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自虐史観の根源?戦後教育の問題点

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約20年前に登場した「自虐史観」という言葉

自虐史観の根源?戦後教育の問題点

「自虐史観」という言葉があります。登場後、20年近く経つので、「言葉自体は知っているが、実際どういう意味なのか、よくわからない」という人も多いかもしれません。

かいつまんで言うと、それは戦後の、特に学校教育で、満州事変(1931年)から敗戦(1945年)に至る15年の戦争が、日本主導の対外戦争であり、アジアや世界の国々に対して悪いことをした、だから贖罪しなければならない、という面だけを一律に教えた、かの戦争のとらえ方のことを指すと思われます。

戦後の教育を受けた一人として、たしかに「戦争が絶対悪である」ことと、「日本の行為が悪であった」ことを峻別せず、日本はただひとえに反省すべきだ、という雰囲気で「昭和史を教えられた」感があることは、私も否定しません。

20世紀のアジアとの関係だけをとらえ、「罪」の意識ばかりに

「自虐史観」という言葉が使われるようになったのは、90年代後半に「新しい歴史教科書をつくる会」が活動を起こし、中学校の検定教科書の発行を企てた時からです(その後継の教科書が、沖縄の八重山地区で問題の発端となった「育鵬社版」教科書です)。「日本はあの戦争において徹頭徹尾『悪』であり、ずっと謝りつづけなければならない」という意識を固定させたことが日本国民としての誇りを失わせた、だから考えを改め、日本人は誇りを取り戻すべきだ、という主張が、その根底にあるようです。

また、さらに深い淵源として、1945年(敗戦)から1952年(サンフランシスコ平和条約の発効)まで、日本がアメリカを中心とするGHQ(連合国軍総司令部)の支配下に置かれたこと、極東国際軍事裁判(東京裁判)で日本の「戦争犯罪」が、戦勝国側の論理で裁かれたことなどが、考えられます。

かつて、日本が国力の活路を海外に求めたことは事実です。それは18世紀末から訪れたロシア、イギリス、アメリカなどの強国の求めによって開国し、当時の帝国主義=植民地主義の国際社会に加わらざるを得なかったことにはじまります。この「起点」からの経緯を系統立てて教えることなく、20世紀のアジアとの関係だけをとらえ、「罪」の意識ばかりに浸ることが「自虐史観」なるものだとすれば、それは戦後の学校教育の大きな問題だったかもしれません。自国の歴史、ありようをきちんと理解し、誇りを持つことができてこそ、グローバルな世の中で活躍することができるはずですので。

「自虐史観」的な思想からは脱却し、「教育」が目指すべき姿は?

ところで、一方の言い分に対する強い反発から、「証拠が見つからないのは事実がなかったからであり、先方の捏造だ」とする論調が多く見られます。そして「日本の行動はすべて正しかった」という方向で結論づける言説も、時おり目にします。これは未来の社会、子どもたちのために、あるべき姿と言えるでしょうか。

往時の戦争で、日本の海外での戦闘行為や軍政が、その土地の人々に望まぬものを強いたのは、これもまた一面の事実です。それを正当化して後世に伝えるのは、少なくとも「教育」のなすべきことではありません。

「自虐史観」的な反省一辺倒の思想からは脱却し、近代日本の成り立ちと、その結果として近代の終盤に立ち至った歴史(戦争)とを、できうる限りフラットに知識として教え、その上で、子どもたちが精神的に自立する高校生~大学生の年代に、きちんと自分の考えによって判断できるだけの思考力と感性を育む、そんな「教育」が、未来を委ねる子どもたち、若者たちのために、私は必要だと考えます。

小田原漂情

国語力に定評がある文京区の総合学習塾教師

学習塾塾長

小田原漂情さん(有限会社 言問学舎)

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