「白い巨塔」「とと姉ちゃん」で欠かせない存在感!唐沢寿明さんの著書「ひとり」
昨日に引き続き、この人の本を読んでみました。
さて、前回は自らの病気を抱えながら若年性アルツハイマー病の男性を演じる渡辺さんのことについて紹介しました。本の中ではご自分の病状や病院での診察・治療の具体的な内容まで明らかにされながらご自分のお気持ちも言葉にされています。詳しいことは本文をお読みいただくしかないのですが・・・・
映画の撮影と平行して引き受けた仕事の中に、最初に発病したカナダのカルガリーを訪れるドキュメンタリー番組があったそうです。その発病したころのことを思い出して渡辺さんはこう語られています。
“・・自分では「もう終わった事・・・」と、わりとさばさばした気持ちで、その企画を淡々と受けた。しかし・・・・「悔しい」。自分ではまったく思いがけなかった(あるいは封印していた)その気持ちがブァーと溢れ出てきて、止められなくなってしまったのだ。・・涙は止め処なく流れ、僕はその場に立ち尽くしていた”
そういうご自分の気持ちと若年性アルツハイマーになったことがわかった主人公の気持ちを区別することは本当に難しかったことでしょう。
“だが、気をつけなければいけない事は、僕の体験は、あくまでも佐伯雅行(注:映画「明日への記憶」の主人公)の人生とは別であり、別の苦悩を描かなければいけないのだ。自分の感傷にだけどっぷり浸っていては人に何かを伝えることなど出来まい”
カウンセラーも相談者の人生に自分を重ねる必要があります。そんな時、やはり感情的に揺る動かされることはあって当然でしょう。しかし渡辺さんが書かれているとおり、自分の感傷だけにどっぷり浸っていては人に何かを伝えることなど出来ないのだと思います。
渡辺さんはそういうご自分の苦しい思いを参考にしながら、主人公の人生をたどり演じていかれます。その工夫は頭が下がるほど。セリフの一言の言い回しや細かい表情の一つ一つまで本当に考えていかれる様子が語られています。このような俳優としての体験を生の声で語られるシーンは他にもたくさんあり、それだけを読ませていただいても参考になることばかりでした。
最近、癌の闘病の様子をオープンにされている小林麻央さんや、あるいは残念ながら若くして亡くなられたラガーマン平尾さんのニュースも目にしました。私達のような一般人はもちろん、タレントさんであれスポーツマンであれ、人としてこの世にあるのは同じです。ご自分のさだめと作品の中の他者のさだめがオーバーラップする現場で、渡辺さんが自分と向き合われる様子を読ませていただき、同時にそれを読ませてもらっている私自身のさだめも意識せざるを得ませんでした。
その体験を踏まえつつ、人の人生と深いところで関わらせていただける俳優とカウンセラーの仕事は、なんと貴重でかつ厳しい体験をさせていただける仕事なのだろうか、と改めて思った次第です。
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