「新型」出現 「痴漢」の曖昧性と対応法
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痴漢に遭った被害者の大多数が通報・相談していない
埼玉県警察鉄道警察隊の相談資料とパトロール資料の見直しがきっかけとなり、電車内の迷惑行為で犯罪として立件しにくい「新型痴漢」が話題になっています。「新型痴漢」とは、電車の揺れに合わせて体を接触させる、匂いをかぐ、見つめる、などの行為です。
このような行為は、刑法176条の「強制わいせつ罪」や各都道府県で制定される「迷惑行為防止条例」などに該当しない可能性が指摘されています。法律や条例では、「犯行者の明確な意図」が立証できなければ罰することはできません。もし、この現実を逆手に取った行為であるならば許しがたい行為です。
一方、痴漢は許しがたい犯罪であると同時に、わずかな心がけの違いで、被害者と加害者が入れ替わってしまう「曖昧」なものでもあります。そのためか、立件しにくい「新型痴漢」ではなくとも、実は痴漢に遭った被害者の大多数が通報・相談していないことが分かっています。
認知件数の減少は、通報しないことに原因が
警察庁の調べでは、電車内における「強制わいせつ」事案の認知件数は減少傾向(平成19年からの5年間で31.9%減)にありますが、被害者の89.1%が通報・相談をしていません。認知件数の減少は、通報しないことに起因していることが考えられます。
また、通報しない原因として「女性職員の不在」が最も多く寄せられ、被害に遭ったときの行動では「我慢した」「その場から逃げた」が80.9%と大多数を占めています。このことから、被害者の「羞恥」と「恐怖」がいかに大きいものかがわかります。電車内の「痴漢」は、犯行者に快楽とスリルを与え常習化していきます。そして、被害者の恐怖に震える姿が征服感に似た成功体験となり、エスカレートしていきます。
警察や鉄道事業者の取り組みを活用して被害や冤罪の防止を
電車内での痴漢被害は、実態がつかみ難いのが現状です。警察では「相談所の開設」「女性職員の採用」「利用を促す広報活動」を強化しています。また、鉄道事業者においては「駅構内の警戒と電車内のアナウンス」「女性専用列車の導入」「電車内の防犯カメラ設置」「電車内被害多発箇所へのポスターなどの掲示」などを行っています。
職場や学校などでも対策を講じることを働きかけています。満員電車を利用せずにすむ「時間差出勤」や、被害の届け出や目撃などによる「遅刻」への配慮、被害防止の「コンプライアンス研修」の実施などです。このような社会の取り組みを、率先して利用すべきだと思います。自分と同じ恐怖を減らすための相談・通報をする勇気、被害に遭ったり目撃したりしたときの責任(冤罪防止)を再確認することが大切です。
同時に、冤罪防止には、揺れによるやむを得ない接触や間違われそうな体の接触があった場合、謝意を表すことがマナーのひとつと考えなければなりません。人である以上、間違いは必ずあります。その間違いを許容する余裕と、自分の行動に自信を持つことが、最も重要で有効な対策です。
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