中小企業のための「求人難」倒産の予防策
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「求人難」から倒産に追い込まれる企業が増えている
今、少し前の就職超氷河期には考えられなかったような出来事が起きています。求人をしても人が集まらず、倒産にまで追い込まれる企業が出てきているのです。
東京商工リサーチの調べでは、2014年上半期に「求人難」から倒産に至った企業が10件確認されました。これは、昨年一年間と同じ件数を半年で到達してしまったことになり、今後も増加することが懸念されています。なお、この数字は表面に現れたごく一部のもので、求人難が原因で倒産まで至らなくても、廃業せざるをえなかった企業などを含めると、実態はもっと多いのではないかと推測されます。
それでなくても、大企業より求人に苦労してきた中小企業にとって、求人難倒産を防ぐ対策はあるのでしょうか。
求人のキーワードは「誠実さ」「差別化」「ユニークさ」
中小企業が、「大手求人誌への掲載」「就職あっせん業者への登録」といった求人対策を打ったとしても、コストが膨れ上がってしまう割に、なかなか効果が出ないことも多々見受けられます。そこでキーワードとなるのは、「誠実さ」「差別化」「ユニークさ」です。
■誠実さ
求人に応募する人にとって最も気がかりなのは、その企業が「きちんとした会社か」どうかです。大企業に人気が集まるのも、結局はこの点でしょう。
むろん、大企業と同じ土俵に立つのは難しいですが、自社の良い点ばかりを強調し、弱みを隠すような状態では、仮に入社してもらってもすぐに退職されてしまいます。誠実に応募者に対して情報を提供することで、就職する前にミスマッチを防ぐことも可能です。もちろん、社内制度も法に則ったものになるよう整備していく必要があります。
■差別化
中小企業ならではの事業展開・サービスなどをアピールし、大企業にはない強みと魅力を発信して差別化を図ることです。「入社したらどのような仕事ができるのか」「どんな技術・能力を身につけることができるのか」などを、応募者に具体的にイメージしてもらうことが重要です。
■ユニークさ
求人方法を工夫してみるのも有効です。求人広告のデザインや、募集内容に一工夫を入れて、他の企業にはないユニークさを打ち出してアピールしましょう。
例えば、「社員がアイデアを出して採用されたら報奨金がもらえる制度がる」「入社試験ではなく、社長に熱意を直談判して伝わったら採用」など、ユニークな方法を採っている中小企業の真似をしてみるのも良いかもしれません(ちなみに弊所では、給料日にジャンケンで勝ったら1万円がもらえる制度があります)。また、昨今の働き方の多様化(短時間勤務、非正規労働等)に合う社内制度作りをして、会社自体を時代のニーズに合わせていくのも、ひとつのアピールになるのではないでしょうか。
そして、せっかく苦労して集めた人材が、2年や3年で離職されることのないよう、社内制度・職場環境を整えていくことが必要です。これからますます「求人難」の増加が見込まれています。求人と並行して離職率を下げる努力を行っていくことが大切です。
人事労務コンサルティングの専門家
大竹光明さん(社会保険労務士法人大竹事務所)
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