中小企業で広がる「子連れ出勤」は人手不足解消につながるか?
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人手不足の深刻化で増加する「子連れ出勤」
人出不足が深刻とされる中、子育て中の社員の働き方を変えてみようという動きがあります。それが、「子連れ出勤」という働き方です。大企業と比較すれば中小企業は特に人手が不足し、また、中途採用での人員補充もうまくいかないことから、子育て中の社員が働きやすい環境を用意して労働力確保につなげようというものです。企業から業務を受託し「子連れ出勤」をサポートする新たなビジネスモデルも登場するなど、子連れ出勤に注目が集まりつつあります。
「子連れ出勤」を導入する際に注意すべき点としては、社内環境を整えるのはもちろんのこと、他の社員の理解を得ることが重要となります。子供の面倒をみながら働くというのは、業務中の気持ちのオン・オフが求められるなど難しさもあります。一方で、待機児童問題でなかなか復職できない社員が多くいるのも現実です。
働く側の声に応えることができれば、中小企業の労働力確保につながるものといえそうです。実際に20年ほど前から子連れ出勤を実施している企業もあり、女性社員が多い職場や業種によっては十分にメリットがあります。
会社にも社員にもメリットがある勤務スタイル
これまでは出産する社員がいた場合、育児休業をとらず退職するケースが大半を占めていましたが、今では短時間勤務など、勤務形態を変えながら就労するケースが増加しました。このような状況でネックとなるのが、前述の待機児童問題です。
育児休業が長期化すると、休業中の社員は復職に対して不安を抱えるようになります。復職をしたいと願っていても、子どもの誕生日など利用希望とのタイミングがうまく合わなければ、保育施設の利用が叶わず、育児休業を延長せざるを得ません。保育施設の利用が叶わない場合でも、子連れ出勤できる就労環境があれば安心して復職もできますし、常に側に子どもがいる状況であれば、就労中に子どもの体調不良で急な呼び出しに応じなければならないなども解消され、会社にも社員にもメリットがある勤務スタイルといえるでしょう。
自社に合った形での導入を進めていく必要がある
ただ、この勤務スタイルを中小企業がすぐに導入できるかというと、そうともいえません。
導入する目的を他の社員へ理解してもらうことも必要ですし、職場環境の整備も求められます。福利厚生面でのコストも生じることから、正直難しい面もあると考えています。
業種や職種によっては導入しにくいところもあると考えられるため、いきなり自社の就労環境を変えるのではなく、沿線鉄道で提供している駅ナカの保育サービスや、職場の近隣での保育サービス利用なども併せて検討するなどが必要です。子連れ出勤という新たな勤務スタイルがもたらすメリット・デメリットを認識した上で、自社に合った形での導入を進めていく必要があるといえそうです。
IT業界を元気にするSE出身社労士
成澤紀美さん(社会保険労務士法人スマイング)
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