1億活躍プラン 保育と介護の不安なくしたい
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保育士と介護職の賃上げで人手不足の解消になるのか
保育士と介護職の給与は全産業の平均給与水準に比べて月額で10万円以上低いと言われています。
今回の1億活躍プランで示されている保育士の給与引き上げは、2%であり月6000円程度の引き上げとなっています。
ただし、技能・経験を積んだ保育士であれば月4万円の上乗せが予定されています。
また、介護職については月1万円の給与水準の引き上げが示されています。
単純に考えても、月10万円低いのに、この程度の引き上げではとても人手不足の解消とはならないと予想されます。
全産業の平均月給を支給するという政策が発表されたら問題は解決するのか
それでは仮に保育士と介護職の給与は全産業の平均月給と同額を支給するという政策が導入されれば、問題は解決されるように思えますが、実はそこには大きな落とし穴が存在しています。
1. 月給の保証と年収の保証は異なる
月給が増えてもボーナスが減額されれば、効果は半減されてしまいます。
年収レベルで比較をしなければ、実質的な改善にはならないのです。
2. 給与を支払うのは政府ではない
給与を引き上げるといっても、政府が直接、保育士や介護職の方々の銀行口座に給与を振り込むわけではありません。
あくまでの給与水準を決めるのは雇用者になります。
給与の引き上げが適切に行われたか否かをチェックする機能がなければ、ザル法であって実効性はありません。
保育士や介護職に本当に求められるものは何か
保育士や介護職の方々は、環境の悪い職場であっても転職できないから我慢しているというような報道がされることもありますが、私はそうは思いません。
乳児や幼児のお世話も高齢者のお世話もとても大変な仕事であり、世の中で必要とされている仕事なのです。
きっと家族から感謝されることを生きがいにしているのだと思います。
他の産業から転職してくる人が増えるようにするには、給与水準の引き上げに加えて、保育士や介護職という職業の尊厳を高めることが必要になります。
私の両親も高齢で施設に入所しています。
仕事の関係で週末にしか会いに行けませんが、私はなるべく多くの施設の職員やヘルパーさんとなるべく話をするようにしています。
両親の認知症が進んでいるのではないか、周囲に迷惑をかけているのではないかという不安があるからです。
当初、私はその施設にとっては訪問者であり「ご両親は元気に過ごしてらっしゃいますよ。」というような挨拶ばかりが返ってきたが、何度も話をするうちに打ち解けて、次第に日々の細かい行動について教えてくれるようになりました。
何かを失敗したという話はうれしい話ではありませんが、家族としては大変重要な情報なのです。
今では施設の職員やヘルパーさんを心強い相談相手のように感じています。
私が時々出張先で買った地元のお菓子などを施設に持参するのは、面と向かってお礼を言えないからなのですが、感謝の気持ちが少しでも伝わっていればありがたいことです。
保育士や介護職の方々が活躍できる環境を作るには?
まず、給与水準をもっと平均水準に近づけることが必要ですが、単に雇用者に支払いを義務付けるだけでは実効性が低いため、その実態調査する仕組みとペナルティも合わせて導入することが必要になります。
保育や介護という仕事の社会的な地位を高めるためには、直接家族がお世話になっている私のような世代が、もっと彼らの仕事を評価してあげる必要があるのではないでしょうか。
そして仕事のやりがいは、感謝されることで増幅されます。
政府には、永年勤続の保育士や介護職の方々に対して何か社会的な褒賞を与えるように検討をお願いしたいと思います。
仕事で役立つ実践的なマインドマップ活用法を教えるセミナー講師
田村敏明さん(TLI-JAPAN)
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