企業の残業時間増、背景にIT化も
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企業の残業時間増が社会問題化。「法定労働時間」とは
今、企業の残業時間増が問題視されるケースが増えています。労働基準法第32条によると「使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて、労働させてはならない。1週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き1日について8時間を超えて、労働させてはならない」と書かれています。ただし、一定の規模以下の業種には例外が認められています。また、変形労働時間制・みなし労働時間制および36条協定等の制度があるため、実際は法律を杓子定規にあてはめてはいません。
ちなみに、休憩時間は、労働基準法第34条で、労働時間が6時間を超える場合は少なくとも45分、8時間を超える場合は1時間を勤務時間内に与えなければならない、となっています。しかし、残業の可能性があるため、休憩時間を1時間としている会社が多いでしょう。ただ、休憩時間も業務によっては与えなくても良かったり、一定の手続きを踏めば一斉に与える必要もなかったりします。休憩時間ですから、業務から解放されていることも必須です。
残業が増えている背景と、その対策
世間一般に言われる残業とは、法律上は時間外労働と呼びます。今、企業で残業が増えているその原因は、何なのでしょうか?
まずは、景気の好転が挙げられます。2013年度の決算では、輸出を主とする製造業が軒並み黒字や増収増益を発表しました。また、東京五輪招致も影響あるでしょう。
次に、人手不足。建設業、介護事業、飲食業および宿泊業では雇用のミスマッチが起こっているというのは、厚生労働省もレポートを出しています。建設業からも人材が集まらないという嘆きを聞きます。人手不足は今後ますます顕著になります。なぜなら、法人数よりも18歳人口が減っているからです。これらの業界では雇用環境の整備を進め、自社を積極的にアピールして業界に対する誤解を解くが努力が必要です。
そして、意外に思われるかもしれませんが、IT化です。業務を効率化させるために普及してきたIT技術ですが、逆にメール処理や各種報告書、会議資料の作成等に時間に追われ業務量が増えたと言われています。業務のリストラを検討しましょう。
最後に、法律を無視した経営です。法を軽んじて利益を貪る姿勢の会社はブラック企業と叩かれます。そして、人材の流出と枯渇が始まり事業は先細ります。
しかし、経営者等の中には労働法によくわからないために、意図せず法を犯しているケースもあります。優秀な人材を確保し、留めておくためにも、労働法の専門家を中に入れ労務監査や就業規則チェックをして対策や改善策を講じましょう。
「人財」を育て企業の健全な存続を支援するプロ
佐藤憲彦さん(さとう社会保険労務士事務所)
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