アダルトチルドレンの特徴や不安、気になる子育てや適職について
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年々増加が見られるアダルトチルドレン傾向
ストレスが多い現代社会において、メンタルケアに対する意識が深まるなか、最近、増加しているとみられるのが「アダルトチルドレン傾向」というカテゴリーに属する人たちです。
アダルトチルドレン傾向は、医学的診断名ではありません。うつ病や統合失調症のような内因性の精神疾患ではありませんし、不安障害のような神経症として、診断マニュアルの「DSM」に記載されているわけでもありません。
しかしながら、アダルトチルドレン傾向にある本人の自覚症状は決して看過できるような軽度なものではありません。
実際、アダルトチルドレンの傾向がある人は必死の思いで、いうなれば「どうせ死んでしまうなら、その前に一度カウンセリングに行ってみよう」という最後の賭けとして、心理カウンセリングルームにコンタクトしてくるぐらい切迫した状態の人が多いのです。
アダルトチルドレンは成長段階の環境に起因、本人に責任はない
では、なぜアダルトチルドレン傾向は形成されるのか、その原因を探ってみましょう。一つ言えることは、本人には責任がないということです。
アダルトチルドレン傾向になる原因は、本人が子どものころ、つまり成長段階の環境に問題があります。いわゆる「機能不全家族」の中で育つと、アダルトチルドレン傾向になりやすいのです。
機能不全家族とは、家庭内で弱い立場にある人に対して暴力をふるったり暴言を吐いたり、心身にダメージを与えるような行為が繰り返される環境、また育児放棄(ネグレクト)や親の不仲でケンカが絶えないなど健全な家庭生活が成り立っていない状態をいいます。
虐待やその反対の過保護、親の育児能力の欠如などにより、子ども時代に甘えることを許されなかった環境ゆえにアダルトチルドレン傾向という悲劇は起こるのです。
昨今は、虐待などと並び、親が子どもを自己実現の手段として、子どものための幸せではなく親の都合の幸せのために、子どもを無意識に利用してしまったことで発生するケースも散見されます。
親の過保護も、子どもの自律的自発的成長を激しく阻害するという点で、明らかな虐待ではないかと考えます。
メディアで見る「毒親」などがまさにそれで、毒親は「あなたのためだから」という言葉で子どもを縛り、自分の価値観を過剰に植え付け、子どもが成長してからも自分のために子どもを消費しようとするのです。
カウンセリングの過程で明らかになるのですが、(毒)親自体がアダルトチルドレン傾向であることが多いのです。いわゆる「世代間伝達」であり、極めて根が深いことがわかります。
アダルトチルドレン傾向は本人の責任ではない
ではなぜ、アダルトチルドレン傾向というのは形成されるのでしょうか。
原因を簡単に言うと、子どものころの成長する段階での環境問題であり、いわゆる「機能不全家族」の中で育つとアダルトチルドレン傾向になりやすいのです。したがって本人には全く責任はありません。
虐待やその逆の過保護、親の育児能力の欠如などにより、子供が子供として気持ちを受けとめられ、甘えられることをゆるされなかった環境故にその悲劇は起こるのです。昨今は、虐待などと並び、親が子供を自己実現の手段として、子供のための幸せでなく親の都合の幸せのために、子どもを無意識に利用してしまったことで発生するケースも散見されます。
親の過保護も、子供の自律的自発的成長を激しく阻害するという点で、明らかな虐待であると筆者は確信しています。
昨今メディアで見る「毒親」などがまさにそれで、毒親は「あなたのためだから」という言葉で子供を縛り、自分の価値観を過剰に植え付け、子供が成長してからも自分のために子供を消費しようとするのです。
カウンセリングの過程で明らかになるのですが、(毒)親自体がアダルトチルドレン傾向であることが多いのです。所謂「世代間伝達」であり、極めて根が深い事がわかります。
アダルトチルドレンの特徴とは
アダルトチルドレン傾向とはどんなものでしょうか。
一言でいうなら自分の「自我」が全くなく、自己犠牲を払うことでしか自分の価値を認識できない、周りの人の顔色をうかがい自分の意思決定ができず、自分の心地よさ・不快感を全く認識できないという状況です。
常に激しいオーバーワーク状態で心身ともに疲弊し、不安障害・共依存を併発することも少なくありません。
実際には、自分の社会的役割を献身的に果たそうとするので、組織で管理職を務め、家庭でも良き家庭人であったり、はた目には何不自由のない人に見えることもあります。でも、本人の内面では、自分自身の生存価値も、生きていていいのかすら確信が持てず、常に失敗を恐れ、完璧さを追求しています。完璧であろうとしても、未来的展望は全く描くことができず、常に「絶滅不安」の中で暮らしていて、精神はまさに危機的な状況に陥っているのです。
孤独や生きづらさからうつになることも
アダルトチルドレン傾向の特徴について、もう少しご説明します。
・自分の感情をおさえ、おとなしく自己主張をすることがない。
・大勢の人といるときは目立たないように行動することが多い。
・周囲の反応をうかがい他人に合わせることに必死になる。
・親のもめごとなどを見て育ち、わがままが言えなかったためいい子を演じてしまう。
・周囲が期待しているような振る舞いをしようとする。
・完璧でなければ意味や価値がないと感じてしまう。
・完璧を求めるがゆえ、失敗や挫折を恐れる。また、その通りに行かないと自分を責める。
・自分のありのままを認めることができず、存在するための条件を満たすことに必死になる。
・まわりから肯定され、承認されることを常に求める。
・他人が自分をどう思っているかが気になり、遊びなどを楽しむことができない。
・「ダメな自分を知られたくない」「嫌われるのが怖い」など、人と親密な関係を築くのが難しい。
・「どう評価されるのか」などがプレッシャーとなり、物事を最後までやり遂げることができない。
ほかにも、人によりさまざまな特徴があります。共通点としては、子どもの頃に十分な愛情や安心感などを得ていない、また過剰な干渉により親が子どもを支配し、自己決定力などが育まれていないなど、自尊心や自己肯定感が低い傾向があることです。
アダルトチルドレン傾向の人は人間関係がうまくいかず、孤独や生きづらさを感じてしまい、うつ病や不安障害といった精神疾患の症状が現れることもあります。
アダルトチルドレンの人の適職として挙げられるのは?
アダルトチルドレン傾向がある人は、先に述べたように自己犠牲によって自分の存在価値を感じようとします。「世の中に必要とされたい」といった思いから、人の世話をしたり尽くしたり、献身的な姿勢で、まじめによく働く人が少なくありません。
こういった特徴から、人を援助する仕事、例えば医療や福祉、サービス業といった業界で職に就くことが多いと言われています。患者さんや利用者さん、お客さんと接する中で、「人の役に立っている」といった実感が得やすいからでしょう。
コミュニケーションが苦手であったとしても、困った人を助けたり、悩みを抱えている人の相談に乗ったりすることが、やりがいにつながるのです。
ただ、「がんばらなければ、自分は必要とされなくなる」といった不安が心の中にあります。あまりにも献身的で、がんばりすぎてしまうことが多く、心身ともに疲れ切ってしまいます。
また、嫌われたくないので物事をお願いされても断ることができない、周囲に気をつかいすぎる、といったことから自分自身が疲れてしまう。あるいは、自分に自信がないため、見捨てられたくない、自分から離れていってしまうことが怖い、といった気持ちから過剰なまでに人にしがみつき相手にひかれてしまう。
人と適切な距離を保つことができないので人間関係でつまずくことが多く、転職を繰り返してしまいます。
そのため、制作や美容、技術系といった分野のスキル、会社以外の居場所として始めたブログやSNSの運営経験をもとに、フリーランスとして活動する人も見受けられます。なかには、自身の経験からカウンセリングを学び、カウンセラーになる人もいます。
しかし、どんな職業に就いていても、会社勤めやフリーであっても、あなたがやっていることは誰かの役に立ち、意義のあることです。
自分の存在を認め、生きづらい日々を癒やしていくには、専門家のもとで自分自身の心の状態を知り、ケアをしていくことが大切です。
アダルトチルドレンが抱きやすい不安と子育て
アダルトチルドレン傾向の人は、人とうまくかかわることができず、信頼関係を築くことが難しい、といったことをお伝えしました。捨てられるのを恐れてしがみついたり、相手に合わせすぎて疲れたり、恋愛や結婚、そして子育てで不安を抱く人は少なくありません。
子どもは、親から多くのことを教わりながら育っていきます。その親も、親から学んで成長してきました。このように、親から子、その子どもへと受け継がれていくことを世代間伝達と言います。
良い側面もたくさんありますが、「親から否定されて育った人が、自分の子どもにも厳しくあたる」などのように、その人が育った環境が次の世代に影響を与えてしまうことがあります。この望ましくない連鎖に、アダルトチルドレンの人は苦しんでいるのだと思います。
例えば、十分な愛情を受けていない、ほめられることがなく育った場合。自分に経験がないので子どもの愛し方、受け入れ方がわからず戸惑います。加減がわからないので、過剰にかかわってしまうこともあります。
完璧であろうとして正しい子育てに必死になり、きつくあたったり、イライラしたり。アダルトチルドレン傾向の人は自己否定の気持ちが強いので、子育てにおいても「自分がそのように育ったから…」と、自分を責めてしまうこともあります。
悪いのは、「あなた」ではありません。繰り返しになりますが、大切なことは自分がアダルトチルドレンであること、また世代間伝達という問題に気づき、改善していくことです。つらく、苦しいことですが、自分の体験や感情と向き合い、幼少期に受けた傷や満たされなかった心をケアしていきましょう。
アダルトチルドレン傾向を克服するには
お話ししてきたような「アダルトチルドレン傾向」による生きづらさは、思春期のころには自覚されません。
自覚するのは20代後半~40代前半にかけてで、本人が成長し社会にでて社会的知見が広がり、「今までの自分の環境は、なにかおかしかったのではないだろうか?」と考えるようになってからです。
そこから、自分と親と向き合う、人生を賭けた生きるための長い、苦しい戦いが始まるのです。
産業・心理カウンセラーとして、私が常にクライアントに力説しているのは、「アダルトチルドレン傾向とはあくまで後天的なもの」であり、「あなたの責任ではない」「後天的なものなのだから、学習によって必ず治る」という強いメッセージです。
常に支え、励まし、クライアントの横を歩むサポーターがいますので、一人で抱えずに助けを求めてほしいと思います。
自己肯定感を向上させる!産業カウンセラー
芝崎美幸さん(池袋カウンセリングルーム フェリシテ)
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