世界で最も「革新的な企業・機関」を有する日本の実状
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世界で最も革新的な企業・機関数で日本が世界一位に
世界の48特許発行機関が発行する約5,000万件以上の特許公報のデータベースを有する「トムソン・ロイター」は、2011年より毎年、世界で最も革新的な企業・機関100社を選ぶアワードを発表しています。
今年の「Top 100グローバル・イノベーター2014」によれば、国別で日本が昨年の28社から39社となり、米国を抜いてトップに躍り出ました。これは、過去5年間の「特許数」「成功率」「特許ポートフォリオの世界的な広がり」「引用における特許の影響力」を評価軸の基本としたものです。
日本の特許出願件数は従来の4分の3まで落ち込んでいる
しかし、我が国が「Top 100 グローバル・イノベーター」で最多の選出企業を獲得したからといって、 グローバル市場でのビジネスを効果的に展開し、イノベーションの世界的なリーダーになったと考えるのは早計だと考えられます。2014年のノーベル物理学賞は青色LEDの発明で3人の日本人が受賞しましたが、本当の意味でLEDの高効率化に寄与しているのは、日本の完全結晶成長技術です。
このような半導体の基礎技術を実現したのは先人たちで、同時に日本の科学技術を牽引してきました。そうした発明のアイデアを、その後の日本研究者たちは提案し続けてきましたが、それも今や過去のこととなり、現在日本の特許出願件数は従来の4分の3まで落ち込んでいます。特許出願件数だけでなく、科学技術論文の件数も低減しているのは、先進国の中でも日本だけです。
今回の評価をそのまま受け取るのは非常に危険
2014年現在における世界全体の実体経済(GDP)は74兆ドルと言われていますが、その約4倍の世界金融資産が動いているのが実情です。従って、今年の「Top 100グローバル・イノベーター2014」が円安による経済効果であるとすれば、そのまま受け取るのは非常に危険な評価となり得ます。
2004年にノーベル経済学賞を受賞した経済学者のフィン・エルリング・キドランドらのリアルビジネスサイクル理論が説くように、真の科学技術による実物的要因のみが景気循環の要因となるはずであり、現状のままでは日本の将来は危ぶまれます。
今のままでは日本の基幹技術が海外へ流出してしまう
また、以前、内閣官房知的財産戦略推進事務局の安田太参事官が「日本企業は知財マネジメントが十分にできていなかった」と述べていますが、単に特許数などを指標とする評価も極めて危険です。日本企業が海外メーカーと特許契約を結ぶ場合、どのようにノウハウを隠しつつ、権利としての特許を外部に供給するのかということを考えなければ、結果的に日本の基幹技術が海外に流出してしまうでしょう。
海外には自社の技術開発よりも外国からの技術導入を重要視している企業が存在します。日本企業が生み出した独創的な発明を知的財産で適切に保護し、グローバル市場でのビジネスを効果的に展開するためには、何かしら手を打つ必要があります。
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