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映画「ものすごくうるさくて ありえないほど近い」:自閉症の少年が父親の死を受け入れるまで

岸井謙児

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テーマ:「こころ」を描いたこんな映画

今回見た映画はこれ



タイトルがちょっとわかりにくいのでこれまで見ていなかった作品ですが、今回鑑賞してみました。いやぁ~予想以上に面白かったし、私にとってはとても勉強になった映画でした。

あらすじを簡単に言うと、どうやらアスペルガー障害を疑われ検査は受けたのですが「不確定」と診断された少年オスカー。彼はアメリカで起きた9.11のテロにより、突然最愛の父の命は奪われてしまいます。途方に暮れる母とオスカー。しかしやがて彼は、父のクローゼットで謎の鍵を見つけたのでした。そしてふとしたことから知り合った言葉が話せない老人とともに一本の鍵の穴を探す旅に出ることになります。

そしてオスカーは、謎の老人を同行者としてニューヨーク中を訪ね歩く旅の間に、初めて会う人への恐怖心や緊張も和らぎ、人間関係も柔軟になり、人と人とをつなぐ大きく温かい輪のなかで大きく成長していくのでした。果たしてその鍵の秘密は?その老人の正体は?また突然父を失った哀しみをどうやって癒していくのか?と興味が尽きないところですが、それを全部書いたらネタバレになっていしまうので・・・・。でも太鼓判を押しておきますが、これは面白いストーリーですよ。私は最後の最後まで物語の中に引きこまれていきました。

それ以上に興味深かったのが、オスカー君のアスペルガー的な言動の数々。もちろんアスペルガーの診断は不確定だったのですが、聴覚過敏や時間へのこだわり、新しい状況への不安、重力不安の様子など「さもありなん」と思わされる描き方でした。なにしろ謎の老人と旅に出るため待ち合わせた時、“(待ち合わせに遅れないよう)念のために23分37秒前に待ち合わせ場所に行った”とか老人に一緒に旅に出るためのに彼が決めたルールが“トイレは2回まで、食事は1回19分”などと時間へのこだわりが半端じゃない。また外の世界での車の騒音や雑踏のざわめきにパニックになるため、絶えず「タンバリン」の音を耳元で鳴らしながら気持ちを落ち着かせる様子などなど。

そしてそういうオスカーの特性を十分理解して彼がパニックになった時に「近づいて、小さな声で、冷静に」「繰り返し」語り続けることで彼のパニックを収めていく母親の接し方なども、発達障害児のパニックへの見本でしたね。さらに謎の老人は言葉が出ないため(失声か、緘黙か?)、筆談をするのですが、その方がオスカーにとっては伝わりやすいようでした。やはり彼らには「言葉より文字」の方がわかりやすいのでしょう。それらのことも大変納得する場面でした。

と言うことでストーリーも面白かったし、それ以外でもたいへん見どころのある映画でした。もし興味を持たれたら、是非!

◇◆◇  こんな映画も ◇◆◇
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岸井謙児(臨床心理士)

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カウンセリング暦35年。子供から大人まで、うつ・対人関係の悩み・発達障害・不適応・ひきこもりに関わる問題に丁寧に、かつ誠実に対応します。また全国から電話・スカイプなどでも相談を多数受け付けています。

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