三菱自動車燃費不正問題から考える不正を起こさせない組織づくりとは?
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不正がエスカレートしていく過程
三菱自動車の燃費不正問題で、特別調査委員会の報告書が公表されました。
その中で4つの種類の不正が書かれていますが、代表的なものとして、煩雑さや開発スケジュールに間に合わせるためにテストコースでの実測をしないで、開発段階などで得た他のデータから机上計算した値を提出していた、というものがありました。
そしてこの不正は、合理的な根拠の全くない値を恣意的に改ざんするところまで最終的にはエスカレートしてしまいました。
厳しい燃費目標を達成するためとは言え、一線を越えてしまう所まで進むことの恐ろしさを示しています。
隠れる前に防ぐ=経営者・マネジャーの意識と実践
机上計算した値を提出した不正は、25年に及ぶ長さと多くの社員が係わっていても表に現れて来ませんでした。
改めてこのような事象を見つけることの難しさが分ります。
従って、一旦、隠してしまうと露見しないのが不正であることを肝に銘じて組織づくりにことが大事なのです。
その上で今回の事例から同様なことが起きない組織づくりの為に経営者・マネジャーが意識する事と日々実践する事を以下にまとめてみました。
1.「社会からの要請されている事」を伝える
・製造業であれ、サービス業であれ、日々、同じ仕事を続けているとモチベーションが落ちます。
モチベーションを維持して「近道行動」、「ルールを守らない」を止めているものは、自分たちの仕事が社会へ貢献している事は何かを理解し、腹に落ちていることが肝要です。
・例えば、「単に小さい部品を作っているのではなく、皆を楽しませる自動車を作っている」の様に、具体的な言葉で、経営者、マネジャーは、日々、このことを色々な場面で伝えて下さい。
2.率先垂範(マネジャーの行動が一人ひとりに影響)
・元気な挨拶、一声を掛ける、身近なルールを守る。当たり前の事を部下に見せて下さい。
・地位や肩書によるリーダーシップだけでなく、個人としての魅力や人間力によるリーダーシップ能力を高める。そのために経営者、マネジャーが備えていなければならないものは「品性」です。
3.不正を行う、不正を隠すと言った、人間の負の特性がある事を理解する
・人間のやる気や緊張感だけに頼るのでない仕組みづくり。特に、根拠、証拠の確認方法の工夫。
・但し、多くの決め事を作り、その処理に時間を費やすだけにならないこと。
不正防止には決定打はありませんが、コンプライアンス研修・教育での意識改革や監査体制強化といった一般的な事柄に加えて日々、実践することで確実に組織が変わってきます。
ヒューマンエラーやマネジメントを中心とした人財教育の専門家
島本長範さん(CIMA人財教育開発)
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