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なぜ、つらい思いをした人が笑顔を見せるのだろうか?性犯罪を描いた韓国映画「ソウォン/願い」

岸井謙児

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テーマ:「こころ」を描いたこんな映画

今回見た映画はこれ



まだ小学校に通う少女ソウォンが登校途中にある変質者に性的被害に合ってしまいます。それもかなりひどい目にあい、何とか自力で警察に連絡し、助かったものの身体に障害が残り、また心理面でも(当然ですが)傷を引きずってしまうのです。
しかし以前自分の娘が同様の被害に合い、母親である自分も自殺を図って、結果的に下半身不随の障害を負いったカウンセラーが被害にあった少女に寄り添います。

このカウンセラーさんがいい味を出しています。同情するというより、少女の哀しみと怒りと絶望を共感していて、静かに寄り添うという感じでしょうか。私も以前犯罪被害者のサポートや電話相談に携わったことがありますが、やはり性被害の場合は女性でなくてはいけません。男性だと、場合によっては二次受傷を起こしてしまいかねません。この少女の場合も、カウンセラーは女性ですし、もちろん母親は必死でサポートしようとします。

しかし残念ながら父親は男性。決して故意ではないものの、少女のベッドを整えようと娘の足を動かしたとたんに、少女は父親を拒否してしまうことになってしまいます。これは仕方がない事なのでしょう。ただ拒否された父親も、また思わず拒否してしまった娘の方も深く傷ついてしまうことになるのでした。このようなストーリーを追っていると、この映画は非常にリアリティに基づいた映画であることがわかります。

しかしカウンセラーや母親、そして必死で娘と向き合う父親の努力の甲斐があって、少女は少しづつ元気を取り戻して再び学校に登校できるようになり日常を取り戻します。ただ、問題は犯人の男。性犯罪の加害歴がある男性で、自分のしたことや被害者や被害者の家族への謝意などはみじんもなく、このシーンを見るだけでこの問題の難しさを感じさせてくれます。この点も非常に現実を反映したドラマです。ネタバレしてもいけないので、すべては語れませんが、性犯罪や犯罪被害者・加害者への取り組みに関心を持たれている方はぜひ一度ご覧になられてはいかがでしょうか。

最後に映画の終わりに画面に映し出された言葉がすべてを語っているような気がするのでここに記しておきます。
「つらい思いをした人が笑顔を見せるのは、他の人につらい思いをさせたくないないからだ」

*なおこの映画は2008年ナヨン事件という韓国で起きた実際の性犯罪事件をもとにしています。
  
◇◆◇  心に訴えるこういう映画もあります
映画「明日、君がいない」:若者のリアルな姿を描いた作品
http://mbp-japan.com/hyogo/officekishii/column/51645/
映画「少年は残酷な弓を射る」:少年はどうしてこんな残虐な行為をしたのだろう?
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アニメ映画「Colorful(カラフル)」:思春期の少年が人と自分を信じられるようになるまで
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あやしうこそものぐるほしけれ 映画 「17歳のカルテ」
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映画「デタッチメント 優しい無関心」:みんなが誰かの助けを求めている
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映画「パパが遺した物語」:大切な人を失った心の空洞
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岸井謙児(臨床心理士)

カウンセリング・オフィス岸井

カウンセリング暦35年。子供から大人まで、うつ・対人関係の悩み・発達障害・不適応・ひきこもりに関わる問題に丁寧に、かつ誠実に対応します。また全国から電話・スカイプなどでも相談を多数受け付けています。

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