子供の友達作りが苦手で輪に入れない・・そんな時、お母さんがすべきこと
新学期がスタートすると、子どもの成長に喜びを感じる一方、不安や悩みが出てくるものです。「子どもが新しいクラスになじめているかな?」「ちゃんと友達はできたかな?」と心配しているお母さんも少なくないでしょう。
親であれば、自分の子どもが早く友達をたくさん作って、楽しい学校生活を送ってほしいと願うもの。友達の話題が出てこないと「うちの子は大丈夫?」と不安になってしまいます。
ただ、友達作りは、得意な子もいれば苦手な子もいます。友達作りが得意な子とそうでない子にはどんな違いがあるのか、親としてはどんな対応をしていけばいいのか心得ておくと不安が軽減されるかもしれません。
友達との関係づくり4つのタイプ
子どもが友達関係を作る上では、大きく分けて4つの性格的特徴が作用すると考えています。下記のタイプに当てはまる子どもは、比較的友達を作るのに苦労しないのではないでしょうか。
1)集団でワイワイ行動するのが好き
2)人とコミュニケーションをとるのが上手
3)一人より、誰かと一緒に時間を過ごすことが好き
4)いろんなタイプの人と幅広い人間関係を好む
積極性があってコミュニケーション能力が高い、そして明るくて優しい性格の持ち主のもとには自然に人が集まってきます。こういった性格の人は、大人になっても好かれますよね。
しかし、いじめなど特定の原因はないけれど友達ができにくいと感じている、例えば「友達の輪に入れない」「クラスになじめない」と悩んでいる子どもは、「集団でいることが苦手」「コミュニケーションが苦手」「一人の時間が好き」「少人数でも深い人間関係を好む」など、上に挙げた4つの特徴とは異なる個性を持っている場合が多いように見受けられます。
もし、「自分の子どもは友達ができにくい」と感じているのであれば、まず現状をきちんと理解・把握することから始めましょう。「友達ができない」と問題をざっくり捉えるより、その子がどんな個性を持っていて、友達との人間関係作りの中で「何に困っているのか?」を一つずつ見てあげることが大切です。
友達の輪に入れない5つのタイプ
上の段でも少し触れましたが、子どもが友達作りが苦手な場合、下記のような性格が関係していることもあります。
1)受け身で引っ込み思案
2)集団の中でワイワイしたり自分を出したりするのが苦手
3)一人で過ごすのが好き
4)わがままな性格
5)乱暴な発言が多い
友達作りが苦手・下手な子どもは、1、2 番のような消極的な性格が大きく影響している場合が多いです。自分から声をかけたり、自分をさらけ出したりするのが苦手なタイプ、つまり受け身のタイプは自分から輪に入っていくことができないので、友達作りがうまく進まない可能性があります。
3番のように、一人でいるのが好きという性格の子どももいます。親としては心配になってしまうかもしれませんが、まわりに流されずに自分の意志で一人でいるのであれば、そういう性格なのだと受け入れて少し見守ってあげましょう。
4、5番は本人が友達を作りたいと思っていても、まわりから避けられてしまうような、今後改善していきたい性格です。子どもとは言え、わがままな振る舞いや乱暴な言葉や行動が多いと友達から避けられてしまいます。気づいたら「クラスの中で一人ぼっちになっていた」ということもあるかもしれません。
大切なのは子どもがどう感じているか
子どもが友達との関係をどのように考えているのか、親がしっかり把握することも大切です。親が気にしていても子どもは意外と悩んでいなかったり、逆に、親が考えている以上に子どもが心を痛めていたりということもあります。 親子と言っても、それぞれ別の人格です。親子でも、人間関係に対する価値観やスタンスも違います。
自分の考えを押し付けるのではなく、子どもの思いを聞き出すようにしましょう。
例えば先日カウンセリングに来た中学2年生の女の子とお母さん。
お母さんは「娘が男の子と年下の子しか遊ばない。女の子と遊ばせてあげたい」と悩んでいましたが、娘さんの話を聞いていくと「本人は悩んでいない」ということがわかってきました。
娘さんとしては、男の子と遊ぶことも年下の子と遊ぶこともとっても楽しく、そもそも「女の子と仲良くなれない」という意識はありませんでした。今までの仲の良いお友達が「たまたま男の子と年下だった」ということだけだったのです。
むしろその子の悩みは 「お母さんが言うように、女の子の親友を作らず男の子と仲良くしている私は変わり者なの?」と、お母さんの悩みとは少々ずれたものでした。
このように、親と子どもはそれぞれ感じていることが異なる場合があります。子どもは親と別の人格をもっているので、本人なりの人間関係の築き方や価値観、そしてペースがあります。さらに、親の世代と今の子どもたちのコミュニケーション方法やツールは全く違っています。
女の子が男の子と遊ぶことは決して悪いことではありませんし、年下のお友達がたくさんいるのは、その子が優しい性格だからかもしれません。
もし親が「同年代の同性の友達がたくさんいなければ、幸せではない」というイメージを持っているのであれば、まずはそれを取っ払ってしまいましょう。その上で、子どものサポート方法を見極めていくことが重要です。
ただ、友達関係のことで悩んでいることを親になかなか言い出せない子もいます。そんな時も、無理に問い出さずに、子どもに寄り添い、打ち明けてくれるまでそっと見守るようにしましょう。
子どもが本当に悩んでいる場合は、感情を無視して「友達は何人できたの?」「どういう子なの?」などと追及してしまうと、子どもが友達を作ることにも親に相談することにもプレッシャーを感じてしまいます。わが子とは言え、子供の感情を全て知るのは難しいことですが、子どもの友達作りに対する本当の思いを知るためにも、日ごろからより良い親子関係を築いておかなければならないのかもしれませんね。
友達作りが苦手な子供への対処法
子どもが友達関係での悩みを抱えているとわかった時は、親としては最大限できることをしてあげたいと思うものですよね。上記の子どものタイプごとに、どのような対応をしてあげるべきかを紹介していきますので参考にしてみてください。
1)受け身で引っ込み思案
待っているだけでは友達はなかなかできません。自分から輪に入っていく勇気を持てるようにサポートしてあげましょう。具体的には、「おはよう」といったあいさつや「一緒に遊ぼう!」と話しかけることから始めてみようと伝えてみてください。
内気な性格の子どもにとって、誰かに話しかけるという行為はとてもハードルが高いものですが、クラスで席が近い子や家が近所の子には声がかけやすいと思います。「声をかけられるとうれしい気持ちになるんだよ」と教えてあげると、子どもも気持ちを楽にして話しかけられるようになるかもしれません。
もしできなくても怒るのはよくありません。プレッシャーにならない程度に、一歩踏み出せるように応援してあげましょう。
2)集団の中でワイワイしたり自分を出したりするのが苦手
人とコミュニケーションを取るのが苦手な子どもは、集団生活の中で萎縮してしまい、どんどん内にこもってしまう傾向にあります。クラスのみんなと仲良くなる必要はありませんが、たくさんの人の前で自分を出せるようになることは、子どもの成長においてとても大切なことです。まずは少人数のグループの中で、自分の意見が言えるようになるようサポートしてあげてください。
家族ぐるみで付き合いがある親子がいれば、一緒に遊んでもらうことで、親が手助けしながら他人とのコミュニケーションの取り方を学ばせることができます。親が周りの人にどんどん話しかけ、お手本を見せてあげることも大切です。子ども供が輪に入れていない現場を見た場合は、さりげなく「一緒に遊んであげて」と助け舟を出すのもいいでしょう。
ただ、親が口を出しし過ぎてしまうと、子どもの自尊心を傷つけたり、自分で何もできない性格になったりしかねません。何事も、子どもの状況をよく見て臨機応変に対応していきましょう。
集団での習い事を習わせるのも一つの手です。興味や関心事が似ていると話が合いやすいですし、たくさんの仲間たちと切磋琢磨しながら仲を深めていけるでしょう。
3)一人で過ごすのが好き
一人の時間が好きな子どももたくさんいます。友達がいることで人生も豊かになりますが、本人が友達を必要としていないのであれば、無理に作らせる必要はないでしょう。「友達を作りなさい」などという言葉は子どもを苦しめることになうかもしれません。こういうタイプの子どもは、一人で時間を過ごすことで自分の気持ちを安定させているのです。精神的な安らぎの時間を奪わず、一緒に大切に守ってあげることも必要です。
いつか、本当に気が合う人と出会えれば自然と仲良くなれるはずです。その時が来るまでは、子どもの特性を受け入れて尊重してあげることで子どもも安心して一人の時間を楽しめるでしょう。もし友達ができた時にはたくさん話を聞いてあげてくださいね。
4)わがままな性格
わがままな性格であっても、人とどんどん関わりを持っていくことで、初めのうちは友達ができたように見える場合があります。しかし、みんなで遊ぼうとしているのに「私は○○じゃないとイヤ」であったり、みんなで使うものを「それは私が使うからダメ」といった自分中心の言動を繰り返すことで、いずれ仲間外れにされてしまうこともあります。
家庭の中で「何でも自分の思い通りなる」という考えを正してあげられるよう努力してみましょう。「がまんをすること」「自分だけでなく周りの気持ちを考えること」を教えていくことが大切です。決して甘やかすことはなく、でも突き放すことはせずに向き合ってあげましょう。「お母さん、○○ちゃんがこういうことをしてくれて本当にうれしいな」とほめたり認めてあげたりすることも忘れないようにしましょう。
5)乱暴な発言が多い
「イヤだ」「きらい」「変なの」「あっち行って」など、家で否定的な言葉を使っている子どもは、学校でも友達に言ってしまっている可能性があります。こういう子どもには、否定的な発言が、周りを嫌な気分にさせてしまうことを教えてあげましょう。
同時に親自身も、否定的な言葉を普段の会話の中で使っていないか思い返してみてください。子どもというのは親のことをよく見ています。子どもにだけ押し付けるのではなく、「お母さんも気をつけるから、前向きな言葉を使うようにしていこう」と一緒にがんばっていくことで子どもも気負わずに変わっていけるのではないでしょうか。
「すごいね」「これいいね」「大好き」といった前向きな発言ができる子供は、自然に笑顔も多くなり「友達になりたい」と周りに思わせる魅力が出てくるでしょう。
親としてできること
友達作りが苦手な子どものために親ができるのは、子どもの現状や気持ちを把握し理解してあげること、話を聞いてあげること、そしてアドバイスやちょっとした手助けをしてあげることです。子どもも自分なりにがんばっているでしょうから、介入し過ぎずに子どもを信じてそっと見守る姿勢も大切です。時にはしつけや言動を見直すことも必要ですが、いちばんの理解者として常に優しく寄り添ってあげましょう。
「お母さんはいつでも見方だよ」「お母さんがいるから大丈夫だよ」と声をかけてあげることで、「家でお母さんが待っていてくれるから大丈夫!」と学校生活に安心して飛び込んでいけるはずです。
悩んだ分だけ親子の絆も深まり、きっといつか子どもにとって最高の友達ができると信じましょう!お子さんが意気揚々と友達との話をしてくれたり、大好きな友達を家に連れてきたりする日もそう遠くはないかもしれません。
意思伝達のトレーニングレシピ「伝学」の専門家
つだつよし、さん(株式会社ドリームプロモーション)
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