映画「精神」:「病と共に生きる人」、そしてその彼らと共に生きる人
今回取り上げた映画はこれ
この映画は、詩人で重度の身体障害者である主人公のマークが、自らの性的体験をテーマとする取材を決心した場面から始まります。このテーマからして、健常者では取材の対象とならない問題でしょう。しかし実際の身体障害や他の障害の関係から、「性的な体験」がほとんど持てない方々がいるということは事実です。そのような問題を正面から目をそらさず描いた映画でした。本当に色々なことを考えさせられました。
映画のストーリーに入る前に、このような障害者と性のテーマについてもっと知りたいと思い、それを取り上げた本を探すと次のような本がありました。それはこの本
「セックスボランティア」河合香織 新潮社 (写真はアマゾンより)
この本を読んでみると、この映画がアメリカの話ではなく、日本の身近な問題であることに気が付きます。そりゃ、そうですよね、身体や他の部分に障害があっても、ホルモンや発達は人間共通です。むしろ、これまでこのテーマを表に出さなかった方がおかしいかもしれません。
ただ、現実を見つめると確かにさまざまな障害や問題があることは事実です。十分にわかりながら、どうしても積極的に取り上げることをためらわれる支援者や福祉関係者の皆さんの悩みもよくわかります。ですから単純に割り切ることができない問題でしょう。
この本の目次を取り上げると以下の通りですが、目次だけを見ても、非常に微妙でやるせない印象も伝わってきます。
序章「画面の向こう側」 / 第1章「命がけでセックスしている」-酸素ボンベを外すとき / 第2章「十五分だけの恋人」-「性の介助者」募集/ 第3章「障害者専門風俗店」-聴力を失った女子大生の選択/ 第4章「王子サマはホスト」-女性障碍者の性/ 第5章「寝ているのは誰か」-知的障害者を取り巻く環境 / 第6章「鳴りやまない電話」-オランダ「SAR」の取り組み / 第7章「満たされぬ思い」-市役所のセックス助成 / 第8章「パートナーの夢」-その先にあるもの
/ 終章「偏見と美談の間で」
本の内容は、この映画の内容とほぼかぶっていますが、身体障害を持ち自らの力では性行為はおろか、マスターベーションもかなわない、いやもっと言えば自分の身体自体自分で見ることも触ることもかなわない状況の方々に性的なサポートをする「セックス・サポート」のテーマなのです。
ただ「セックスセラピー」となると有料のプロのセラピストになりますし、目的は「性的な体験を通して自分に自信を取り戻し、充実した生活へとつなげていく」と言うようなことになるのでしょう。河合さんの本「セックスボランティア」には文字通りボランティア(無料)の人のことも出てきますし、障害者専門の風俗店についても書かれていますが、映画のような「セラピスト」とは少し違うかもしれません。
さて、内容が少し広がるので、今回はとりあえず映画と本の紹介をし、明日もう少し内容について触れてみたいと思います。
◇◆◇ こんな映画も! ◇◆◇
アニメ映画「Colorful(カラフル)」:思春期の少年が人と自分を信じられるようになるまで
http://mbp-japan.com/hyogo/officekishii/column/51903/
あやしうこそものぐるほしけれ 映画 「17歳のカルテ」
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映画「デタッチメント 優しい無関心」:みんなが誰かの助けを求めている
http://mbp-japan.com/hyogo/officekishii/column/52294/
映画「精神科医ヘンリーカーターの憂鬱」:精神科医は自分を治療できるのか?
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映画「パパが遺した物語」:大切な人を失った心の空洞
http://mbp-japan.com/hyogo/officekishii/column/53383/
映画「博士と彼女のセオリー」:一人の人間、ホーキング博士を描いた作品
http://mbp-japan.com/hyogo/officekishii/column/53089/
映画「精神」:「病と共に生きる人」、そしてその彼らと共に生きる人
http://mbp-japan.com/hyogo/officekishii/column/52937/
映画「奇跡の2000マイル」:人生の砂漠を歩く女性の生き様
http://mbp-japan.com/hyogo/officekishii/column/52931/
映画「バイバイ、ママ」:「ママっ子男子」はアメリカでも!
http://mbp-japan.com/hyogo/officekishii/column/52748/
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