新労働時間制度、労働者にメリットはないのか?
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新労働時間制度が生まれた背景
企業に雇用されている人にとっては、気になる新労働時間制度。これは、実際に働いた時間と関係なく成果に応じた賃金のみを支払うことを基本とすると説明しており、新制度の対象労働者には法定労働時間を超える労働(残業)と賃金との関係を切断し、現行の労働基準法が定める法定労働時間の規制の適用を全面的に排除する内容になっています。まず、この制度が検討されるに至った背景を見てみましょう。
労働基準法は、第二次世界大戦後の昭和22年に、労働組合法や労働関係調整法と並び、労働関係の近代化に寄与する目的で作られました。労働基準の最低条件を定めた法律とされています。
しかし、昭和22年と平成26年では、企業が置かれている状況は同じではありません。制定当時の主力産業は製造業でした。しかし、社会が成熟するにつれてサービス業が増えてきました。その結果、「労働時間の長さをもって給与を決めるのは時代に合わないのではないか?」と考えるようになったわけです。時間という枠にとらわれなければ、女性も働き易く、また、生活費を稼ぐ目的のダラダラ残業も減らすことができます。
しかし、労働組合側は反発します。「長時間労働が増え、過労死を助長する」と。ただ、国も対策は打っています。過労死防止法の成立、長時間労働による精神疾患を防ぐためのストレスチェック法の制定、フレックスタイム制の見直し予定などです。そして、現状は1000万円以上という年収基準も設けました。
「自らの生産性を上げて自己管理しなさい」というのが制度の主旨
では、この新労働時間制、労働者にとってメリットはないのでしょうか?私は大いにあると考えます。
もし、あなたがセールスの仕事をしていたら、日によって注文が取れまくる日もあれば、サッパリ取れない日もあるでしょう。そんな時に喫茶店などで時間を潰す行為は有益でしょうか?むしろ早めに切り上げてリフレッシュした方が心身のためになるのではないでしょうか?
もし、あなたが内勤で事務仕事に従事していたら、書類処理業務も日や週によって繁閑があるでしょう。早めに終わったら早めに切り上げて、忙しいときに備えたいとは考えないでしょうか?
もし、あなたがクリエイター系の仕事だったら、8時間イスに座っているからといってアイデアが浮かびますか?むしろアイデアは、ひらめきが大切とも言われています。
このように、現在、多くの職種で働き方を時間で管理することに向かなくなってきているのです。また、夜の10時や11時まで営業で飛び回っている社員に残業代を払うのは、企業にとってもコスト・リスク両面において損失です。
そして、この制度のもう一つのメリットは、業務が明確になるということです。誰の仕事か曖昧な仕事は意外と多く、それが残業の原因になっています。業務が明確になると仕事に誇りが生まれて好業績につながるという考えもあります。全職種には無理でも、「自らの生産性を上げて自己管理しなさい」というのが、この制度の主旨です。
「人財」を育て企業の健全な存続を支援するプロ
佐藤憲彦さん(さとう社会保険労務士事務所)
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