不協和音の元凶に?「短時間正社員」導入の注意点
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メリット多い「短時間正社員」。大手企業でも既に導入
「短時間正社員」という働き方を知っていますか?勤務時間が4時間あるいは6時間といったようにフルタイム正社員よりも勤務時間が短い分だけ月給は下がりますが、パート・アルバイトとは違って期間の定めがなく、労働保険・社会保険の適用を受けられるなど正社員に準ずる処遇で働くことができます。一部の大手企業でも既に導入が始まっており、働き方が多様化している今、注目されている勤務形態です。
短時間正社員制度を導入するメリットとしては、次のようなものが考えられます。
(1)働く人のライフステージ(出産・育児・介護等)に合わせた働き方ができる
正社員としての地位を確保しつつ働く時間を短くできるため、育児や介護などをする従業員にも継続して勤務してもらえる可能性が高まります。働く側もキャリアを途切れさせることなく、働き続けやすくなります。
(2)人材が定着することで採用や教育訓練のコストが下がる
離職率が下がることで、新たな人材の確保にかかるコストが減ります。また、経験や能力のある人材の流出が少なくなり、教育訓練に費やすコストも抑えられます。
(3)企業のアピールポイントとなり、人材獲得に有利になる
働きやすい職場環境をアピールできるため、優秀な人材の確保につながります。
一人が働く時間が短くなるため、補うための労働環境整備が必要
このようにメリットが多い短時間正社員の制度ですが、導入にあたっては注意しなければならないこともあります。
まず、一人が働く時間が短くなるため、その分を補うための労働環境整備(仕事量の調整・人材確保など)が必要となります。短時間正社員が帰った後にフルタイム正社員に仕事のしわ寄せが来るような状態であれば、フルタイム正社員の不満が募るだけで、結果的に短時間正社員制度への理解・定着が難しくなってしまいます。また、短時間正社員制度を導入してワークシェアリングを進めるのであれば、それに見合った人数が必須となりますが、労働力不足が叫ばれている今、人材をどう確保していくかも難しい問題です。
さらに、キャリア形成を踏まえた公正な人事評価制度の整備も重要となってくるでしょう。短時間正社員という働き方がキャリア形成に不利になるようでは、短時間正社員制度を導入したとしても、利用が進まず制度自体が形骸化しかねません。
フルタイムでも短時間でも、仕事に対する責任の重さは変わらない
一方で、短時間正社員として働く側にも、それなりの自覚が必要です。短時間でも効率よく働けるような仕事の段取りや、自分が帰った後の引き継ぎがスムーズに進むための準備など、あくまで正社員として責任を持って仕事をやり遂げる覚悟が求められます。フルタイムでも短時間でも、仕事に対する責任の重さは変わりません。
短時間正社員という制度を上手く活用していくためには、労使双方の理解と努力が不可欠といえます。
人事労務コンサルティングの専門家
大竹光明さん(社会保険労務士法人大竹事務所)
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