同一労働同一賃金は可能か?
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非正規雇用者が増え続けている現状
政府は、非正規雇用者の待遇を改善するため、仕事の「熟練度」や「技能」を賃金に反映させるよう、秋にも法改正をする予定です。法改正される予定の法案は、以下の通りです。(③は新法)
① パートタイム労働法
② 労働契約法
③ 派遣労働者の待遇に関する法律
アベノミクスにより2015年12月失業率3.1%、有効求人倍率1.34倍とどちらも大いに改善されてきました。
しかし、労働者一人あたりの2015年1年間の給与やボーナスなどの総額は、月平均31万3856円で、前の年と比べて0.1%増加した一方、物価の変動を反映させた実質賃金は前の年より0.9%減少し、4年連続の減少となってしまいました。
これは、雇用者に占める「非正規雇用者」が37.6%と5年前より4%ほど多くなっていて、企業が賃金の高い「正社員」を雇わないことが原因と言えるでしょう。
正社員と非正規雇用者の「同一労働同一賃金」を目指して法案改正
そこで政府としては、アベノミクスを軌道に乗せるためにも、「同一労働同一賃金」を実現して非正規雇用者の賃金を底上げすべく、法案を改正したい意向です。
具体的な内容は、経営者が賃金を決める際、熟練度の考慮を義務づける規定を上記3法に設けることが柱です。その上で、「なぜ非正規が正規よりも賃金が低いのかを企業に説明責任を課す」としています。
しかしながら、「非正規雇用者」の賃金を上げようとすれば、正社員の賃金を下げざるを得なくなり、結局、賃金額は伸びないという意見や、「熟練度」「技能」の基準をどのようにするかは、労使交渉や判例による積み重ねが必要なため「非正規雇用者」の賃金に反映されるのには、時間がかかるであろうという意見もあります。
この法案改正で直ぐに「非正規雇用者」の賃金も上がり、実質賃金も上がってくるかは、微妙なところでしょう。
法案改正で企業に説明責任が生じる!
それでも、今回の法案が改正されれば、非正規雇用者に対して、賃金が低いことについて、企業は説明をしなければならなくなります。その際に社員と同じような仕事をしていると、賃金を上げざるを得なくなってくる場面も出てくるでしょう。
そういう意味では、賃金の改善につながるかもしれません。
逆に企業側からすれば、正社員には大いに「企画力」「判断力」「交渉力」などを要する付加価値の高い仕事をしてもらう必要があるでしょう。
正社員のレベルが低く、「非正規雇用者」と同じような仕事しかさせられない、させていない、ということでは説明がつかなくなってしまいます。
自社の正社員と非正規雇用者の「仕事」について、今のうちから見直してみる必要がありそうです。
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