること、あるいは加熱後に摂取すること(60℃で1分以上)が確実な感染予防の方法となります。
また、冷凍処理(-20℃、24時間以上)によりアニサキス幼虫は感染性を失うので、魚を冷凍して解凍後に生食することは感染予防に有効となります。
加熱や冷凍以外の方法として、新鮮なうちに魚介類の内臓を摘出するなどの工夫も感染予防に適用できます。内臓に寄生する幼虫が漁獲後に筋肉へ移行することもあるからです。
当クリニックも開院後10年が経過し、約10名のアニサキス症の患者を治療しています。いずれの方もここ5年間に発症しており、やはり最近とみに増加してきているという印象です。そのうちの1名は約1年の間に2回も発症しており、一度罹ったからと言って安心は出来ない様です。
症状は上でも述べたような魚介類摂取数時間後の突然の激しい上腹部痛が大多数で症状等からアニサキス症を疑って上部内視鏡検査を施行し、虫体を鉗子切除するのが最も有効な治療法です。
カンピロバクターの特徴と予防法
では、これからの時期に流行する食中毒原因物質第2位のカンピロバクターによる食中毒とはいかなるものでしょうか?
カンピロバクターは家畜、家きん類の腸管内に生息し、食肉(特に鶏肉)、臓器や飲料水を汚染するとされますが、乾燥にはきわめて弱く、通常の加熱調理で死滅します。
症状は感染後1-7日と比較的長い潜伏期で発症し、発熱・倦怠感・嘔気・腹痛・下痢・血便等を呈し、少ない菌量でも発症するといわれています。
カンピロバクター食中毒の予防法は、以下が重要です。
- 食肉を十分に加熱調理(中心部を75℃以上で1分間以上加熱)すること。未加熱又は加熱不十分な鶏肉料理を避けることが最も効果的です。
- 二次汚染防止のためには他の食品と調理器具や容器を分けて処理や保存を行うこと。
- 食肉を取り扱った後は十分に手を洗ってから他の食品を取り扱うこと。
- 食肉に触れた調理器具等は使用後洗浄・殺菌を行うこと。
アニサキスもカンピロバクターも上記の様に予防対策がありますからそれを理解した上、もしも個人的に調理する際には十分な注意が必要なことは言うまでもありません。
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