土曜授業再開、子どもたちへの影響
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ゆとりの完全週5日制を見直し、学力重視へと回帰
全国的に小・中学校における「土曜授業再開」のニュースが多くなってきたようです。発端は、昨年11月に「土曜授業の実施に係る学校教育法施行規則」が一部改正され、「公立学校における休業日」の扱いについて、「特別の必要がある場合は、この限りでない」から「当該学校を設置する地方公共団体の教育委員会が必要と認める場合は、この限りでない」と、変更されたことにあります。
平たく言いかえると、土曜授業を、「特別な場合は、やってはいけないとは言わない」から、「教育委員会が実施すると判断すれば、やっても良い」ことになったわけです。さらに遡ると、公立学校の「土曜休み」は、まず1992年に第2土曜が休みとなり、94年に第4土曜も加わって、隔週土曜休みとして確定しました。現在、40代以上の人は、学校は週6日、土曜まであるものとして育ったはずです。
そして2002年の新指導要領実施、いわゆる「ゆとり教育」完成の時点で、完全週5日制となり、今また「土曜授業の再開」が、問題とされるに至ったわけです。当然、「学力重視」への回帰という方向性が、その背景に存在します。
子どもたちに「土曜休み」の使い方が定着
かつて「学校の土曜休みが始まる」ことが決まった時期の保護者の反応は、「子どもが土曜に家にいると手がかかり、困る」というものが多かったと記憶しています。また「完全5日制」になってからは、土曜も授業を行なう私学との「学力格差」が大きく取り沙汰されました(そのため私学が多い東京都内では、数年前から「月1回の土曜授業」の行なわれている学校が多くあります。大阪市では、昨年から、全小中学校で実施されているようです)。
一方、すべての土曜日が休みとなった子どもたちは、学校の部活動のほか、校外でのスポーツや習い事など、土曜が休みだからできる活動に、力を注ぐことができたようです。「子どもが家にいて大変な」保護者も少なくないと思いますが、ある程度この生活習慣は定着していたのではないでしょうか。
上手に活用し、保護者にも子どもたちにも有意義な土曜日に
では「月1回」、学校で土曜授業が行なわれると、どうなるのでしょう。私が身近に見ている文京区の学校を例にとると、その日は授業参観や研究授業に充てられることが多いようです。もちろん学校(自治体の教委)によって、その内容は異なると思われます。
ここで大事なのは、「その土曜日に何をやっているか」ではなく、年間トータルの授業数が、どうなるかということです。単純計算で、8月を除く月1回、土曜日に3時限の授業が実施されれば、年間33時限が捻出されます。毎週土曜に授業がある私学との授業時間数の差が、一気に埋まるわけではありませんが、運動会等の行事前に平日の授業が削られる現況を考えると、これだけの授業時間の確保は、学力面への影響から見れば「あった方が良い」と、私は考える立場です。このところのニュースでは、「保護者は隔週実施を希望」という見出しも目にします。
そして何よりも「子どもたちが大人になった時」を考えると、月に1回なり2回なりの「土曜日の登校」は、あって然るべきではないでしょうか。大人になって社会に出た時、全員が「週休二日の仕事」に就けるわけではないのですから。学力面以上に、子どもたちの精神面、生活面において、「完全週休二日」ではない方が良いと考える次第です。
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