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残暑に気をつけたい痛風の原因と予防法

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夏場に起こりやすい痛風患者数が急速に増加

国民生活基礎調査(2004年)では、「痛風で通院中」と回答した人が全国で87万4,000人。痛風患者数は急速に増加傾向にあり、10年前に比べて約2倍、現在ではさらに多くの患者が罹患していると考えられます。痛風発作は夏場に起こりやすく、残暑が厳しい時には注意が必要です。では、痛風がなぜ、暑い時期に多いか考えてみましょう。

痛風は血液中の尿酸値が高いのが持続した結果、関節内に尿酸でできた結晶が表れ関節炎を起こしている状態です。特に足の親指の付け根やかかとなど足の関節に起こりやすく、赤く腫れ、強い痛みを生じます。血液中の尿酸値が高い人がなりやすいといわれています。ただし、痛風発作が起こっている時には、血液中の尿酸値は下がっています。

イメージとして、家の屋根に雪が溜まっている状態を想像しましょう。雪の高さを尿酸値と考えてください。雪が高くなるとある高さで、雪はどさっと崩れて地面に落ちます。その状態が痛風発作です。また、雪が地面に落ちれば、それまで屋根に積もっていた雪は低くなります。すなわち、発作中には尿酸値は低く出ます。

夏場で疲れが溜まると体は酸性に傾く

痛風発作中は、できるだけ痛む部分を動かさないように、擦り付けないようにし、痛いところを冷やしましょう。アルコールの摂取は、痛い間は控えてください。急性期には薬で尿酸値を下げるとかえって痛みが強くなるため、尿酸値を下げる薬は使わず、痛み止めを使います。ただし、アスピリンは尿酸値を下げる働きがあるため使用しません。

血液中の尿酸の濃度が上がるば、痛風は起こりやすくなります。夏場に痛風発作が多くなる原因には、尿酸をあげるような食べ物の摂り過ぎだけではなく、脱水により血液中の水成分が低下するため、尿酸値の濃度が上がるということも考えられます。また、体が酸性に傾くと尿酸が関節内に結晶化しやすいのですが、夏場で疲れが溜まると体は酸性に傾きやすくなり、尿酸値が変わらなくても痛風発作が起こりやすくなります。

残暑を痛風発作なしに乗り切るには?

尿酸のあげるような食べ物としては、干物やレバーなどがありますが、何より重要なのは、カロリーを摂り過ぎないことです。すなわち、食べ過ぎないことが一番です。アルコールを控えることも重要です。尿酸のもととなるプリン体の多いビールだけではなく、すべてのアルコール自体が尿酸を増やし、尿酸の排出も妨げてしまいます。

脱水を回避するには、こまめな水分補給が重要です。コーヒーなどのカフェイン飲料やアルコールは利尿効果がつきますので、たくさん摂取しても、その分尿として出てしまうことを考慮する必要があります。酸性になっている体をアルカリ性に戻すには、野菜、海藻類などのアルカリ性食品の摂取がお勧めです。このように、海藻類や野菜を含む栄養バランスのいい食事をとり、十分な水分をとり、アルコールは飲み過ぎないようにして、残暑を痛風発作なしに乗り切りましょう。

大西勝也

健康について一緒に考える心不全治療のプロ

内科医

大西勝也さん(大西内科ハートクリニック)

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