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海外療養費の正しい活用方法

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女性タレントの父親が詐欺容疑で逮捕。海外療養費とは

海外療養費の正しい活用方法

先月、女性タレントの父親が海外療養費を悪用し、87万円の詐欺容疑で逮捕されました。国内では、医療機関で治療を受ければ健康保険証を提示し、自己負担分を支払う「療養の給付」が原則です。しかし、やむを得ない事情で療養の給付が受けられず保険者が認めた場合には、支払った医療費から自己負担相当分を控除した額が「療養費」として支給されます。この療養費の制度は国内での制度であり、海外で保険証を提示しても療養の給付を受けることはできません。そのための制度が海外療養費制度であり、海外旅行中など現地の医療機関で治療を受けた場合、保険者に申請することにより、医療費の一部が払い戻される制度です。

支給金額は、国内での療養の給付と同じではありません。国内の医療機関で治療を受けた場合の診療報酬点数に換算して算定され、その額が実際に海外で支払った額より少ない場合は、算定した額から自己負担分を控除した分が払い戻されます。反対に算定した額が海外で実際に支払った額より多い場合は、支払った額から自己負担分を控除した額が払い戻されます。支給額は、支給決定日の外国為替換算率で円に換算し、支給額を計算します。

海外療養費の受給のために必要な手続き

今回の事件以外にも、海外療養費の不正受給は多く発生しています。例えば、外国人が虚偽の診断書や領収書を作成し、複数の区役所から1千万円以上を不正受給する例や、病院と患者が組んで虚偽の書類を作成して不正受給をするなどです。背景には、外国人でも在留資格が3か月以上からでも国民健康保険に加入できるようになったことや、保険者として確認するにも言葉の壁があることが影響しているでしょう。

健康保険は国内で治療を受けることが原則となっているので、臓器移植などが目的の海外渡航や、国内で保険適用されていない治療は支給対象外になります。手続きとしては、海外の病院で医療費の全額を支払います。その際、診療内容明細書と領収明細書を受け取り、帰国後に療養費支給申請書と翻訳文を添付している診療内容明細書、領収明細書を保険者に提出します。保険者によっては、出入国記録を確認するためにパスポートの提出も必要です。

申請の期限は海外で支払った日の翌日から起算して2年。海外旅行では傷害保険に入っている場合もありますが、これとは別に海外療養費を請求することができます。手続きをスムーズに進めるためには、前もって申請書を準備し、持参していくことをお勧めします。

リスク対応型就業規則作成と障害年金請求の専門家

松本明親さん(社会保険労務士 松本事務所)

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