「子ども貧困率」過去最悪の背景
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30~40名のクラスでは5~6名の生徒が貧困という割合に
厚生労働省「平成25年国民生活基礎調査」によると、平均的な所得の半分以下の世帯で暮らす子ども(18歳以下)の割合が、平成24年時点で過去最悪となる16.3%に達してしまいました。これまで「子どもの貧困率」は、昭和60年時点の調査では10.9%であったものが、毎年のように微増ながら上昇を続け、今回も過去最悪を更新しています。この数値を学校の教室に当てはめてみると、1クラス30~40名学級において、5~6名の児童・生徒が貧困に苦しんでいる状況となります。
この背景には、「生活保護世帯の増加」と「非正規雇用」というデフレを起因とした景気の低迷による弊害が一因になっています。また、離婚に伴う「一人親世帯」の増加により、子どもの貧困率悪化も一因とされています。
一人親世帯の中では、とりわけ母子家庭において約66%が貧困となっています。母子家庭は子育てと仕事の両方を一手に担い、かつ双方を両立する必要があります。しかし、子育てと仕事の両立は困難と言わざるを得ません。例え、それまで正社員として働いていた母親であっても、一人親世帯になれば労働時間の制約からパートなどの非正規雇用に追い込まれ、収入の減少や不安定な雇用状況から、苦境に陥ってしまいます。
子どもの貧困問題は、子ども自身には何の責任もありません。かといって、保護者に全て責任を押し付けてしまうのもあまりにも酷です。無限に広がる子どもの可能性を精一杯に広げることは、国民の責務だと信じます。
子どもの貧困問題を社会全体で支え合う仕組みが必要
2010年12月に「伊達直人」を名乗る匿名の人物から、児童養護施設へランドセルが送られたことがありました。これを皮切りに、全国各地の児童養護施設へ「伊達直人」と名乗る善意の寄付行為が相次ぎ、いわゆる「タイガーマスク現象」といわれました。ところがその後、児童養護施設を中心に善意の寄付が寄せられているものの、この輪が大きく広がっているとはいえません。養護施設はもちろん、子どもの貧困問題に対しても社会全体で支え合う仕組みが求められます。
この命題に行政は、十分とはいえないまでも経済的理由により就学困難な小学生および中学生に対して教科用、学用品、修学旅行、通学交通費、給食費、医療費などを金銭面で支援する就学援助や高校生や大学生への奨学金の貸与といった仕組みで対応しています。詳細は、お住まいの市町村の窓口で確認してみてください。
なお、政府は、「子どもの貧困対策に関する検討会」において議論を進めており、就学援助などの充実を図るため、大綱の作成に向けた準備を進めています。「金さえあれば…」という拝金主義的な発想は、貧困により生み出されやすいといえます。景気低迷・非正規雇用・一人親問題などを起因とした、子どもの貧困率の悪化という現実を目の当たりにして、他人事として聞き流すことなく、「自分は何ができるか」を考える必要性を感じます。
子どもへの金銭教育に取り組むファイナンシャルプランナー
石村衛さん(ライフパートナーオフィス)
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