こころの問題<15> 自立の裏には必ず孤独がある
色々な方とお話をさせていただくと、いろいろなことに気が付きます。
もちろんお話の内容はお一人お一人違いますし、それぞれのご事情や個性も異なるわけですから、一概に語ることはできないのですが、それでも気が付いたら「あぁ、この方も・・・」というような思いを持たされることはあるものです。
例えば今回タイトルにあげさせてもらった「3歩進んで2歩下がる」。
これも私が実際にいろいろと体験させていただいた経験を言葉に変えてみたものです。
数学や機械的な現象をイメージすると、その変化のグラフは右肩上がりの直線的なイメージを思い浮かべるかもしれません。しかし人間は機械や法則のように理屈通りに進むものではありません。
例えば面接を進めていくうちに、ご本人の気づきや変容が生じてきて状況が改善されていきます。しかしそれが先の数学のグラフのように、直線的に進んでいくかというとどうやらそうでもないのです。
それを言葉にすると「3歩進んで2歩下がる」。つまり行きつ戻りつしながら、ある時ふと気が付けば以前とは違う自分がいる。何か気づきがあって、それで問題解決!というのではなく、問題解決したかのように思っているうちに、また過去の自分がむくむくとよみがえってきたりする。
あぁ、またこんなことで悩まなくてはいけないのか・・・・と思い、自分と再び向き合う日々を繰り返すうちに、気が付けば以前よりも視野が広く、今の自分を受け入れる許容量が上がってきていることにふと気づく。あぁこれでもう大丈夫かも、と持っている時に、また・・・、という「行きつ戻りつ」を繰り返してながら変化していくのが人間の変容のパターンのような気がします。
そんなんじゃ、まどろっこしいし、特効薬はないものか!そのためにお金も払っているんだろ!!と思う気持ちもわかりますが、残念ながら人間は自動販売機と違って、一定の料金を払ってボタンを押せばすぐに欲しいものが手に入るというわけにはいかないのです。
「3歩進んで2歩下がる」
気が付けば1歩進んでいます。
まして一時的とはいえ3歩進んだことは間違いなのですから、それは希望。
時には「3歩進んで5歩下がる」ようなときもあるかもしれません。
ですが3歩進むことができた自分を信じて、また一歩ずつあきらめずに、コツコツ取り組ん行きましょう。