「全員参加型社会」に向けて企業に求められる意識改革
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国は全員参加型社会を推進、大学を全世代に向けて解放の動きも
現在、国では「全員参加型社会」の実現に向けて動いています。各省庁で多少異なりますが、厚生労働省では若者・女性・高齢者・障がい者の就労を促進。経済産業省では、人口減少社会におけるモノづくりの人材育成の観点から全員参加型社会を推進しています。
地方創生ではコミュニティビジネス(地域が抱える課題を、地域資源を生かしながらビジネス的手法によって解決しようとする事業)において推し進めています。
そして、3月4日には教育再生実行会議(21世紀の日本にふさわしい教育体制を構築し、教育の再生を実行に移していくための教育改革を推進する会議)が、大学を全世代に解放すべきと提言をまとめました。
生涯を通じて活躍していくためには、学び続けることが必要
日本では、欧米諸国に比べて、社会人になった後に大学や専修学校で学び直す機会があまりありません。そして、カリキュラムも若年者向けが中心になっている場合がほとんどです。
しかし、社会が目まぐるしく変化する中で生涯を通じて活躍していくためには、社会人になった後も学び続けることが求められます。子育てや介護などによりキャリアが中断した人が、新たな知識や技能を習得して社会復帰する機会を設けるべきです。また、キャリア転換を機に、大学などで高度な知識や技能を習得する場を設けることも必要でしょう。
これらを実現するために、社会人が取り組みやすいコースなどを設定し国が支援するとしています。
多様な社会に合わせ企業は人材採用の面で意識改革を
一昔前までは、新卒採用に年齢制限がありました。例えば、大卒なら24歳以下などです。現在も新卒一括採用システムは稼働中で、今日も日本の各所で大学生や専門学校生対象の就職セミナーが開かれています。意識変革のポイントはここにあります。「グローバル化やIT化が進行し、技術革新の速度は速くなり既存の価値観では対応できない。そのために多様な人材が欲しい、異才の持ち主が欲しい、個性的な人材が欲しい」と企業の採用担当者は口々に言います。しかし、現実には既存のレールに乗った採用しか行っていません。
終身雇用は崩壊したと言いながら、終身雇用を前提とした新卒一括採用システムを使い続けています。これでは、どんなに学ぶ意欲があって再チャレンジしようと頑張っても採用の入り口にすら到達できません。欧米では、大学生が卒業後に就活するのは一般的であり、通年採用は珍しくありません。
多様な社会、全員参加型社会の実現を目指すのであれば、60年も前に確立された日本特有の採用システムを解体しなければなりません。他社より抜きん出たいのであれば、採用の常識を打ち破る勇気を持つことが企業には必要となってくるでしょう。
「人財」を育て企業の健全な存続を支援するプロ
佐藤憲彦さん(さとう社会保険労務士事務所)
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