「春闘」過去最高回答続出の要因
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春闘で過去最高水準の賃上げが相次ぐ
2015年、春闘の主要企業が組合に対し、3月18日に一斉回答を出しました。連合の集計によると、ベア(ベースアップ)と定期昇給を合わせた平均の賃上げ額は7,497円となり、前年よりも1,006円高く、過去最高水準の賃上げをする企業が相次いでいます。この要因は、果たしてどんなところにあるでしょうか。
今年、3月期の連結営業利益が過去最高の2兆7000億円となる見通しのトヨタ自動車が、ベアについて昨年の2,700円を大きく上回る4,000円を提示(ベアと定期昇給合わせて11,300円)し、今春闘の流れを決定づけたようです。日本経済新聞社の経営者アンケートによると、賃上げの理由について下記のように回答しています。
従業員の志気を高めるため:51%
業績が回復したため:27%
景気に配慮するため:26%
他社も引き上げる見通しのため:19%
政府が賃上げを求めているため:13%
生産性が向上したため:10%
給与アップは購買意欲の上昇を意味する
アンケートの結果によれば、「従業員の志気を高める」「業績が回復した」「景気に配慮」など、前向きな賃上げ理由が上っています。また、アンケートに回答した経営者の9割が、政府の要請が今回の回答に影響があったとしています。
一時金(賞与)については、満額回答する企業が相次ぎ、トヨタは満額の6.8か月分(約246万円)、日立も過去最高の5.72か月分(174万6,316円)となっています。これらは、消費回復には大いに貢献するでしょう。特に、ベアを行う企業が多いということは、毎月支払われる給与が上がることを意味するため、消費生活における購買意欲も上がってくることは間違いなさそうです。
中小企業へ波及するかが今後の課題
今回、連合の集計した企業数は1割ほどで、いわゆる大手企業が中心です。そう考えれば、この流れが被雇用者数の7割を持つ中小企業へも波及するかが今後の課題です。内需型企業では、円安の影響もあって業績が回復しておらず、賃上げの余力が乏しいところも多々あります。しかし、足下では、別の意味で賃上げをせざるを得ない事情もあります。人手不足です。昨年2014年の有効求人倍率は1.09倍、直近27年1月は1.14倍となっています。求職者1人に対し、求人が1.14社あるということです。市場原理からすれば、「良い人材を採用しよう」「つなぎ止めておこう」とすれば、他社よりも良い労働条件を出さなければなりません。
そうした意味で、今年の春闘は中小企業もある程度、追随せざるを得ないと思われます。被雇用者にとっては良い傾向で、間違いなく消費回復に追い風になるでしょう。しかし、中小企業の経営者にとっては、早急に生産性を上げていかなければ人手不足、賃上げ(固定費の上昇)と厳しい状況になりそうです。
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